k-lazaro’s note

人と世界の真の姿を探求するブログです。 基盤は人智学です。

ジオエンジニアリング、トランスヒューマニズムそして新型コロナ ①

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 空中に怪しげな物質が散布されているとする「ケムトレイル」説をたまにネットで見かける。私も興味を持っていたが、「陰謀論」とも言われるので半信半疑であった。しかし、ある日、シュタイナー関係の出版社でこのテーマの本を見かけたので、全くのでたらめでもないのかと思い、参考のため購入しておいた。地球のエーテル界へのとの関係で、地球大気に影響を与えるということが気になったからである。
 しかし、結局、その本(以下の文章にも出てくる)は、目次をチェックしたくらいで本棚にしまっておくこととなった。
 ところが最近、再び、その本の著者が、『ジオエンジニアリングによるトランスヒューマニズム』という関連本をまた出版したことを知った。本の情報をネットで読んでみると、大変な内容の本であることがわかった。ケムトレイルやハープ等、前作に引き続く内容もあるが、トランスヒューマニズムやコロナ・ワクチン等にも触れていて、それが、現在ネットを騒がしているワクチンの未知の成分の問題にも関わっているようなのである。
 また、著者のエラナ・フリーランドのインタビューを読むと、彼女はシュタイナー学校の教師を務めたことがあることがわかった。シュタイナーを自分の師としているというのである。しかも、あのサン・ジェルマン(クリスチャン・ローゼンクロイツ)にインスパイアーされたようなのである。このことの真偽は勿論不明であるが、この本自体は、非常に科学的な内容の本のようである。語られていることは、氏の熱心な探求の成果であり、多くの根拠に基づく主張のようである(実は、まだ本格的に読んではいないが、多くの脚注が元データを示しているので、おそらくそうだろう。)

 最近の情勢を踏まえると、非常に重要な本であるから多くの人に知ってもらいたいが、英語の本で650ページもある。読了してから紹介するのでは、自分の能力を考えればいつになるかわらかない。幸い、この本のブックレビューを見つけたので、そちらを紹介することとする。これもまた、文章が長いので、2回に分けることとする。(Deepl翻訳に多少手を加えたものである。)
 掲載していたのは、「バーモント・インデペンデント」というサイトである。やはり地球工学やコロナの問題を多く扱っているようである。

vermontindependent.net

ジオエンジニアリングによるトランスヒューマニズム

:エラナ・フリーランドは、新著で、ケムトレイルHAARP、宇宙フェンスを超えて行く (ブック・レビュー: OUR GEOENGINEERING AGE)

 エラナ・フリーランドは地球工学関連の著書で広く知られているが、その研究の方向性を理解するためには、彼女が「サブローザ・アメリカ:A Deep State History」という4巻の著作の著者でもあることを認識することが重要であろう。
 フリーランドは『"サブローザ・アメリカSub Rosa America』をフィクションとしてではなく、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺以降のアメリカの歴史として分類している。
 彼女は、鉛筆から言葉が飛び出すほどのインスピレーションに「取り憑かれたのではなく、所有された」と語っている。
 最近のインタビューで彼女は、"1990年代初頭に『サブローザ・アメリカ』を書き始めたとき、頭上に2019という数字が大きな高さまでそびえていて、それが燃えているという強烈な夢を見た。"と語っている。
 "お気づきかどうかわかりませんが、私が2019年のフラッシュバックで小説を始めるのは、夢の中のそのビジョンがきっかけです。2019年に何かひどく大きな、重要なことが起こるという予感がしていたのですが、確かにそうなったのです!"
 『サブローザ・アメリカ 』は、フリーランドの世代に大きな打撃を与えた1960年代のアメリカにおける三大暗殺事件の余波を受け、真実を求める若者たち(絶えず生まれ変わるサンジェルマン伯爵に助けられる)が「アメリカを探せ」と旅する文学大作にほかならない。マインドコントロールプログラム「MK-ULTRA」など政府の秘密工作への言及や、来るべき先端技術の暗示も多く、エラナ・フリーランドの自伝という色合いが濃い作品であることを感じさせずにはいられない。
 2019年を舞台にした冒頭のシーンでは、主人公の女性が一人でロッキー山脈をハイキングしているときに、黒いヘリコプターの国連軍に遭遇し、頭上を通過するときに、恋人で双子の兄がMK-ULTRAプログラムの囚人だった優秀な科学者からもらった「透明マント」などを使って避難する。
 このイメージは、人間の自由意志の発達に反対する「権力や支配者」との戦い、つまり人類の未来を賭けた戦いに身を置くフリーランドの現在の仕事と深く共鳴している。
 エラナ・フリーランドは過去10年間、化学物質、電磁気学ナノテクノロジーといった最新科学を意図的に乱用することによって地球と人類に降りかかる破壊を、しばしば丹念に調査、記述、解釈する仕事に完全に打ち込んできた。
 彼女の最初のジオエンジニアリング本 "Chemtrails, HAARP and the Full Spectrum Dominance of Planet Earth" (Feral House, 2014) で彼女は、"イオン化したケムトレイルを持つHAARP技術は地球規模のDEW (Directed Energy Weapon) システムを構成する "と主張し読者にこのテーマを紹介しました。彼女はまた、"全スペクトル支配の方針のもと、地球上のすべてが軍事化される "と断言している。

