k-lazaro’s note

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シュタイナーの「ウイルス」観 ①

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 シュタイナーの時代には、ウイルスという概念は確立されていなかったが、彼は、ウイルス性の病気などにからみ、いくつかの考えを語っている。トーマス・メイヤー氏の『霊的観点からのコロナ・ワクチン』に収録されている文章からいくつか紹介する。

 インフルエンザがインフルエンザの病原菌から来るなどというように、病気が小さな生き物から来ると主張する者は、蛙が鳴くから雨が降ると言うようなもので、確かに「利口」である。雨が降ると蛙が鳴くのは、自然なことである。蛙はそれを感じるからである。だが、蛙が雨をもたらすのではない。同様に、病原菌がインフルエンザをもたらすのでもない。しかし、それはインフルエンザがあるところにいるのである。
 蛙で雨を知るように、人が病気にかかっていることを知るのに役立つので、病原菌を調べることに意味が無いとは言えない。しかし、実際の病気の原因を探求しないというなら、それは怠けているのである。

 ウイルスは、病気の直接の原因ではないという指摘である。感染症の原因には、かつてウイルス説の他に、環境説があった。前者がパスツールの見解で、その後、医学の主流となっていった。これに対して後者は、パスツールと同時代の微生物学の先駆者であるアントワーヌ・ベシャン(1816-1908)というフランスの医師が提唱したもの。彼の主張は、「微生物は宿主の健康状態が衰えた場合に「病的」になる。つまり「感染する」という概念は採用せず、体内の微生物が悪化することによって病気が引き起こされたとする。
 その微生物は、本来は、新陳代謝など、身体を助ける働きをするが、身体が、健康状態を悪化させた場合、その微生物は病的になる。したがって、宿主の健康状態が病の一番の原因である。
 体内環境に応じて、マイクロジマスと呼ばれる生命の基本単位(原生細胞、primordikal cell)が、バクテリアになる。バクテリアは、体内環境の悪化の結果生じ、健全な部分を侵すことはなく、それ自体が病気の原因とはならない。体内の微生物は、体内環境に応じて、形、大きさを変化させる(pleomorphism)。原生細胞、ウイルス、バクテリア、真菌類は、変化した同一生命体である。これら病原菌と呼ばれている生命体は、体内環境(特に血の状態)が悪化すると、健全でない細胞から生じ、不健康な細胞を駆逐していく自然の清掃係のようなものである。健全でない細胞の除去とともに、体の環境が良くなると、それらの病原菌は、再び、原生細胞に戻ってゆく、という。

 シュタイナーの主張は、この説に近いのかもしれない。人智学系の医療を学び、小児科医として40年の経歴を持つトーマス・コーワン医学博士によると、実際に「細菌やウイルスが感染して病気を引き起こした事を証明する文献は、これまでになんと一件もない」という。あのパスツールも、死の間際には「環境がすべてだ」という言葉を残したとする逸話もあるようである。
 またコーワン氏も主張しているが、最近研究が進んできた「エクソソーム」が、ウイルスとされているのではないかという説がある。エクソソームとは、体の中のあらゆる細胞から出るカプセル状の物質で、大きさは1万分の1ミリ程度しかない。中にはさまざまなメッセージ物質が詰まっていると言われており、この中に遺伝子の働きを制御するマイクロRNAが含まれている。体中の細胞は常時エクソソームを出しているが、病気になるとその分泌量は増えると言われている。
 コーワン氏は、今の新型コロナウイルスについても、その写真がエクソソームと似ており、やはりエクソソームではないかと主張している。

 一般的に、ウイルスには、体の外から飛んできて病気を運ぶものというイメージが強いが、ウイルスとはもともと自分の体の中外に無数にいて、自身の体の状態によって毒性を持つものに変化する、通常は人間と共生しているというものもウイルスの1つの形態である、と考えられるのである。もともとウイルスと人間は共存している、あるいは人はウイルスにより生命を維持しているとも言えるのかもしれない。
※体に入った毒素を除去するためにその毒素を取り込み、それにより体から排出されたのがエクソソーム(ウイルス)とすると、そのエクソソームは毒素を持つので、それを取り入れた他の人がそれにより影響されると言うことはあるのかもしれない。

 最近、腸内細菌が人の健康にとって非常に重要であることが知られてきた。しかし、むしろ、人が生命を維持する上で、体の内外(体の表面にも無数の細菌がいる)の細菌は不可欠な存在だとわかってきているのである。おそらく本来のウイルスもそのような位置づけにあるのではなかろうか。

 今、世間一般で進んできているような過度な殺菌は、かえって免疫力を低下させるとの指摘もある。「専門家」や「マスコミ」の語る医療の「常識」を盲信するのは危険である。

(②に続く)