k-lazaro’s note

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地球の進化

 

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シュタイナーのデザインによる「惑星印章」※

 すべてのものは進化する。
 かつて、キリスト教世界では、地上の生き物は、聖書の記述に基づき、神により最初から現在の姿で作られたとする「創造説」が一般的であったが、ダーウィンの進化論により、人間を含む生物が進化してきたとする考えが常識となっていった。
 では、その生き物が住むこの地球はどうであろうか。また物質世界を背後で支える霊的世界やその住人(霊的ヒエラルキー、天使達)はどうであろうか。
 シュタイナーによれば、それらもまた進化してきたのである。そして生き物及び人間を含むそれらは、すべてまたこれからも進化していくのである。
 人間は猿から進化してきたとするのがダーウィンの進化論である。かつて地上に生物は存在していなかったが、長い時を経て単細胞生物が生まれ、それが進化してより高度な生物となっていった、その最終段階にあるのが人間というわけである。
 だが、シュタイナー及び秘教の教えはそのような進化論を否定する。人間と地球の存在は同時に始まったのである。それは勿論、今のような人間ではない。始まりにおいては、今で言うような物質はまだ存在していなかったのである。
 地球(太陽系あるいは宇宙といっても良い)は進化してきたのであるが、それは人間の進化と密接に関連するものであった。従って、宇宙の中心は、人間の住むこの地球であった。秘教の教えが、地動説ではなく、天動説であるゆえんである。
 シュタイナーによれば、この宇宙はいくつかの段階を得てきている。それは惑星の名によって表されており、最初の状態は、「土星(進化期)」と呼ばれる。勿論、今の土星ではないが(故に「古土星」などとも呼ばれる)、今の土星の軌道と同じ大きさであったとされる。それを構成するものは、「熱」であり、それが現在の物質の原基であった。それはまた、ヒエラルキーの第1位階(ヒエラルキーは、3位階×3柱の天使、すなわち9柱の天使により構成されており、上位の天使ほどより進化している)に属するトローネという天使が、自らを犠牲に供した実質であったという。
 このように、地球及び人間の進化にはヒエラルキーが常に関与しており、その過程で、ヒエラルキーの天使達自身もまた進化していくのである。
 次の進化の段階は、「太陽」と呼ばれ、「空気」が加わる。その次は、「月」で、水が加わる。そして現在が「地球」で、「土」が加わり、現在の地球の姿が地上に出現したのである。
 また、「地球」の前半、即ちキリストの誕生までの時期は「火星」、それ以降の後半の時期は、「水星」とも呼ばれる。
 ここまで述べてきた順番を再度述べると、土星→太陽→月→火星→水星となり、これが曜日の並びであることに気づくであろう*1。では、これから先はどうなるのか?
 まさに、木星→金星へと地球は進化していくのである。だが、金星の次の進化状態は、また「土星」とは呼ばれない。それは、「バルカン(星)」と呼ばれる。同じ状態に戻るのではなく、1段(オクターヴ)上に昇るからである。
 人間も地球と共に進化していく。「人間の見えない体」で述べたように、「自我」の働きにより、新たに自らの霊体を獲得していくというのが人間のこれからの進化の道である。
 このように、初めに霊的存在があり、そこから物質が生まれてきた。それは、人間が精妙な熱存在から物質存在に降下してきた道である。それは、人間がその物質世界で自我を獲得し成長させるためであった。そして、人間は、これからの進化を通してまた霊的世界に帰って行くのである。

 非常に簡潔に述べたが、これがシュタイナーの説く進化の道である。しかし、進化の中で、人間は自我とともに自由を獲得した。実は、これは、神々により予定されているこれからの進化の道、霊界への上昇の道を、歩まない自由もあるということである。シュタイナーは、現在の唯物主義が修正されなければ、人類がその様な道を歩むこともあり得るとしている。
 宇宙はこれまで人間を生み出し成長させてきた。これからは、その人間の働きにより宇宙が人間とともに更に霊的に進化していくというのが神々の計画である。しかし、人間が霊界への再上昇を拒むというなら、それは、現在の宇宙が破綻するということである。これまでの歩みがすべて無駄になってしまうのである。

 人間は、宇宙の未来を握っているのである。

ルドルフ・シュタイナーは、宇宙と人間の発達を表す星のイメージの象徴的な表現とて、7つの変成惑星の印章(シール)をデザインした。これらの7つのうち最初の5つは、1907年の神智学協会のミュンヘン会議のプログラムで印刷された。惑星の印章は、スイスのドルナッハにある最初のゲーテアヌムの7本の木の柱にも刻まれていた。
 「これらの図は、私たちが自分自身で思考形態、つまりエーテル体の運動形態を作成するように促す手段です...リズミカルなシーケンスで、それらは完全な全体を形成します。それは、外側のエーテル体の世界における特定の発展の流れに対応するような全体です。私たちのエーテル体の完成と一致する形のシーケンスは、これらの図のシーケンスに次々に示されています。」(R.シュタイナー)

*1:曜日の並びの起源は、歴史的には、バビロニア文明に求められるそうであるが、記録として残っているというだけであり、実際の起源は不明と言えよう。元々文明の起源は、高度な霊的認識を有する者達(秘儀参入者)に求められるという。エジプト文明が初めから完成した姿で誕生したと言われるのも、このためであろう。曜日のような、日常何気なく使っているものに、案外、秘教の教えが込められているものなのである。