デヴィッド・オーヴァソンは、『二人の子ども』で先ず上の絵を論じている。
1320年頃に、イタリアの画家パチーノがモンティセリの修道院のために描いた絵で、磔刑のイエスの左右に聖書の物語をちりばめている。
問題となるのは、丸形の絵で、一番下の列の左から2番目のものである。ここに拡大したものを下に示す。これは、右側に聖母マリアへの天使によるイエスの受胎告知を、右側には、既に受胎した聖母マリアが、親戚の、やはり既に洗礼者ヨハネを妊娠しているエリザベスを訪問するという場面を描いている。
そして右の場面では、左上からイエスが天上界からマリアのもとに降ってきている姿が描かれているのだが、この絵の核心は、実に細部に宿っている。なんと、マリアの喉にもう一人の子どもがしがみついているのである。二人の子ども!
オーヴァソンは、この絵を皮切りに、二人の子どもイエスの秘密を開示していく。