k-lazaro’s note

人と世界の真の姿を探求するブログです。 基盤は人智学です。

アトランティスの大異変とその後の時代 ①

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 これまでの記事にアトランティス期、ポスト(後)・アトランティス期等の時代名称が出てきていたが、アトランティスとは、勿論あの洪水で没したというアトランティス大陸に由来する名称である。シュタイナーは、アトランティス文明の時代を一つの時代区分として、その前後の時代と区別しているのである。

 アトランティスは、そもそも古代ギリシャの哲学者プラトンの著わした対話編『ティマイオス』に出てくるのだが、古代エジプト人に伝承されてきた超古代文明であるとされる。その実在については、現在では否定論の方が主力であろう。何しろ、それは、プラトンによれば大西洋にあったとされるのだが、そこには広大な海底が横たわっているだけで、何の痕跡も見られず、現代のプレートテクトニクス理論によっても、大きな陸塊が存在した可能性が否定されているからである。

 しかし、「ギルガメッシュ叙事詩」や」旧約聖書」にも洪水伝説が語られており、洪水に伴う何らかの文明の滅亡があったのは事実ではないかとして、大西洋ではなく、別の場所(地中海など)にアトランティスの場所を求める研究家もいるようである。

 では、シュタイナーはどうかというと、どうもプラトンの話しの通りとなるようである。

 人智学派も、当然これを支持しているのだが、残念ながら、未だ、その実在の決定的な証拠あるいは痕跡は発見されていないようである。

 しかし、地質学的に大西洋説が不可能ではないというような研究も出てきているようなので、後日紹介したいと思っている。

 今回は、アトランティスに関するシュタイナーの考えを概観できる論稿があるので、先ず、こちらの方を紹介したい。これは、Martha Keltzと言う方のものである。彼女の詳細な経歴はわからないが、ドラマの脚本、演出、プロデュースなどを行い、また画家としても活動し、その傍らにシュタイナーを研究されてきたようである。これも長いので分けて掲載する。

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アトランティスの大異変とその後の時代

Martha Keltz

 

  人智学によれば、地球上の真の人類の進化には7つの大きなエポックがあり、それぞれの大きなエポックの中に、7つの文化時代がある。

高次の霊的世界には時間も空間もなく、霊的存在が過去・現在・未来、永遠の今に同時に働いていることを理解することが肝要である。

 

その原初の時代(ハイパーボリアン)において、太陽の周りを回る地球の動きが現在のそれと全く同じであったと想像してはならないのです。しかし、天体の運動は、そこに住む霊的存在たちの関係の結果として生じることをここで理解することは有益です。天体は魂と霊の原因によってそのような位置と動きになり、霊的状態が物理的世界に展開できるようになるのです。」- "オカルト科学の概要“(ルドルフ・シュタイナー、以下もすべて同様)

 

春分点歳差運動」は、黄道軸に対する地軸の位置と、隣接する天体の星座における強大なプロセスと関連している。宇宙システムの他の天体に対する地軸の特定の位置のせいで、地球の暖かさと寒さの分布が根本的に変化する明確な時期があるのです。このように、地軸が近隣の星と関係することで、気候条件が変化するのです。2万5千年以上の間に地軸は一種の円錐運動をするので、ある時期に地球が受けた条件は、2万5千年から2万6千年(プラトン年)後に、別の形で、さらに高い段階で再び生じることになるのです。しかし、これらの大きな時間の間には、常により短い期間が存在する......。[このプロセスは、絶対的な、不変の連続性で進んでいるわけではない......]。なぜなら、地軸と隣接する星々との相対的な位置関係によってもたらされた星座のせいで、地上の気候条件はアトランティス大異変で頂点に達したからです。これは私たちの時代より6〜8千年前に起こったことで、その影響は長い間続いきました......。これは、物理的な地球に対する大宇宙の最も劇的な作用です。」- "秘教的歴史“

 

生命は今日、加速しています。地球上の生命は、自我意識が発達する時点まで、どんどん遅くなっていく。その後、再び速度が上がる。今日、人間はすでにその発達が最も遅くなる時期を過ぎている。」- "宇宙の記憶“

※ シュタイナーは、時間の進み方が時代により異なると言っている。地球期になり、肉体の中に自我意識が誕生した頃が一番遅く、その前は過去に遡るほど早くなり、その後は、未来に行くほど次第に早くなる様である。図示すれば、下向きの放物線のイメージである。

 

