k-lazaro’s note

人と世界の真の姿を探求するブログです。 基盤は人智学です。

オカルト・ロッジと儀式魔術、その背後にいる者


 シュタイナーの歴史観は、表で起きていることは、その背後の霊的事象の徴候にすぎず、その霊的事象を認識することが重要であるということである。人類の歴史の基本的な流れとは、人類は霊的に進化していくということであり、これを推進するのが、霊的ヒエラルキー(天使)達であり、またこれに対抗する勢力が存在する。これらの勢力間の相互作用の中で、歴史上の出来事が生じているのである。
 霊的進化に対抗する勢力には、霊界のものと、地上界のものがある。当然、両者はつながっている。地上界の代表は、左道のオカルト結社である。そうした結社も色々あるのだろうが、その一般メンバーの多くは、実際には、その結社の本当の目的を知らず、結社の指導者に利用されているようである。

 これまで掲載した記事の中で、左道のオカルト結社(影のブラザーフッド)では、人を操作するために、実際に魔術的なことも行なわれているということも触れられていたが、今回は、これに関する記事である。
 これまで何度か掲載したことのある、人智学者のエルトムート・ヨハネス・グロッセ氏の『自我のない人々は存在するか?』から、関連する部分について、その要約を以下に載せる。

ーーーーーーーー

儀式魔術-オカルト・ロッジのテクニック

 人智学によって、人々を霊的自由に導くことができる文明への完全な革新が可能となった。科学、芸術、宗教において、感覚世界から超感覚的世界へと架かる橋が構築できるようになったのである。これは、内面の自由による独立した霊的成長を人に許さない勢力と必然的に対立するものである

 霊へと至ること、物質主義の克服、霊的自由に基づく文化を妨げるロッジやセクトが存在する。この点で、東西の多くの様々な秘密結社が一致している。指導的役割を発揮しているのは、アングロサクソンのオカルト・ロッジである。彼等の目的は、アメリカニズムの世界帝国を築くことである

  場面の背後で働き、霊的障害をもたらす、問題のあるオカルト・パワーに注意を向ける必要がある。問題は、日常の意識で、国家のリーダーがオカルト・ロッジの計画に気づいているかいないかと言うことである。

 シュタイナーは、このようなことに政治家はほとんど気づいていない、と語っている。「ノースクリフ、あるいはロイド・ジョージですら、これのイニシエーションを受けているか、どの位階にいるかなどと問う必要はない。重要なのは、彼らが、これらの力の関心の中で活動できるかどうかである。彼らは、これらの力の傾向を本能に吸収しさえすれば良いのである。それは可能であり、起きている。」(ルドルフ・シュタイナー、以下同じ)

 ロッジは、どのようなテクニックを用いるのだろうか?

 シュタイナーは、次のように語っている。「彼らは、ある意味、唯物主義を過物質化しようとしている。彼らは、人類の進化の中で自然に生じる以上に、世界に唯物主義を生み出したいのである。」

 それは、儀式魔術を使って行なわれる

 「儀式魔術では、実際に、人々の肉体器官に影響を与える。儀式魔術のある働きにより生じた霊的要素が神経組織、脊髄組織に作用することができるのだ。」人々が、その様な儀式が行なわれる集会に参加すると・・・

 他の霊より、死者が、そのようなサークルに参加している者に影響を及ぼす可能性が生まれる。しかし、それによって、我々の時代の唯物主義は、過度に物質化されうる。世界観だけでなく、感情、感受性のすべてが唯物主義的性向をもっている人が、西洋(西方)には非常に多い。彼らの物質的性向は非常に強く増幅されるのだ。するとその様な人は、生きている時だけでなく死後においても、物質世界に影響を与えたいという衝動を強く抱く。死んだ時に、地上に残してきたあるいは自分のために訓練した、生きている人にそこから影響を及ぼせる場所を欲するのである。死後に物質的支配を保証するための道具が、ある種の儀式魔術の場所なのである。

 

 死者の権力衝動により強められた者は、政治の場で働いており、そのスピーチ、言論において、暗示的なパワーを持っており、彼らの意志や目的が、彼らの同時代人の意識下に吸収されてしまうのだ