 エラナ氏は、『サブローザ・アメリカ 』という小説も執筆している。それが、副題に「ディープ・ステイトの歴史」とあり、どうも、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺以降のアメリカの虚実入り交じった「裏面史」らしいのである。それに著者自身の自伝的要素もあるようである。さらに、「タイムトラベラー」(実際には転生を繰り返していると言うことだと思うが)としてサンジェルマンが登場しており、この小説自体がサンジェルマンによりインスパイアーされたものと思われる。

 フリーランドはどのようにして、このような大胆な結論にたどり着いたのだろうか?
 「私はまず、地球上の全領域を支配するという工学的な偉業に集中することから始めた」と、フリーランドはインタビューの中で語っている。「そのために、私は主にバーナード・イーストランドの1987年のHAARP特許に依った。そこには、電離層を制御して地球の大気中にイオンを引き込むために必要なものが正確に記述されている。
 イーストランドの「地球の大気圏、電離層、磁気圏の領域を変更する方法と装置」の特許は、フリーランドに、高周波活性オーロラ研究プロジェクト(HAARP)を学ばせた。これは、電離層加熱技術を作る目的でニコラ・テスラの電気伝送の発見を適応させ、イオン流に影響を与えるために、フェーズドアレイアンテナシステムを介して、高出力電子ビームを電離層に送ることができるものである。
 ニック・ベギッチ・ジュニアとジャン・マニングが先駆的な著書「天使はこのHAARPを奏でない」で報告しているように。(Advances in Tesla Technology" (Earthpulse Press, 1997)で報告している。)「HAARP(High-frequency Active Auroral Research Program)と婉曲的に名付けられた3000万ドルのプロジェクトは、1.7ギガワット(10億ワット)以上の放射パワーを地球の大気上空の電気を帯びた層である電離層に照射するために作られている。簡単に言えば、電波望遠鏡の逆で、受信する代わりに送信する装置である。上層大気を沸騰させる。電離層を乱した後、放射は長い波の形で地球に跳ね返り、我々の体、地面、海を貫通する」。
 フリーランドは、ストロンチウム、アルミニウム、バリウムを大気中に散布し、HAARPなどの送信によって電離させることで「クラウドシーディングがいかに電磁波化するか」を報告し、ケムトレイルが "普通のコントレイル(飛行機雲)ではない" ことを最初の著書で実証している。彼女はまた、地球工学と環境戦争が "利益と力の増殖 "であることを報告した。さらに彼女は、独立系科学者クリフォード・E・カーニコム(www.carnicominstitute.org)の広範な研究を読者に紹介することによって、現在モルジェロンとして知られているケムトレイル散布残留物由来の異常な物質について深い背景を提供した。
 「ケムトレイルに関する最初の本では、地球工学がどこまで進んでいるのか全く知りませんでしたが」とフリーランドは言う。"私はそれぞれの本が示す方向を追っていただけです。"

 「ケムトレイル」というのは、上述のように、飛行機で空中に得体の知れない物質を散布しているというものである。「陰謀論」とよく言われるが、実際に、その散布されたと思われる物質をサンプルとして収集し、実証的に研究している者もおり、簡単に否定することはできないようである。問題は、その目的である。ケムトレイルを主張する者の多くは、その危険性を主張している。「温暖化防止」を名目として空中散布を行う研究もあるようだが、実際にそれによりどのような影響が自然環境に生じるかは全く未知であり、「温暖化防止」を名目としても許されるものではないだろう。