 「天体の経路は、常に変化しながら、新たな道を進んでいる。太陽系や惑星系には、硬直化する傾向と、常に変動し、確立された形から逃れようとする傾向が区別される.....。天空に見えるものは、宇宙空間の断片的な表現に過ぎない。一年間の地球の運動の真の姿は、レムニスケートである。地球はレムニスケートとして太陽を追っている... もし私がこのレムニスケート・システムを正確な形で描くことができたなら...それは現在のところせいぜい正しいだけだろう...来るべき氷河期(第6の大エポックの蠍座時代、2160年に基づく)は、このシステムを少なからず修正する必要がある...。私たちは、量的な数学ではなく、質的な数学を持たなければならない。数学は私の現実への接近を規制することができるが、それは現実を構成するものではない。人間を排除することはできないのだ!...」"学際的天文学

※ 秘教においては、春分点の移動に関連する地球の歳差運動が時代区分の一つの基準とされる。地球の事象は、自然現象も人間の文化も天体の影響を受けており、それと共に時代を区分しているのである。なお、この講義は、シュタイナーの天文学宇宙論)についての考えが述べられている。後日紹介する予定である。

 

大エポックとその文化的時代

 7つの文化的時代の長さは約2,160年で、この長さは前述のように、春分点での歳差運動で測定される。2,160年というのは、太陽が古典的十二宮の各星座を通過する時間であるから、少なくとも我々のアトランティス後の大時代の長さは、7×2,160年、約15,120年ということになる。現代と同じような時間の流れは、ゆっくりではあるが、レムリア時代の中盤以降に始まっていたのかもしれない。「12の時代以前の太陽は同じ位置にあり、レムリア時代の終わりごろには、私たちの時代と似たような状況があった」 - “古代の神話” ルドルフ・シュタイナーはここで、牡羊座から魚座への変化について言及している。天文学的な「頭」である雄羊から「足」である魚への変化は、彼によって極端な変化として説明されている。この変化は、ギリシャ・ローマ時代と現在の文化的な時代である第五期の間の、我々のポスト・アトランティア時代に起こったものである。

※ 太陽は12宮を一周すると元の位置に戻る。つまり12の時代を経ると言うことになる。それは、春分点が背景とする星座が移動していくということでもあり、その時の星座(宮)が時代名となる。白羊宮(雄羊)の時代は紀元前747年に、双魚(魚)宮の時代は1413年に始まったとされる(『ルドルフ・シュタイナーハンドブック』エイドリアン・アンダーソン著)。また12宮は人体の各部位に割り当てられており、頭には白羊宮が、足には双魚宮が割り当てられている。

 

大きなエポックは次の通りである。

 ポーラリアン

 ハイパーボリアン

 レムリアン

 アトランティス

 ポスト・アトランティア(現在の時代)

 第6グレート・エポック(ロシア文化時代)

 第7グレートエポック(アメリカ文化時代)

 

 ルドルフ・シュタイナーは、アトランティス大異変の最後の出来事は「後期氷河期」に起こったと述べており、現代科学では最後の氷河期は約1万年前とされている。「アトランティスの大災害は、一般的に後期氷河期と呼ばれる時代に起こった...アトランティスの大陸の没落における最後の出来事...その大陸は今日大西洋の底を形成している...。これらの出来事は、一般に信じられているよりもずっと私たちの時代に近い。この大異変は地球の様相を一変させた。その後に続く2つの文化的時代[下記参照]は、歴史的な伝統の中に痕跡がない。ヴェーダはその古代の響きでしかない。アトランティス大災害に続く2160年の間(インド時代)、人類は後に可能となったものとは全く異なる方法で発展することができたと言える。」 - “世界の歴史“

 

 したがって、アトランティスの最後の大災害は、巨蟹宮の前にある獅子宮春分の日に太陽が昇っていた、紀元前9387年から7227年の間に起こったと言うことができる。インド時代が始まるまでの約773年間、そして最初の2つの文化時代の中でも程度の差はあるが、ある一定の期間、地殻変動は徐々に落ち着き、それ以前の時代が再現されたことになる。この再現は、進化の法則に従っている。前方への進展やさらなる発展を始める前に、先行する発展段階が顧みられるか、再現されなければならないのだ。- “オカルト・サイエンス”を参照。

※ シュタイナーによれば、アトランティス大陸の水没は一時に起きたのではなく、時間をかけて、いくつかのカタストロフィを経ていったという。このため、その住民が別の大陸に移り住み、後アトランティスの文明を築くことができたのである。

 

アトランティス以後の7つの文化的時代】

 インド時代 – カニ巨蟹宮:紀元前7227年~紀元前5067年

 ペルシャ時代 - 双子・双子宮:前5067年〜前2907年

 エジプト-カルデア-バビロニア時代 - 雄牛・金牛宮:前2907年~前747年

 グレコ・ラテン時代 –雄羊・白羊宮:紀元前747年~紀元後1413年

 アングロサクソン、ゲルマン時代 - 魚・双魚座:西暦1413年~西暦3573年

 ロシア・スラブ時代 - 水・宝甁宮:西暦3573年~西暦5733年

 アメリカ時代 - 山羊・磨羯宮:5733年~7893年

 

