k-lazaro’s note

人と世界の真の姿を探求するブログです。 基盤は人智学です。

宇宙と人類の歩み

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ルドルフ・シュタイナーの黒板絵「土星、太陽、月、地球」

 最近ストックがなくなってきており、次のと定めたテーマに関してネットで情報収集していたところ、思いがけない出会いがあった。
 西川隆範氏のブログにたどり着いたのである。西川氏は、私も大変お世話になっているのだが(勿論相手は知らない)、日本へのシュタイナー紹介の大功労者である。日本で一番シュタイナーの本を翻訳出版したと思われる方である(あるサイトによると130冊だという)。私がこのブログでたまに引用している『シュタイナー用語辞典』の著者でもある。
 しかし残念ながら既に他界しておられる。平成25年7月17日、御年60歳であったという。難病にかかり、2年間ほど療養したとのことである。(氏のブログによると、東日本大震災の時、「2011年春、命と引き換えに原発事故を収束させようと祈念したら、心不全になった」ということで、その後、難病がわかったという。)
 もともと真言律宗の僧侶であったが(従ってシュタイナーの視点からの仏教についての本も出されている)、高橋巌氏(この方こそ、日本におけるシュタイナー紹介の元祖である)の講演を聞かれてから、シュタイナー研究に邁進することとなり、スイス・ドルナッハやドイツでも活動された。
 これも何かの縁と思い。今回は、西川氏のブログから拝借することとする。前から、シュタイナーの地球進化論に触れなければならないと思っていたのだが、西川氏がちょうどよくまとめられておられた。
 シュタイナーによれば、地球も進化・輪廻転生してきており、その姿を時に従い変化させてきた。それはいくつかの段階を経ており、それらは、惑星の名により呼ばれている。次に、西川氏の説明を掲載する。


宇宙と人類の歩み

(西川隆範氏ブログより)

 土星=熱惑星期

 体は人間の最も古い部分であり、最も完成されたものだ。

 人間だけでなく、地球も進化しており、地球は何度かの転生を経てきている。最初は熱状態、ついで空気状態、その次には水状態だ。

 宇宙の熱状態期=熱惑星期には、熱だけがあった。熱惑星は響きを発し、外から来る光・音・匂い・味を反射していた。熱惑星で、人間の体の萌芽、感覚器官の萌芽が形成されていった。生命・心・魂は、まだなかった。鉱物・植物・動物もいなかった。

 熱惑星期の人間の意識は漠然としていたが、包括的なものだった。昏睡意識、今日の鉱物の意識だ。

 熱惑星期の最初の段階では、物質的な熱はまだなく、心的な熱があった。熱惑星の進化の中期に、熱から人間の体が形成された。〈意志の神々〉が自らの本質を、人体のために流出したのだ。ついで、〈人格の神々〉が人体に宿って、人間段階を通過した。そのあと、すべてが宇宙の眠りに入っていく。

 太陽=空気惑星期

 宇宙の眠りのあと、熱惑星が新しい形態のなかに出現した。空気惑星だ。空気惑星は、最初に熱惑星状態を短く繰り返した。空気惑星期の中期に、熱惑星の熱は空気へと凝縮した。空気惑星は熱を保ち、空気を発展させた。光が生まれ、空気惑星は輝き・響き・香りを発していた。空気惑星は周囲から注がれる光・味・匂い・熱を、自分のなかに浸透させてから反射した。空気惑星で〈叡智の神々〉が自らの実質を注ぎ出し、人間に生命が注ぎ込まれた。人間は今日の植物の段階に達した。生命が組み入れられたことによって、人間の体も変化した。栄養摂取器官・分泌器官・消化器官・生殖器官が加わった。体は、いまや振動する熱の卵であり、輝いたり消えたりする。

 空気惑星期に、〈炎の神々〉が人間段階を通過した。〈炎の神々〉は人体に宿って、個我意識を得た。

 熱惑星期に人間段階・個我意識に到らなかった〈人格の神々〉がいた。この神々は空気惑星期に、遅れを取り戻さなければならない。この神々は空気惑星で、生命に浸透されていない体にのみ宿れた。だから空気惑星に、もう一度、体のみからなるものが発生しなくてはならなかった。それが今日の動物の祖先だ。

