ルネサンスを代表する画家ラファエロは、多くの聖母子像を描いた。この絵は、その代表作の一つである。
聖母子とは言うまでもなく、聖母マリアとその子イエスのことである。その二人の左側にいる子どもは、獣の毛皮を身につけ、十字架を持っており、それにより、彼は子どもの洗礼者ヨハネであることがわかる。では、その右側の子どもは?
彼は天使であろうか?しかし、翼をつけているようには見えない。また天使にしては聖母子に対してあまりにも親しげである。では一体、誰であろうか。
イエスの兄弟ということもありうるだろうか?しかし、聖書によれば、イエスは長子であり、イエスより大きい兄弟はいないはずである。
この子どもは、聖書や絵画史の一般的な知識によって理解することはできないのである。
それを理解する鍵。それが「二人の子どもイエス」という概念である。