 ここで改めて注意すべきは、太古のエポックや時代が[現代より]ゆっくり進行したように、未来の時代は現在よりも速いスピードで進行する可能性があるということである。人類の進化において、インドの時代はアメリカの時代に、ペルシャの時代はロシア・スラブの時代に、エジプト・カルデアの時代はゲルマンの時代(我々の時代)に関連するが、ゴルゴダの秘儀が起こったグレコ・ラテンの時代はユニークで比類のないものであった

※ 7つの文化期は、キリストが受肉したゲルマンの時代を支点として、その前後の時代が相応する関係にあるという。

 

 地球の前には、土星、太陽、月と呼ばれる三つの惑星が存在し、地球の後には、将来、木星、金星、バルカンと呼ばれる三つの惑星がさらに存在することになる。- “オカルトサイエンス”を参照。

 ポラリア、ハイパーボリアン、レムリア初期は、純粋に精神的な存在に近く、したがって物理科学で調べることはできない。ポラリアは土星、ハイパーボリアは太陽、レムリアは月が起源とされる。一般に、ポラリアは鉱物界、ハイパーボリアは植物界、レムリアは爬虫類と下等動物界、アトランティは高等動物、哺乳類、そして現在の人間の形態の安定を発展させたと言われている。生命の本質は、後の時代にも言えることだが、これらの展開に多くのバリエーション、例外、矛盾を示すに違いない。

 

 地質学は、放射性年代測定と放射性炭素年代測定によって、新生代(哺乳類の発生)の、すなわち6550万年前(mya)という数字をどのようにして導き出すのだろうか。この時代はギュンター・ヴァックスムートGuenther Wachsmuthによってアトランティス時代に相当すると考えられているが、シュタイナーは、アトランティスをもっと新しい時代に位置づけ、最後の激変はおよそ1万年前に起こったと述べている。答えは、まず 1. 霊的なエーテル界(形成力の世界)と高密度の物理的な世界との関係を正しく理解すること。霊的なエーテルの放射状の効果は測定できるのか?物質の高密度化は収縮のプロセスだが、これは等しく放射状に広がる力と釣り合いが取れている。2. これらのプララヤ[休止期間]は、大小の氷河期と関連している 3. 高次の精神世界には過去、現在、未来がなく、すべては永遠の「今」に含まれているという事実。

 太陽系の始まりにおいて、太陽と月を含むすべての惑星は、一体となっていた。ハイパーボリアン時代の中期から末期にかけて太陽は離脱し、金星、水星と続く。そして、金星、水星と続き、ハイパーボリアン時代は終焉を迎えることになる。これらの後期の分離の原因は、外惑星と同じであり、また、月の固化が進んでいたことである。「月が分離していなければ、すべての人間の魂は地球を離れていただろう。しかし、ある種の高度な存在など、目的のために月の圏内に留まった存在もいた。」- “オカルト科学” レムリア時代の初期から中期にかけて、月は地球から徐々に押し出され、今日、世界最大の水域である太平洋として知られている地域から押し出された。」- “コズミック・メモリー

 

 レムリアは、現在のインド洋、アフリカ南東部のマダガスカル島とインド南東部のスリランカ島に挟まれた場所に位置していたこの大陸は、濃い空気、薄い地殻、多くの火山噴火など乱気流に満ちていたが、人類は火山活動のない特定の地域で生き延びることができた。高度に発達した精神的指導者が進歩を指揮し、来るべきアトランティス人の祖先となるレムリア人の小集団を孤立させた。火山噴火でこの大陸が破壊される前に、この選ばれたグループは北西に向かいアトランティスに導かれた。他の民族は地球の他の場所で、またアフリカやインドなどへも追加移住して生き延びたかもしれない。アトランティスの集団に組み込まれた人類の進化の進歩は、新しく生まれた者を通じて徐々に他の生存民族に受け継がれたであろう。

※ レムリアは、「濃い空気、薄い地殻、多くの火山噴火など乱気流に満ちていた」とあるが、どうもこの時代が、いわゆる恐竜時代のようである。レムリアの大気は水蒸気を大量に含み濃密で、大地も軟弱あるいはぬかるみであったようだ。大型恐竜などは、実は、現在の地球のような条件下では、重すぎて自分の体を支えることもできないという説がある。だから恐竜時代の重力は今より軽かったという説もあるのだが、更に、大気が濃く、地上がぬかるみのような状態であれば(固い地面を歩くというより、言わば浮いているような状態)、そうした恐竜も活動できたのかもしれない。

 