 このように「スーパー物質主義」に入り込んだ者は、アーリマン的不死を求める。それは、霊界にではなく、物質世界にである。彼らにとって、「彼らが加わった結社は、本来は物質的な死までのみ生きるべき彼らの力が、死後も生き続けることを保証するものである。今日、霊的に見て、オカルト的に見て、アーリマン的不死への「保険会社」である結社が存在する。」

 「このようなことを知っているのは常に少数のメンバーである。このような結社は、決まって、儀式魔術が、知識のない人々に特に影響をもつように、組織されているからである。このような人は多い。それを望むのは、実際最悪の人々ではない。少数のグループが、儀式魔術に入ってきた他の人々を道具として用いるのである。

 

 低位の位階に隠された目的を持っている高位の位階を持つオカルト・ロッジ結社には注意をしなければならない。

 秘密結社のリーダーは、オカルト的な方法で、死んだ彼らの先達の霊的力を活用しようとする。彼らは、死の世界から地上に働きかけ続けようとしており、物質的な不死を得るのである。儀式に参加する、生きている者の無意識の魂領域がこのようにして影響を受けるのである。しかしそれにより、そのメンバーは、特別な霊的存在から来る更なるオカルト的影響に自らを開くこととなる。すべての人は、天使と、肯定的、援助的関係をもっている。しかしエジプト・カルデア時代以来、逸脱(停滞)して、アーリマン的になった天使がいる。この天使にも、儀式の参加者は結びつくのだ

 「この退行した天使は、このようなオカルト結社で大きな役割を果たしている。それらは、援助しまた指揮する霊である。そこでは、エジプト・カルデア時代の要素を現代にもたらそうとしている。」(訳注)

(訳注)シュタイナーの歴史論によると、後アトランティス時代は7つの文明期に分か れており、現在は第5の文明期である。それは、第4のギリシア・ローマ文明期を全体の折り返し点として、第3のエジプト・カルデア文明期と鏡像のような関係にある、という。エジプト・カルデア時代の要素を現代にもたらそうとする霊にとって、現代は都合が良い文明期なのである。

 

 これにより、ロッジは強力な魔術的力を持つ。それは、真実でないものに真実のスタンプを与える能力に何よりも現れている

 「そのように、真実でないものをそれが真実のように世界に広げるのは、実際、重要な魔術的操作である。この非真実の働きには、悪の巨大な力が存在するからである。」

 

 このロッジから放たれるオカルト的力は、自分をこれらのインパルスに心理的に開いている政治家の本能にも作用する。

 ここでドイツ、ドイツ文化・言語への憎しみという問題を考える必要がある。シュタイナーは、イギリスの政治に関連し、儀式魔術に参加していたノースクリフとロイド・ジョージに触れている。

 アルフレッド・ノースクリフ子爵(1865-1922)は、ジャーナリストで新聞業界の大物であるが、第1次大戦以前に、ドイツに対して言論の攻撃を加えていた。彼は、長年、ドイツのすべてに敵対する人間であった。

 ロイド・ジョージ(1863-1945)は、首相になり、1919年のパリの講和会議で、すべての責任をドイツに押しつけることを助けた。

 すべての国は、自己の使命を持ち、民族霊により霊感を与えられている。民族霊は、大天使の位階の霊である。

 ドイツの民族霊の仕事は、魂の体験を観念による理解に翻訳することである。ドイツ人は、魂の中で観念自体を体験する能力を持っているのである。この体験の中で、彼らは、無意識に霊界への敷居を通るのである

 しかし、観念は、把握と伝達に言葉を必要とする。シュタイナーが、人智学に体を与えるために、中欧ヨーロッパの言語という体を必要とした理由がこれである。(訳注)

(訳注)シュタイナーは、各言語には、それぞれ特性があり、ドイツ語は、霊学を表わすのに適しているが、英語は適していないとする。英米の左道オカルト結社には、この英語を世界支配言語にしようとしているものがあるという。

 

 彼は、ドイツの民族霊を未来に無力化する傾向を見ていた。秘密結社は、既に19世紀の末に、この目的の下に働いていた。シュタイナーは、第1次世界は、1888年に起きる可能性があったと述べている。

