k-lazaro’s note

人と世界の真の姿を探求するブログです。 基盤は人智学です。

2022-01-01から1年間の記事一覧

第1ゲーテアヌム消失から100年

実は、前回の記事で今年は最後とすることにしていたのだが、脱稿後、今年の大晦日にふさわしい論稿を見つけたので、これを紹介したい。 掲載誌は、いつもの『ヨーロッパ人』誌である。 スイスのバーゼル近郊、ドルナッハに、シュタイナーが創始した人智学の…

クリスマスの物語

まもなくクリスマスがくるので、今回は、これまで触れてきた「二人子どもイエス」のテーマとの関連でクリスマスについて述べてみたい。 「クリスマス」というのは、英語の「キリスト(Christ)」の「ミサ(Mass)」という意味に由来する。つまりキリストの降…

大乗仏教はどのようにして生まれたのか②

これまでキリストと仏陀、キリスト教と仏教の関係について述べてきた。キリスト教と仏教の教えや図像イメージに類似するものがあるが、これらは、外的事象として現われたものであり、それらが類似しているのは、同じ源泉に根ざしているからに他ならない。こ…

大乗仏教はどのようにして生まれたのか①

木造阿弥陀如来及両脇侍像 浄土寺 「キリスト教芸術におけるブッダ」では、仏教のキリスト教への影響について触れた。その中で、キリスト教以前の宗教はキリストに収斂し、以後の宗教はキリストから滋養を得たというようなことを書いたが、今回は、これに関…

"風を撒く者は嵐を刈り取る" プーチン演説の意味するもの

ドイツのメルケル前首相が、2014年のクーデター後にキエフ政権とドンバス2州の軍事紛争に関して、ロシア、ドイツ、フランス、ウクライナが停戦とウクライナの今後の国作りについて締結した「ミンスク合意」が、実際には、ウクライナに再軍備の時間を与えるた…

C.G.ハリソンと『超越的宇宙』

このブログにC.G.ハリソンとその著書『超越的宇宙The Transcendental Universe』の名が何度かでてきていたが、最近掲載した「アングロサクソンとロシアの対立 ③」にもでてきたので改めて調べてみたところ新たに分かったことがあるので、今回は、これに関して…

アレルギーの謎

以前、子どものワクチンの問題に関する論稿を紹介したが、今回は、その著者のダフネ・フォン・ボッホ氏による、アレルギーに関する論稿を紹介する。 これは、前回の記事と同様に、雑誌『ヨーロッパ人』に掲載されたものである。前回の記事は、子どもが対象と…

アングロサクソンとロシアの対立 ③

本格的な冬が到来しきてしている。その様な中、ウクライナの地では、現在、ロシア側は再侵攻の準備を整えてきており、その総攻撃が迫っているとも言われている。ウクライナは電気を初めとするインフラを失ってきており、客観的に見ればロシアの攻撃を押し返…

キリスト教芸術におけるブッダ③

サリンベーニの聖母 この項目は、ブッダの霊的潮流がキリスト教に流れ込んでいるとのシュタイナーの主張を考察するものであり、その②では、それを裏付けるものとして、通常のキリスト教芸術学では理解が困難な絵、ブッダ風の霊的存在が描かれているグリュー…

キリスト教芸術におけるブッダ②

ベルゴニョーネ「イエスの神殿奉献」 この項目の①では、主に、歴史的研究から指摘できるキリスト教への仏教の影響、つまり外的に現われた歴史的事象を見てきた。それに続き、今回は、シュタイナーに従って、ブッダとキリスト教の関係に関わる隠れた歴史を覗…

キリスト教芸術におけるブッダ①

福音書を朗誦している聖ヨサファト(12世紀のギリシアの写本より) このブログの主なテーマの1つである「二人の子どもイエス」という考えは、シュタイナーの「キリスト論」の一部を構成するものである。今回は、シュタイナーの「キリスト論」で論じられてい…

水の隠れた知性

最近、ツイッターで面白い情報を得たので、紹介したいと思う。 先ず下の図をみてほしい。 ちょっと見たところではよく分からないが、実はこれ、2枚が1組となっている。4枚の写真の一番左とその右隣が組となっており、更にその右隣と次の一番右端のものがやは…

良い睡眠をとるには

最近は、「快眠」のためのグッズやサプリがよく売れているようで、現代人の多くは睡眠の質の低下を抱えているようだ。 睡眠は、人生のおよそ3分の1を占めており、心身の健康にとって確かに大変重要な要素である。科学的研究も進んでいるようだが、秘教あるい…

意識が先か脳が先か?