 月=水惑星期

 空気惑星は、水惑星として生まれ変わる。水惑星は、まず熱状態・空気状態を繰り返し、体と生命が形成された。それから、水が付加された。やがて、太陽が熱と光を伴って、水惑星から出ていった。高次の存在も、水惑星から出ていった。水惑星は、太陽のまわりを回るようになった。水惑星は音に浸透され、規則正しい動きをもたらされた。形姿とリズムを体験することによって成熟した体は、心を受け取った。〈動きの神々〉が、自らの実質から、人間に心を流出したのだ。人体に神経組織が発生し、人間は動物段階に達した。

 水惑星期に人間段階を通過したのは〈黎明の神々〉だった。

 空気惑星期の段階に取り残された〈炎の神々〉は、体と生命しか持たないものを作った。それが今日の動物界の祖先だ。水惑星期に体しか有していなかった存在たちは、今日の植物界の祖先。

 植物的な性格を持った鉱物、鉱物的な性格を持った植物が、水惑星の固体・液体状の土壌を形成した。水惑星は動的・生命的であり、その上に生きる存在たちは、自分を寄生動物のように感じていた。

 水惑星期に、人間は外的な事物を知覚しなかった。人間が知覚したのは、生命を有した夢のイメージのごときものだった。内的に上昇・下降する、生命を有したイメージだ。このイメージは外界と関連しており、人間はそれらのイメージに導かれていた。心は、体と生命を遥かに越えて聳えていた。

 水惑星期に、人間は内的な熱をまだ有していなかった。人間は周囲にある熱を受け取り、その熱をふたたび流し出していた。

 地球
 ※
地球は現在の惑星状態を表すが、更にいくつかの時代に分かれる。

 ポラール時代とヒュペルボレアス時代

 水惑星は宇宙の夜のなかに消え去り、宇宙の夜から地球が出現する。地球は自らの内に、太陽と月を含んでいた。このころの地球はエーテル状で、今日の土星の軌道ほどに大きかった。地球は霊的な大気に包まれ、人間の心は上空にあって、地上の人体形姿に働きかけた。

 地球は最初に、熱状態期・空気状態期・水状態期を繰り返した。そして、人体に血液が組み込まれた。

 熱惑星状態の繰り返しのあいだに、地球から土星が分離した。空気惑星状態の繰り返しのあいだに、木星と火星が分離した。ついで水惑星状態が繰り返され、太陽が地球から分離した。太陽は、地球から分離したあと、水星と金星を放出した。

 太陽と月と地球がまだ一体であった時代がポラール時代、太陽が地球から出ていった時代がヒュペルボレアス時代。ヒュペルボレアス時代の人体は鐘の形をしており、上方の太陽に向かって開かれていた。ヒュペルボレアス時代の人間は、子どもを生むと、すぐに自分の心が子どもの体のなかに入っていったために、死を経験しなかった。

 レムリア時代

 太陽が分離したあと、地球にとって重苦しい時代が始まった。地球は、まだ月と結び付いていた。生命を阻止する力は、おもに月のなかに働く力に属している。この力が当時、地球のなかで強力に作用していた。最も強い心だけが、御しがたい体に打ち勝ち、地上に生きた。レムリア時代だ。

 レムリア大陸の気温は非常に高く、地球全体が火のような、液体のような状態で、火の海があった。地球は火の霧に包まれていた。火・液体状の地球から、島が形成されていった。人体を形成していた実質は、まだ柔らかく、ゼリーのようだった。

 月が分離していくにしたがって、徐々に人体の改善が行なわれた。魚・鳥のような姿だったレムリア大陸の人間は、直立するようになった。脳が発達し、人間は男女に分かれた。そして、人間は死から再誕までのあいだ、心霊の世界と精神の国に滞在するようになった。

 地球で人間に魂を注ぎ込んだのは〈形態の神々〉だ。月が分離したレムリア時代中期になって、魂が人間のなかに入ってきた。海と陸が分かれ、人間が空気を吸うことによって、魂が人間のなかに入ってきたのだ。

 レムリア時代に人間の心に働きかけたのが、堕天使ルシファーだ。ルシファーは人間を、神々の予定よりも早く、物質界に引きずりおろした。ルシファーが人間の心に働きかけたことによって、神々のみが働きかけていたら受け取っていなかったはずの衝動・欲望・情熱が、人間に植え付けられた。人間は神々から離反する可能性、悪を行なう可能性、そして自由の可能性を得た。