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 フリーランドの直感は、彼女の研究に情報を与え、増幅させることができる人々と彼女を結びつける適性があるようだ。地球工学の大気散布の残留物を調べることで得られる物質的証拠の長年の研究で知られるカーニコムも、そうした人物の一人である。
 「2000年代初頭、私はクリフォードと友人になったのですが、それは運命のようなものでした。「サンタフェに引っ越してから、友人の友人を通じて、朝食会でクリフォードとその妻キャロルに会った。私は『サブローザ・アメリカ』を書いていて、ケムトレイルのことについてのファイルを持っていたんです。90年代の半ばから後半にかけて、クリフォードはニューメキシコ州北部の空で、長い飛行痕を持つジェット機が頭上を通過した後の結露を採取していた。彼は科学者として、ジェット機の飛行痕の化学的な特徴から、それが飛行機雲ではないことにすぐに気づきました。彼はまた、HEPAフィルターで破片を集め、その時にモルゲロンの繊維を発見し始めたのです」と彼女は言った。

 「モルゲロン」とは、モルゲロン病(モルゲロンズ病)の原因と考えられる物質のようである。この病気は、ウィキペディアによると、「自己診断に基づく、科学的裏付けのない皮膚疾患に対する非公式な名称である。この疾患の患者であると主張する人物は、自らの皮膚の傷(腫れ、ただれ)に繊維状の物質が含まれていると信じている。」とされる。公式には実際の病気と認知されていないようだが、ウィキペディア以外には、最近CDCも認めたというような情報もあり、真偽はわからない。ただ、「モルゲロンの繊維」というのが、最近ワクチンの成分として注目を浴びている物質に似ているのが非常に気になるところである。

 フリーランドは、最初の著書でモルゲロンズ現象を写真付きで詳しく説明している。皮膚の感染症のように見えるが、奇妙な針金のような突起がある。
 フリーランドはこう説明した。「生物学は私の学部での2番目の専攻でした。まだ知らなかったのは、分子生物学がデジタル生物学に変わりつつあるため、何年も前に勉強したことに本当に戻ることができないだろうということでした"。
 カーニコムとの初期の研究を通じて、モルゲロンがナノテクノロジーであることを発見したかと聞かれたフリーランドは、「その部分はまだ知りませんでした」と答えた。私が知ったのは、モルゲロンが遺伝子操作されたものだということです」。
 バイオテクノロジーナノテクノロジーは、主要メディアで報道されないため、一般にはまだあまり知られていない分野である。

 『イオン化した空の下でFrom Chemtrails to Space Fence Lockdown』(Feral House, 2018) で、フリーランドは、彼女の最初の調査を大きく発展させ、次のように書いている。"電離層加熱技術の第二段階、スペースフェンスが制定された今、(クリフォード・カーニコムの)リスト(彼の2005年の映画『Cloud Cover』から)を再構成し、それぞれの作戦の裏にあるいくつかの詳細を反映させました。"。
 彼女が提示したリストは、彼女の2冊目の本の内容の概要を示している。気象工学/地球工学、惑星/地球物理学的作戦、電磁気的作戦、指向性エネルギー戦作戦(C4)、監視/神経作戦、生物/トランスヒューマニズム作戦。
 最後のカテゴリーでフリーランドが述べている箇条書きも注目に値する。「ハイブマインド」モルゲロンの伝達、ナノ粒子の伝達:センサー、マイクロプロセッサー、その他の電気光学技術、DNAの遠隔遺伝子操作、自然をバーチャルリアリティで置き換える。
 カーニコム氏は『イオン化した空の下で』の序文で、「この本は綿密に調査され、文書化されている......」と書いている。ここで語られている支配システムの塊は実際に存在し、それらは目的と意図を持っている。目の前にある衝突の中で、精神的な完全性を維持できるかどうかは、私たち次第である。. .."
 フリーランドの言う「スペース・フェンス」とは、レーガン政権時代に始まったミサイル防衛システム「スター・ウォーズ」の第2段階である。電離層加熱装置、ミサイル防衛レーダー、SuperDARNレーダー、高出力レーザー、人工衛星、さらには国際宇宙ステーションなど、地上と上空に設置されたグローバルネットワークを通じて、ソ連崩壊後に停滞したその努力は、生まれ変わったと彼女は報告している。
 また、フリーランドは、携帯電話タワーの急増や、5G技術の開発と普及に内在する危険性について報告した最初のライターの一人である。
 しかし、『イオン化した空の下で』が何よりも強調したいのは、最初に単なる「ケムトレイル」として現れた地球工学技術が、人類の完全な変容、つまり人間であることの意味の変化に向けて、ますます波及し発展しているという主張を展開し記録することである。
 フリーランドは、2021年10月に発売された最新刊のタイトルとサブタイトルに、その重要なポイントをまとめている。"地球工学化されたトランスヒューマニズム: 環境は、いかにしてケムトレイル、電磁波、ナノ・テクノロジーによって、合成生物学のために兵器化されたか? "
 "このすべては、私たちが今見ているもの、環境プロセスのための準備の1つの長いエピジェネティックな物語です。"とフリーランドは言った。"環境全体を使って人間を襲うという規模は、考えてみればすごいことです。地球を全領域で支配し、太陽系を支配するための第一段階である秘密宇宙計画の下にあります。
 フリーランドはまた、ケムトレイル、新世代の「ワクチン」、遺伝子組み換え「食品」に織り込まれたマインドコントロールナノテクノロジーに良心的に異論を唱えている。

