ノストラダムスのキリスト再臨の予言
(前の記事から続く)
ノストラダムスの世界の滅亡に関する予言詩とされるものは、次のようなものである(『ノストラダムス大全』による)。
1999年、7ヶ月
空から驚愕の大王がくるだろう、
アングルモワの大王を生き返らせるべく。
前後、火星は幸運に統治する。
デヴィッド・オーヴァソンは、これの原文(フランス語)を次のように英訳している。
The year one thousand nine hundreds ninety nine seven months
From the sky will come a great king of alarm
To bring back to life the great King of Angoulmois.
Before after Mars to reign by good fortune .
1999年が世紀末であることや「恐怖の大王」などの文言から、これを世界滅亡の予言ととる見方があるわけだが、その誤りは簡単に指摘できる。というのは、彼は、これが掲載されている彼の著作『予言集(諸世紀)』について、3797年までの期間を対象にしていると述べているからである。1999年に世界は滅びないのである。
ではどのように解釈できるのだろうか。
デヴィッド・オーヴァソンにとってもノストラダムスの予言詩の解釈は難題である。オーヴァソンによれば、その文章には、真の意味を秘匿する「秘法」が用いられているからである。オカルティストが用いるテクニック(彼はそれを「緑の言葉」あるいは「鳥の言葉」と呼んでいる)で、一般の人には簡単に理解できないようにその文章は構築されているのである。このことから、ノストラダムスの予言詩も、その字面と真意が一致していることはほとんどないという。
従って、オーヴァソンにおいても、その解釈はすっきりとはいかないのだが、おおよそ次のようになるらしい。
先ず1行目の意味だが、これは文字通り西暦1999年7月ととってもいいのだが、別の解釈もなりたつ。それには、先ず3行目の謎解きから行う必要がある。
キーとなるのは「アングルモワの大王」(原文は、grand Roy d'Angoulmois)で、このAngoulmoisは、ANGとOULとMOISに分けられるという。ANGは、Ange(フランス語で「天使」の意味)の語尾をとったものであり、OULはOLととれば大天使の呼び名、MOISは、フランス語の「暦の月」を意味する。中世のオカルト文書で、大天使のOL、オルは
獅子宮の主とされる。16世紀には、7月は獅子宮の月と見なされていたので、結局、Angoulmoisは「7月(の大天使)」ととらえることができる。
では、7月の王、獅子宮の主とは誰か? 獅子宮を支配するのは太陽であり、太陽の主は大天使ミカエルである。ミカエルは、7惑星を司る大天使の長であることからも、7の王とはミカエルとなる。
さらに、OLは、太陽のラテン語名、ソルSOLにちなむ。またオルの異名のオエルOELを綴りかえると、LEO(獅子宮)となる。ミカエルは7大天使の長であるが、AngoulmoisのOULの前は3字、後ろは4字であり、これを足すと7字となる。これもミカエルを示唆している。
このように、なんとアングルモアの大王とは、この世を滅ぼす悪魔のような存在ではなく、神に仕える大天使だったのである。(続く)