 自然法則と人間の意志は分離していなかった。人間の邪悪な情欲は自然に働きかけ、火の力を燃え立たせた。多くの人々がルシファーの影響を受けて、悪へと傾いたことによって、レムリア大陸に火の力が燃え上がった。レムリア大陸は、荒れ狂う火によって没落する。

 アトランティス時代

 助かった人々は西に向かい、アトランティス大陸に行った。霧の国だ。アトランティス時代前半には、人体はまだ柔らかく、心の意のままになった。アトランティス大陸の人間のうち、愚かで感覚的であった者は巨人の姿になった。より精神的な人間は、小さな姿になった。そして、アトランティス時代に言語が発達した。

 進化から逸脱した霊的存在アーリマンが、アトランティス時代中期から、物質のなかに混ざり込んだ。物質は煙に浸透されたように濁り、人間はもはや神を見ることができなくなった。アーリマンは人間の魂を濁らせ、天界を人間の目から隠す。

 人間の内面・心を惑わせようとするルシファーと、外から人間に向かってきて、外界を幻影つまり物質として人間に現われさせるアーリマンがいるのだ。ルシファーは内面で活動する霊であり、アーリマンはヴェールのように物質を精神的なものの上に広げて、天界の認識を不可能にする。

 アトランティス人は記憶力が発達しており、先祖の体験したことがらを明瞭に記憶していた。アトランティス時代後期に、生命の頭と体の頭が一致することによって、自己意識が発生した。アトランティス時代の終わりには、二種類の人間がいた。第一に、アトランティス文化の高みに立っていた透視者である。彼らは魔術的な力をとおして活動し、天界を見ることができた。第二に、透視力を失い、知性・判断力を準備した人々がいた。彼らは計算・概念・論理的思考などの萌芽を有していた。

 アトランティス人は意志によって種子の力、空気と水の力を支配できた。アトランティス人の意志が邪悪なものになり、心の力を利己的な目標に使うようになったとき、彼らは水と空気の力も解き放った。こうして、アトランティス大陸は崩壊する。

 アトランティス大陸には秘儀の場があり、そこでアトランティス大陸の叡智が育成された。さまざまな惑星から下ってきた人間の心にしたがって、七つの神託が設けられた。太陽神託の秘儀参入者は、魔術的な力をもはや有していない素朴な人々を集めた。そのような人々が、アトランティス大陸の沈没から救出され、新しい時代を築いていく。

 アトランティス後の時代

 アトランティス時代後の最初の文化は、太古のインド文化(蟹座時代の文化)だ。アトランティス大陸を沈めた洪水から逃れ、太古のインドに集まった人々は、天界への憧憬を有していた。そこに、太陽神託の秘儀参入者は七人の聖仙を遣わした。太古のインド人は、「物質界は幻影である。私たちが下ってきた天界のみが真実である」と感じた。

 つぎの双子座時代である太古のペルシア文化期に、物質界は虚妄ではなく、精神的なものの表現・模像であると認識され、地上を改造しようという思いが現われた。

 第三のエジプト文化期(牡牛座時代)において、天空の星々に神的な叡智が込められているのを、人間は見出した。人間はまなざしを上空に向け、その法則を究明しようとした。

 第四のギリシア・ローマ文化期(牡羊座時代)に、人間は完全に物質界に下った。そして、外界・物質に、自分の魂を刻み込んだ。

※西川氏のブログはここで終わっている。ギリシア・ローマ文化期は15世紀まで続き、現在は、第5の文化期となる。その後、ロシア文化期、アメリカ文化期へと続くという。また地球は、今の地球期の後に、木星期、金星期をへて最後はヴァルカン期となる。金星の次はまた土星となるのではなく、以前より高次の段階に至るので、ヴァルカン星と呼ばれる。
 ちなみに、現代は第5文化期で、人間は最も深く物質世界に入り込んだ時代だという。それに適応したのが人の悟性魂であるが、新たな心魂として、霊的な萌芽を含んだ意識魂が既に人には生まれてきており、それを発展させていくことが今後の課題となっている。現代世界では、唯物主義的な英米の文化が主流となっているが、次のロシア文化は霊性が重視される時代となる。こうした文化の移行には、新しい波と古い波の間で軋轢が生まれることがある。現在の様々な現象の背後に、既にその影が見えるという人もいる。これについては、別の項目を立てたいと思っている。