k-lazaro’s note

人と世界の真の姿を探求するブログです。 基盤は人智学です。

青酸カリによる死とその自我への影響

 

グロッセ氏の本(英語版)

 「太陽黒点と人間」で青酸カリによる人の死の問題に少し触れた。今回は、この問題をもっと詳しく見ることとする。

 「太陽黒点と人間」の文中に「チクロン B」というものが出てくるが、これはナチスアウシュビッツで使用したとされる毒ガスで、これはシアン化物 (青酸カリ)の一種である。これによって人が死ぬと、それにより太陽が破壊されるというのだが、実は、破壊されるのは太陽だけではない。シュタイナーによれば、人間の魂(自我)も破壊されるのである。
 このことについて、最近紹介記事が続いている、人智学者のエルトムート・ヨハネス・グロッセ氏の『自我のない人々は存在するか?』に触れられていたので、その部分を紹介したい。

 

青酸カリによる死とその自我への影響

 ナチスは、東方にドイツ人の移植地をつくるために、軍事行動を起こしたが、そこにはユダヤ人やスラブ人が暮らしており、彼らは虐殺された。ユダヤ人の殺害は主に青酸カリによって行なわれた。

  1923年10月10日、シュタイナーは、青酸カリの問題について講演している。

青酸カリを摂ると、それは、私たちの体のすべての運動と生命力を破壊する。しかし、悪いことは、誰かが青酸カリで自殺すると、常に、それが魂を捉え、その人格が、魂の中で生きることができず、宇宙全体へと、特に太陽光の中で、ちりぢりになる可能性があることである。

  シュタイナーは、青酸カリは、肉体を破壊するだけでなく、魂と霊を消滅させうるというのである。しかしそれは、絶対にそうなるというのではない。

  青酸カリは、人の魂と霊(自我)を消滅させるが、必ずそうなるということでもないらしい。そこには、当然、それを防ごうする霊的存在(天使達)がいるからである。青酸カリの働きについては、更に説明が続く。

人智学の知識が広がれば、誰も、青酸カリで自殺はしないだろう。青酸カリによる自殺が起きるのは、死は死であるという唯物主義的世界観の結果である。死のすべてが同じではないのだ。人が青酸カリの毒を摂るということは、その魂は、体のすべての粒子と一緒にどこにでも行き、特に窒素の中に自身を分散し、宇宙の中に分解していく意志をもっているということである。これは、魂と霊の真の死である。青酸カリの毒を摂ったものは、すべて、地球から太陽に向かう流れに誤った形で入り込むからである。人が青酸カリで死ぬと、適切は器具があれば、太陽に小さな爆発が起きるのを見るだろう。そして太陽は、それにより悪化するのである。人間が太陽と太陽から地球に流れる力を汚すのである。人は、実際に宇宙に影響を与えるのである。実際に太陽を破壊するのだ。」

 ここで起きているのは、自我が、無数の粒子に分解し、宇宙へと消滅していくということであるこれは、魂と霊の本当の死である。自我の破壊は、太陽の力の正統な統治者であるキリストに敵対する太陽の悪魔、ソラトの望むことである。

 ユダヤ人の青酸カリによる殺人は、ソラトとその共犯者がなす悪の1つの手段にすぎない。

 シュタイナーは、この講演で、なぜこのような話をしたのだろうか。おそらく、それを予知していたのである。

 ソラトとはキリストに敵対する「太陽の悪魔」であり、シュタイナーによれば、ヨハネの黙示録で666という数字であらわされているという。ヒットラーの背後にその働きを見る人智学者は多い。

 人は、死後、自分の人生のエーテル・イメージを体験する。その後、そのエーテル体は、宇宙エーテルに分散していく。アストラル体は更に残り、自我は、それを通して、自らの行動の他人や周囲に及ぼした結果を学んでいく。

 これにより自我は学ぶのである。死後の魂と霊における人の体験は、自我の進化にとって大きな意味を持っている。自分は何もので、未来の生で悪を善に変えるために何ができるのか、どのように生はつながっていくのかを、天使に教えられるのだ。