アトランティスの大異変

 人類の堕落と呼ばれるものは、物質に堕ち、神からの霊的世界からの直接の導きを失ったことを意味し、アトランティス時代の中頃に起こるはずであった。しかし、父なる神の意図通り、人類に自由をもたらすルシファーの妨害により、堕落はもっと早い時期、レムリア時代の中頃に起こったのである。人類は男女に分かれ、善悪の知識を早々と身につけてしまった。その結果、レムリア時代、アトランティス時代、そしてその後のある暗黒時代に、恐ろしい過ちを犯してしまったのである。しかし、男女の分断と唯物論への堕落は、意識の進化にとって必然であり、避けることはできなかったのである。ゴルゴダの秘儀、すなわち救い主である神、キリストの十字架上の死は、アトランティス時代の半ばに起こるはずであったが、必然的にずっと後の時代、グレコローマン時代に起こったのである。-“ キリストの衝動と自我意識の発展”を参照。

※ レムリア時代の堕落が、旧約聖書に述べられている蛇の誘惑による堕罪である。

 

 アトランティスの時代、人類は主に指導者や秘儀参入者によって導かれていた。彼らは、その出身である惑星圏にちなんで名付けられた特定の密儀センターから働きかけていた。これらの密儀センターは神託(オラクル:ラテン語で「霊的存在の意図が感知される場所」、R.S)と呼ばれ、例えば金星と水星の神託が存在した。指導者は、純粋に霊的な世界に住む高次の存在によって導かれた。また、バルカンの神託という重要な神託があったが、これは地球の周囲の球体に今も生きている高次の存在に導かれており、この神託のヴィジョンは地球に向けられたものであった。圏域(スフィア)とは、目に見えない、生命存在の霊的な惑星領域が、地球の球体と混ざり合いながらも、地球とは明確に分離していることを意味する。火星のような目に見える物理的な惑星は、惑星圏の断片に過ぎない。上に引用したように、"目に見える惑星は、人間の胚の生殖胞における発芽領域のように、全体の中の特殊な部分に過ぎない..."。他の惑星からの「宇宙人」とは、火星の戦いの圏域から来た普段は見えない低次の霊的存在で、地球の圏域で大きないたずら、悪意ある行為をも行なっているのだろうか。

 太陽が太陽系の中心であるように、他のすべての密儀スクールの中心であるアトランティスまたは太陽の密儀の重要な密儀センターがあった。これらの秘儀は、キリスト・イニシエートによって導かれた

 

 今日とはまったく異なり、アトランティス時代初期から中期にかけての人間の肉体は、可可塑的で変化しやすく、半透明であった。空気は非常に濃く、水は薄かった。水や霧のような大気は、肉体の可塑性を可能にし、内なる思考や感情は外見を変えることができた。これは現代の多くの海洋動物にも言えることで、彼らの意図や経験によって、その肉体は連続的かつ急速に変化することができる。例えば、頭足類のイカの体は、灰色で不透明であったり、燃えるような暖色で半透明であったりする。このような変化は、水のある環境では起こりうるが、今日の地上の環境でははるかに起こりにくく、高等動物や人間には全く起こりえない。この高密度化または固化の時期以前には、アトランティスアトランティス人の物理的な痕跡はまったく見当たらない。しかし、アトランティスの遺産に影響を受けていた初期の文化から、代々受け継がれてきたものが豊富に残っている。それは、石が「語る」ことに耳を傾け、理解することである。

※ 身体が軟体で、硬い骨を持っていなかったので、化石化しないため、その痕跡が残らないのである。

 

 「アトランティス時代の進化の中盤、人類は徐々に大きな災難に見舞われるようになった。高次の存在が自然の力を導く法則である秘儀参入者の秘密が、誤った欲求と情熱のために利用され始めたのだ......秘儀参入者でさえも屈服した。人類は広範囲に渡って腐敗し、悪はますます大きくなった... 強大で不吉な自然の力が解き放たれ、空気と水の大災害が起こった。」- “オカルト・サイエンス”  最も有害だったのは、地球のものに集中していたバルカンの秘密の裏切りであった。バルカンの裏切りによって、大きな影響力を得ることができた低次元の存在への門が開かれ、人間は精神的なものに対する感情をますます奪われることになった。アトランティス時代の中頃から、アーリマンとこれらのアーリマン的存在は、ルシファーとアーリマンの両極端の間の道である中道、キリストの流れの反対者として目に見えない形で活動してきたのである。その間、アーリマン(サタン)によって恐怖が人類に植えつけられた。「恐怖は誤りの直接的な結果である」- "アトランティス、失われた土地の運命"を参照。

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 前半は以上である。
   アトランティスの滅亡は、人類とをれを正しく導くべき秘儀参入者達の堕落が原因となったようである。進化に対抗する勢力からの誘惑は常に存在しているのだ。