 シュタイナーがドイツの文化圏に生まれたのは偶然ではない。ドイツ文化が、人類共通の発展に貢献できるのは、人智学を引き継ぐことである。ドイツ語は特にこれに適している。それは、柔軟だが、形成的な強い力を備えている。思考においてこの内容を理解する者は、霊界への敷居をまたぐ思惟へと入っていく。

 ドイツがその様な霊的内容を吸収する能力を持っているなら、なぜヒットラーナチスの支持者となったのかという疑問が浮かぶ。答えは、彼らは、ヒットラーのもつ存在に誘惑されたと言うことである。

 ヒットラーは、自我を持たない、空っぽの容れ物だったのである。ソラトの僕であり、それに憑依されているときには、その体は、とてつもない強力な影響力をもったのだ。その効果は、ドイツ帝国の後継であるワイマール共和国が成功しないことを確実にすることにより、注意深く準備されていた。ヒットラーに対して、アメリカの銀行や実業家が巨大な財政支援をしていたことを忘れてはならない。(訳注)

(訳注)ヒトラーがオカルト研究に熱心だったことは有名である。ナチスの母体の1つの「トゥーレ協会」という秘密結社があるが、『ロンギヌスの槍』という本には、次のようなエピソードが書かれている。トゥーレ協会は、亡くなった結社の会員の霊を呼び起こす心霊術会を行なっており、その中で、ある「霊」から「ドイツの救世主が現われる」という預言が語られた。しかしまた、別の「霊」による預言もあった。それは、トゥーレ協会の支配権を握る男は、偽予言者であり、国の権力を掌握し、ドイツ全土を荒廃させる、というものであった。
 また同書の著者トレヴァ・レヴンズクロフトの恩師である歴史学者ワルターヨハネス・シュタイン氏は、若い頃のヒトラーと交流があり、イエスの聖遺物であるロンギヌスの槍を二人で見に行ったときのヒトラーの変化が、同書には次のように記されている。「彼の傍らには、ヒトラーが自失の表情で立っている。・・・彼を取り巻く空間は、不思議な明るさを帯びて生き生きとしているように見えた。心霊体の光である。彼の顔つきや姿は、あたかも何か強大な霊が魂に入り込んだように変わって見えた。」
 ヒトラーは、その後第1次世界に従軍するのだが、戦場でヒトラーは極めて勇敢であったらしく、勲章も受けている。あえて、危険な行動に志願したのである。それは、彼が、自分はある使命のもとに「守られている」という確信があったからである。ある時は、不思議な声に導かれ爆撃を避けることができて、九死に一生を得ることがあったという話も伝わっているようである。

 

 ヒットラーとその助力者がドイツにもたらした状況は、人智学とその人智学教育、農業等の姉妹運動に向けられ、それらは禁止された。戦後には、人智学協会は再建され、活動を再開した。精神科学の種が肥沃な大地にまかれたのである。

 しかし、それは、ドイツの人智学者だけではない。すべての文化と言語が人類の文化の再生に貢献した。それは、物質主義を克服し、霊的基盤に生を形成することであった。

ーーーーーーーー

 よく「陰謀論」には、フリーメーソンイルミナティ等の秘密結社が出てくる。そしてある者によれば、その組織の最上位にいるのは、人間ではなく、ルチファーであるという。
 シュタイナーによれば、それはむしろアーリマンというべきかもしれないが、ルチファーというのは、この場合、ルチファーとアーリマンの区別もわからず、単に悪魔を指す言葉として用いられているのかもしれない。

 オカルト・ロッジは、実際に儀式を通して、その組織の人間をこの悪魔の道具にしており、政治家達をも影響下に置いているのだろうか。ここ数年のコロナやウクライナに関わる世界の主要国での動きを見ると、「常軌を逸している」と思わざるを得ず、その理由はやはりこのようなことにあるのかもしれない。

 アーリマンであるが、もしその地上での受肉がなされ、力を発揮し始めるなら、今まで以上に影響を及ぼすことだろう。我々は、それに備えなければならないのである。