k-lazaro’s note

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地球は球体ではない ②

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地球と月の大きさの比較

 「心臓はポンプではない」で紹介したフランク・チェスター氏は、シュタイナーから着想を得て、全く同じ表面積を持つ7つの面を持っている、 4つの正三角形と、凧のような3つの四辺形から構成されている「チェスタヘドロン」という立方体を造形した。これは、人間の心臓の原型とも言えるものであった。
 チェスター氏は、心臓の次に地球に目を向けた。 シュタイナーは、地球の火山活動の原因について講演した際、地球が球体ではなく、「一種の四面体」であることを指摘した(①で述べたとおり)。「中米、南極、コーカサス、そして日本には、4つの三角形が組み合わさって宇宙から生まれた形である四面体の4つの角があるのだ」という。
 この言葉を受けて、チェスター氏は、実際に四面体を地球に当てはめることにした。すると、彼の計算では、シュタイナーの言う中米の点ではなく、日本、コーカサス、そして北米のカンザスの三点を結ぶと正三角形になることがわかった。 しかし、この三角形から下向きに逆四面体を作ると、南極点(地球内部)に4,132キロメートル届かないのである。
  この正四面体から南極点に到達するためには、南を向いた3つの面を均等に伸ばす必要があるのだ。 しかし、この構成では、もはや「正確な」正四面体(4つの正三角形で構成される)とはいえない。そこで、ここに登場するのがチェスタヘドロンである。四面体の下向きの面(基底となる三角形と結ばれている)を94.8304度の角度で開くと、この3つの三角形は、チェスタヘドロンの正三角形と全く同じ関係になるのである。

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  日本-コーカサス-カンザスにより造られる三角形を上にした、この逆さのチェスタヘドロンは、その下側の頂点で南極にぴったりと接する。チェスタヘドロンが地球の中にきちんと納ったのである。 彼は、もしかしたら、ルドルフ・シュタイナーが地球を構成する基本形として透視し、講演で示唆しようとしたのは、このチェスタヘドロンだったのではないだろうかと考えた。 チェスタヘドロンは、"一種の四面体 "とも言えるからである。
 その後、フランク・チェスター氏は、チェスタヘドロンが地球の中で基本的な幾何学形態として機能しているという彼の仮説を裏付けるかのような現象を発見した。 面-点-面のマッピングを含む法則的変換に従うと、チェスタヘドロンは、立方体をその中に基礎として持っていることが示された。しかもこの立方体は、我々の月と同じ直径を持っているのである(地球のコアの直径は3400km、月の直径は3474km。上の写真を参考)。
 そして、2008年、スウェーデンのウプサラ大学の科学者たちは、地球のコアが、古いモデルで想定されている六角形のものではなく、立方体の鉄の結晶構造を持っていることを裏付けるような研究結果を発表したのである。
 これらの発見は、地球のチェスタヘドロンの対応という考え方に沿ったものであり、地震波が、赤道から赤道への動きに比べて、地球の軸に沿って(極から極へ)速く伝わる理由を説明するものでもある。 また、地震波地図において、地球上のより低温、温暖、高温である地域を結ぶ顕著なシンクロしたラインが、地球内のチェスタヘドロンモデルに本質的に対応していることを示すことができるという(下図)。

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(In Deepブログより)

 更なる応用例は、オーロラの出現における現象論の説明である。 オーロラ(北極光)と南極光(南極光)の出現分布(宇宙から見た地球表面)は、フランク・チェスターが人間の心臓のエネルギー的起源を研究する際に、チェスタヘドロンで水の渦を作る実験で見つけたリングと一致しているように見えるのである。
 心臓の形成の根底にあるテンプレートは、7面のチェスタヘドロンが回転してできる3次元形状である。その回転は、下の写真にあるような、鐘を逆さにしたようなリングをなぞる。 その同じリングが、断面図で示す心臓の左心室の壁として見えている。 このリングと同じものが、地球の表面にも見られるということである。

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左:回転するチェスタヘドロン、中央:回転の断面図、右:北極のオーロラ

 人工衛星の写真から、オーロラは同じようなリングの中で光を放ち、リングの中のどこにでも現れるが、北極では、中央部には渡らないことが分かっている。リングの内部は暗いままであり、オーロラはその周囲で最も大胆に輝いている。
 しかし、南極上空のオーロラは、中央部でも光が横切るのである(下図 リングの中に光の線が走っているのが見える)。

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 なぜ、南極と北極で光の出方が違うのかが、チェスタヘドロンで説明できるという。 チェスター氏は、北半球の円を、回転するチェスタヘドロンの定める角度で南半球に向かって伸ばすと、外側の円錐が上の写真に見られるように南極と同じ大きさの円で終わることを、実験で示したのである。
 これによると、南極では、回転するチェスタヘドロンに合わせて作られた内輪がなく、南極にはただオープンスペースがあるので、エネルギーが同じ熱量で流れ、中心を横断することができるというのである。

 以上が、チェスタヘドロンを地球に当てはめることにより見いだされたチェスター氏の発見である。それは、シュタイナーの考えをもとにし、チェスター氏が独自の研究で到達したものである。その着想は更にプラトンにも遡るのであるが、プラトンもまた秘教の教えを受けていたというから、その源流がプラトンよりもまた前に遡ることは明らかであろう。

 人間の心臓や地球の根底には、チェスター氏が発見した7面体のチェスタヘドロンなどの幾何学的な構造があるのではないだろうか? そしてさらに  もし心臓が「人間の中心」であり、心臓と地球がチェスタヘドロンを通してそのような内的関係に立っているとしたら、では地球とは何なのだろか?
 ミクロコスモス(人間)とマクロコスモス(宇宙)は、照応しているという。あるいは、「 As above, So below(上なる如く、下もまた然り)」という神秘学の教えがある。世界は、まさにこの言葉の通りであると言うことであろう。