人の意識は、人の脳が生み出しているというのは一般的な常識であろうが、シュタイナーを初め神秘思想は、人の意識が身体を離れて存在するという立場である。このブログでも、このことに関して「意識には脳が必要か?」で取り上げている。 例えば、臨死体験な…

全ての祭儀統一のための神殿

以前、ソロヴィヨフのアンチキリストの予言と現代の状況を比較している本(「ソロヴィヨフのアンチキリスト予言と現在の世界情勢 ①」)を紹介した。現われている現象の底流にある本質を見ると、現代社会は、彼により予言された社会に近づいているというので…

ギョベクリ・テペとアトランティスの双子

ギョベクリ・テぺの遺跡 「形態形成場理論はエーテル界を説明するか?」でルパート・シェルドレイク氏の説を紹介したが、氏のこの「形態形成場説」は、科学に新たな視点を与えるものである。一種のパラダイムシフトとも言えるものであろう。 しかし、現代主…

ジャンヌ・ダルクの使命 (後半)

前半に続き、ジャンヌ・ダルクの霊的使命にについて述べているジョーン・M・エドマンズ氏の『ジャンヌ・ダルクの使命』から紹介する。 エドマンズ氏は、世界史的使命を担ったジャンヌの誕生と死の日付けにまつわる意味を次のように語っている。 ジャンヌ・ダ…

ジャンヌ・ダルクの使命(前半)

ジャンヌ・ダルク 先に、「自由を巡る闘い(後半)」で、シュタイナーが、ジャンヌ・ダルクが歴史上重要な使命を果たしたと評価していることについて触れた。今回は、このことについて触れてみたい。 彼女のことを知らない人はいないだろうが、ウィキペディ…

形態形成場理論はエーテル界を説明するか?

以前、「物理学の基礎定数は変化する」で、ルパート・シェルドレイク氏について紹介した。 彼は、ケンブリッジ大学で自然科学、ハーヴァード大学で哲学と科学史を学び、生化学の博士号を取得した。植物発生学や細胞老化の研究を行い、英国王立協会会員である…

二人の子どもイエス-神殿の出来事 ④

ベルゴニョーネ「神殿のイエス」 ベルゴニョーネのミラノの絵 ③では、神殿の出来事の隠された真相について述べた。これに続いて、今回は、この秘密を密かに表現している絵画を紹介する。 先ず、クラウゼ=ツインマー氏が『絵画における二人のイエス』で最初…

二人の子どもイエス-神殿の出来事 ③

ドゥッチオ「神殿の12歳のイエス」 「二人の子どもイエス」に関わるテーマとして「神殿の出来事②」を書いてからだいぶ時間が経過してしまったが、今回は、ようやくその第3回目となる。 「二人の子どもイエス」というのは、イエスには、マタイ福音書の伝える…

自由を巡る闘い(後半)

ジャンヌ・ダルク この項目の前半では、第1次世界以降、現代までの歴史的経過が語られた。後半ではそれらの霊的背景が語られる。 ーーーーーーー 自由を巡る闘い(後半) この記事の前半では、歴史的な出来事から読み取れる自由への闘いの側面が紹介された。…

自由をめぐる闘い(前編)

ウクライナ問題が新たな段階に入っている。ロシア語話者の地域(いわゆる親ロシア派が支配し独立した地域)がロシアに編入されたからである。 西側の政治家は一方的な併合だと批判し、更なる制裁をと語っている。日本でも圧倒的多数の賛成票が信じられないよ…

メディア界による「霊的なものに対するワクチン」②

①では、霊界(エーテル界)の認識から人類、特に若者をそらすために、歪んだエーテル界のイメージを注入する「ワクチン」がメディアを通して行なわれているとして、いくつかの海外のファンタジー文学が分析された。 トールキンら初期のファンタジー文学にも…

メディア界による「霊的なものに対するワクチン」①

トールキン 「ソロヴィヨフのアンチキリスト予言と現在の世界情勢」で、予言と現在の世界情勢の関連に関するインゴ・ホッペIngo Hoppe氏の論稿を紹介した。現象として現われている実際の出来事は確かに異なっているが、その背後の本質は、ソロヴィヨフが予言…

9月24日に予定されている不吉な出来事とは?

今「陰謀論界隈」で9月24日に何か起こるのではないかという話題が注目されている。例えば次のような記事。 これに関連する海外記事を見つけたので紹介したい。 著者は、マイケル・スナイダーMichael Snyder氏で、彼は、アマゾンの紹介記事によると、「全…

第3次世界大変の到来か?

21日のウクライナへの一部兵員動員に関するプーチンの国民向け演説で世界が揺れている。西側及び日本のマスコミ、専門家は、ウクライナの攻勢を受けてやむなくプーチンが決断した、ロシアでは反戦が盛り上がってきており、プーチンの足下が揺らいでいるな…

ソロヴィヨフのアンチキリスト予言と現在の世界情勢 ②

フリッチョフ・カプラ氏とその著作 この項目の①では、インゴ・ホッペIngo Hoppe氏の著書『アンチキリストの短編物語』に基づき、ソロヴィヨフのアンチキリストの予言物語は、メルヘンや寓話的な表現であり、実際に起きるであろう出来事をそのまま描写したも…

ソロヴィヨフのアンチキリスト予言と現在の世界情勢 ①

ソロヴィヨフ 以前、19世紀ロシアの哲学者、文明批評家、詩人、ウラジーミル・セルゲイェヴィチ・ソロヴィヨフのアンチ(反)キリスト出現の予言について触れた。 それは、1つの物語となっており、ごく簡単に紹介すれば、アンチキリストが、最初、世界的な…

アングロサクソンとロシアの対立 ②

前回の、テリー・ボードマン氏のウクライナ問題の論稿のパート1では、英米が、中央ヨーロッパと東ヨーロッパを分断させ、ドイツとロシアの弱体化を図る戦略を進めてきたこと、シュタイナーによれば、その背景には、ドイツ人とスラブ人(ロシア)の協力の中で…