k-lazaro’s note

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シュタイナーの天使論ーミカエルー

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ラファエロ「大天使ミカエルとドラゴン」

 この世の背後には多くの霊的存在がいる。むしろこの物質的世界を創造し、また維持しているのはそれらの霊的存在である。いわゆる創造神がそのなかでも至高の存在であり、キリスト教的には父・子・聖霊の三位一体の神である。
 キリスト教唯一神の信仰といわれるが、実際にはこの三位一体において既に3つに分化している(神学的には一体ととられられているが)。また神は多くの霊的僕をもっており、それらは天使と呼ばれる。人からすれば、その天使も神ということができる。
 旧約聖書には人類創造の記述があるが、そこでは次のように述べられている。「神はまた言われた、「われわれのかたちに、われわれにかたどって人を造り、これに海の魚と、空の鳥と、家畜と、地のすべての獣と、地のすべての這うものとを治めさせよう」(創世記1:26)。ここで神は複数形(われわれの・・)となっており、人類創造に天使が関わっていることが示唆されている。
 シュタイナーはこれら天使を含む霊的存在についても述べており、いわゆる天使論というものもある。彼のそれはキリスト教の天使論をふまえているともいえるが、それは根底が共通しているので当然そうなるということである。これによれば、天使達は9つの位階にわかれている。従って天使達はヒエラルキー(位階)存在とも呼ばれる。最も上位の天使(三位一体の神に次ぐ存在)が、
熾天使セラフィム)(次に智天使(ケルビム)・座天使(スローンズと続く)という天使で、最下位にいるのが普通に言われる天使である。
 天使は、一人一人の人間の世話をする役割を担っており、つまりすべての人には自分の「守護天使」がついているという。その上にいるのが大天使で、より多くの人々、具体的には一つの民族に関わる役割を持っている(つまり民族霊)。
 また大天使は7柱おり、そのリーダーはミカエルという大天使である。ミカエルは、上の絵のように、キリスト教の図像ではよくドラゴン(悪魔)を退治している姿で描かれることが多い。シュタイナーによれば、1841~79年に、霊界でミカエルとアーリマンの戦いが実際に行われ、ミカエルがアーリマンに打ち勝ったという。
 大天使は、それぞれ交代して一つの時代(約350年)を統治しているのだが(つまり時代霊)、ミカエルは、ガブリエルに代わり1879年から時代霊になったという。ミカエルのこの時代における使命は、キリストの再臨に備え人類の霊的成長を促すことである。このため、ミカエルは霊界にミカエルの学院を設立し、そこにそれにふさわしい人間(つまり死の後、地上から霊界にやってきた心魂)を集め教育してきた。ここで学び地上に再受肉した心魂達こそが、人智学運動を担ってきた人々である。これに対抗するアーリマンの学院も地下(いわゆる地獄)に作られ、やはりそれにふさわしい心魂が集められたという。では、この心魂は、今どこにおり、何をしているのだろうか?
 ミカエルは、キリストの先触れであり、今、人智学運動を導いているとされる。