k-lazaro’s note

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心臓はポンプではない ②

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自然は脈動する: ヴィクトル・シャウベルガーの驚くべき洞察

 「心臓はポンプではない」というシュタイナーの考えについて語るために、①では、トマス・コーワン博士の本『人間の心臓、宇宙の心臓』から、ジェラルド・ポラックの水の第4相、構造水についての解説を紹介した。コーワン博士は次に、オーストリアのヴィクトル・シャウベルガー (1885年6月30日-1958年9月25日)の驚くべき洞察を解説する。

 シャウベルガーは、林業家として森林を流れる水に興味を持った。彼の発明は、エネルギー生産や農業に役立てられている。シャウベルガーによれば、植物や動物の生命に有用で健康な水には二つの特徴がある。一つは、流水は、渦巻きあるいはスパイラル状でなければならないということ。もう一つは、水の温度は、特に夜は、摂氏4度かそれに近くなければならないといことである。それは、構造水が存在するのに最も適した温度である。

 これを観察するのに、トラウト(鮭)が鍵となる。水が健康であると、シャウベルガーによれば、重力と軽さの力*1が均衡する。ゆえに、川床の岩の渦の中で泳ぎ続けるトラウトは、二つの力の均衡の中でいつまでも静止していることができる。静止したままで、栄養物の方からトラウトの方にやってくることになる。こうした幸運にあるトラウトは、太っていておいしい。彼は、夜中に、このエネルギーの流れが、うまく形成された滝の中に光の水路のように見えたという。トラウトは、それを利用しているのである。
 シャウベルガーが見たのは、水の中に生きている軽さの力である。この力は、川の渦の中で上向きに流れている。森林を健全に保つには、川は樹木で覆われていなければならない。ダムは不要である。水が楽に流れるかどうかは、温度と(スパイラルや渦の)流体力学(活動力)による。この条件が合致すれば、生命は楽に活動でき、健康が自然に生まれる。この状態は、構造水の自然な状態である。これは、人の循環システムの血液の中の流れの基礎となる構造水の状態である。

 シャウベルガーとポラックの理解を合わせると、生命のシステムにおいて液体がいかに流れるかということの洞察を得ることができる。セコイアの木の樹液が、なぜ大地から300フィート(約91メートル)もの高さにまで上昇するかを考えることができる。通常の科学は、水は、毛管の中を、重力が邪魔するので、33フィート(約10メートル)以上の高さに昇れないとしている。これは気圧限界とされる。しかし、33フィートより高い木は多く存在し、樹液がてっぺんまで昇っていくのである。蒸散現象が幾分の追加の上昇を説明するが、45フィートより高くなることはない。
 この答えは、樹木の木部の水路は高い親水性であり、構造水を作り出すことである。それが、そのチューブの中央のバルク水を引き揚げるのである。
 そのエネルギーはどこから来るのか? チューブの入ったビーカーを鉛*2で密閉した箱に入れると流れはなくなる。しかし、そのビーカーを太陽光のもとに置いたり、人の手で包んで赤外線に当てたり、大地の電磁気界に置くとまた動き出すのだ。自然界には、これに対する多くのエネルギー源があるが、一番強力なのは、太陽光である。

 今や、血液の流れは容易に説明できる。細静脈は、非常に狭い親水性のチューブである。それは太陽光にさらされている。(光は私たちを透過している。暗い部屋で手のひらに灯りを当てるとわかる)また大地の電磁気を受けている。他人や動物の暖かさを受けている。これらにより、細静脈は、その内側に構造水の層を作っているのだ。中央のバルク水はプラスに帯電し、圧搾された陽子は互いに反発し合う。すると血液は上方に動き始める。それは中央の川に合流するにつれより早くなっていく。足や腕の筋肉の圧搾もこれに貢献するが、それらはもっぱら流れをサポートするスパイラル運動を助けるのである。また、動きが弱い時に重力に従うのを阻止する弁もある。
 しかし、豊かでしっかりした永続的な流れに必要なのは、親水性のチューブにエネルギーを与える、環境中の太陽光、大地のエネルギー、他の生き物から来る赤外線である*3
 すべての生き物と同じく、我々は、大地と太陽から力をもらっているのである*4

 循環器の病気は、構造水が適正に造られない時に生じるのだ。森林を伐採し、太陽と大地から遠ざけ、質の悪い栄養と水が与えられるようなものである。ちなみに、コーワン博士は、癌の発症のメカニズムにも、細胞中の構造水水の劣化の問題があることを指摘しており、別にそれをテーマとする本も出版している。またポラック博士は、構造水形成のエネルギーとして入浴も挙げている。身体を温水に浸ける日本式の入力は、免疫力アップに貢献していることは間違いない。日本のコロナの害を比較的少なく抑えているファクターXは、案外ここにも求められるのかもしれない。
 このモデルは、血管の衰えやアテローム動脈硬化の原因への重要な洞察を与える。血管の脆弱化や炎症は、心臓病の原因と考えられているアテローム動脈硬化の根底にあるプロセスである。ポラックは、血管の内側を覆っている、厚く粘性のある構造水の層は、毒や溶解した物質、他の物質を排除するので、その層を「排除ゾーン」と呼んでいる。この層が、血管を炎症のダメージから防いでいるのではないだろうか。構造水の層が適正に構築されないと、血管の壁は(動脈や圧力の高い側で)ダメージを受け炎症を起こすのである。壁は、プラークを造って、高圧から自らを守るのである。 

 ハーヴェイ以前は、ヴァイタル(生気)力が、血液を動かしていたと考えられていた。これは現代科学では全く否定されているが、上述のことをふまえれば、おそらく大昔の医師達は、私たちが信じ込まされているほどには、誤っていなかったのである。水は命を運ぶものであり、構造水がヴァイタル(生気)力であったのだ。
 血液循環の現実的な見方は、自然の中にある治癒の力と再び結びつくためのスタート・ポイントを与えることができるのである、とコーワン博士は述べている。

 血液は、心臓のポンプ機能によってではなく、構造水により自ら生み出したエネルギーで動いていたのである。人智学系の医学博士 アルミン・J・フーゼマンは、多くの生物の体内で、血管や心臓がないのに血液が流れていることを指摘している。これも血液が自ら動いていることを示している。
 また細胞の構造水の質が健康そのものに関わってくる。病気と構造水の関係はもっと研究されるべきであろう。

 これまでで、血液は心臓のポンプ機能により流れているのではないことが示された。では、心臓の本来の役割とは何なのか? これについては次回に譲る。

 

*1:"force of levity" 浮力のことかもしれないが、重力と逆に働く力ということであろうか。そうであれば、シュタイナーのいうエーテルに関連する力かもしれない。

*2:外部からの電磁気を遮断するという意味だろう。

*3:親子のスキンシップの大事さ、アニマルセラピーの意味は、ここにもあるのかもしれない。

*4:このことからも、太陽に当たらないと、免疫力をアップするビタミンDが不足することに加えて、コロナ対策としてのロックダウンはむしろ健康に害があると言わざるをえない。