 自我が死ねば、これはできない。

 青酸カリの働きや、それに対する霊的ヒエラルキー存在達について更に説明が続く。

シュタイナーの青酸カリについての会話

 ゲオルク・グルート医師(1899-1967)が、若いときにシュタイナーのと交わした会話について次のように記録している。

 「私は、シュタイナーが、青酸カリにより魂が破壊され、真っ直ぐに太陽領域に入ることができず、多くの回り道を通らなければならないと話すのを聞いた。私は、物質的実質がレ、死後の魂にどうして影響を与えるのかがイメージできず、シュタイナーに尋ねた。彼はおよそ次のように答えた。『人間のエーテル体は、酸素によって肉体と結ばれている。青酸が体に入るやいなや、酸素は窒素になる。これは、エーテル体を断片にしてしまう。このため、人は、[死後](パノラマの)人生の振り返りができない。霊的ヒエラルキーも人間の魂を救うことに関心を持っているが、それは彼らにとって大変な仕事だ。』

 青酸ガスが次の戦争で使われるかどうかという私の質問に、彼は否定的だったが、他の恐ろしいことが準備されていると語った。それは、アメリカにおいてですかと問うと、ドイツという答えであった。後日の会話で、シュタイナーは、エーテル界がキリストの力に浸透される、人々は霊的教えを受け入れるようになるだろうと語った。また彼は、アーリマン的機械の製造を禁止すべきだと語った。アーリマン的機械に、倫理的法を適用すべきだと。

 1923年のクリスマス会議の時の会話で、シュタイナーは、次のように語った。『肝臓と脾臓の関係について探求したいなら、私の肝臓についての話しを1日学びなさい。3日と半日後、学んだことのすべてを忘れなさい。次の3日と半日後-つまり7日後-、脾臓についてすべて学びなさい。3日と半日後、学んだことのすべてを忘れなさい。また3日と半日が経つと、14日が過ぎることになります。』人間は限定された存在なので、あなたはまだ7日待たなければなりません。最初の日から21日を数えることになります。すると、アタナはそれを得るでしょう。年と月についても同じことができますが、週ではできません。』

 私は、この示唆は、青酸の毒に関連すると思う。私の同僚の多くは、それから何かを得るだろうから。私がその後、大学で学んだという事実は、私のこの生における第2の大きな過ちであった。しかしそれは、人の個人的な発展の大部分なのである。」

 青酸カリによる死は、地上の出来事であるだけでなく、霊的ヒエラルキー達の関心事でもある。彼らは、人の魂を助けたいが、それは彼らにとって「大変な仕事」なのである。シュタイナーの言葉は、霊的ヒエラルキー達が人類の発展に注ぐことのできる力は、限りがないのではないことを示唆している。

 ハンディキャップを持って再び生まれることは、青酸カリの死の罰であるかのように考えられるかもしれない。しかしそれは、逆である。こうした状況では、運命が、特別な力を伴う発展を促しており、力のバランスが補正され、恐ろしい死に苦しんだ者が、特に強い力を持って再び生まれてきたのである。

 また、アーリマン的機械とはどのようなものだろうか? 我々の観点では、それは、コンピューターあるいはそれらの類いのもので、人をコンピューター中毒にしたり、スクリーン上のものを実際のものと見なすようにさせるものであろう。これらの態度は、自我を弱める。自我は、スクリーンに現れるものにより荒廃させられる。ここで働いている力は、イメージ的には、すべてのものを裸にしてしまうイナゴのように見えるだろう。

 ゲオルク・グルートは、手を添えて治療する特別な能力を持っていた。しかし、この能力は、彼の人生のコースにおいては、あまり育たなかったのである。

 青酸カリによる死は、肉体だけでなく魂(自我)の死であり、そして太陽に対する攻撃でもある。つまり、この宇宙及び人類に対する攻撃なのである。それを霊的ヒエラルキー達は防ごうとするが、それは実際には大変困難な仕事であるようだ。

 黙示録に、第五の御使が、ラッパを吹き鳴らすと、大地の穴からイナゴがでてきて、「額に神の印がない人達には害を加えてもよいと、言い渡された」とある。上の文章に依れば、これは、ネットやデジタル器機により、人の自我の力が食い荒らされている現代の状況を予言しているのだろうか。
   ネットやデジタル器機は確かに便利である。特に今の若者は、これらが存在しない社会は想像もできないだろう。しかしその一方で、失っているものも大きいように思う。(かくいうこのブログもそれを利用しているのだが・・・) 実際、人智学の人には、ネットから遠ざかった人もいる。
 問題は、ネットやITの危険性を認識しているかどうかだと思うが、人間とITの融合などというおろかな考えには断固反対することも必要だろう。