 どうも、人間を含め地球を全領域で支配する計画が密かに進められてきたということのようである。そして現下の新型コロナ騒動もその一部をなしているということである。

 "今は偉大な実験の時代です "と彼女は言った。「問題は、人々が自由意志の存在であるにもかかわらず、同意なしに人々を利用していることです。ルドルフ・シュタイナーは、人間は神々の宗教であると言いました。なぜなら、私たちは物質の身体に住み、地球上で物質的な経験をしている霊的存在であり、物質の中の霊であるからです。私たちは非常に特別な存在ですが、実験動物のように扱われているのです" と。
 シュタイナーは、ゲーテの科学的研究をもとに「精神科学」と呼ばれるものを確立し、ウォルドルフ学校運動やバイオダイナミック農法を生み出したことで広く知られているが、フリーランドにとって大きな師であった。
 "私はルドルフ・シュタイナーの弟子です。"と付け加え、"ミシガン州デトロイトルドルフ・シュタイナー研究所で訓練を受け、約16年間ウォルドルフの教師をしていました。"と語っている。
 現在のCOVID-19の世界的危機の間、デイヴィッド・オ=ヘイガンDavid O'Hagan(option3.co.ukのエッセイの著者)などの著者は、20世紀初頭にシュタイナーによってなされた声明を引用し、新世代のmRNA「ワクチン」に対する現代の懸念に関連していると思われる。
 例えば、「ルドルフ・シュタイナー超感覚的知識、講義2」に収録されている、「血液は非常に特別な液体である」と題する発言の中で、オ=ヘイガンはシュタイナーの言葉を引用しています。ある人を服従させようとするいかなる権力も、その人の血液に刻印するような影響を及ぼさなければならない...ある人の血液を所有するものは、その人を所有し、人間の『私(自我)』を所有するのである」。

 シュタイナーの、人間を精神(霊)から遠ざけるワクチンが出てくるという考えについては、別項を参照願いたい。またシュタイナーによれば、人の血は、人の自我の器官である。自我と血は密接に結びついているのである。ゲーテの「ファウスト」で、悪魔 メフィストフェレスファウストから「血の契約書」をとるのは、その人間そのものを支配するという意味である。新型コロナは、肺というより血液、血管を攻撃する病気というのは科学的に実証されてきたことであるが、このような意味もあるのかもしれない。

 ケムトレイル、新しい「ワクチン」、遺伝子組み換え食品(GMO)は、私たちの体を人工知能と結びついたパルス電磁波の受信機と送信機に変えるように設計されたナノテクノロジーの3大送信システムだと、フリーランドは新著で主張している。最終的に生み出されるのは、完全に改造されたトランスヒューマン、"Human 2.0 "にほかならない。
 これらは第4次産業革命の新技術であり、全体主義的で完全に監視・管理された社会の前触れであり、血液への攻撃であるとフリーランドは主張する。フリーランドはいつものように、懐疑的な読者に対して、トランスヒューマニズムアジェンダ第四次産業革命に関連する事柄について書いている他の著者の資料を豊富に提供し、脚注で確認できるようになっている。
 フリーランドは、本書の14章を3つのセクションに分け、読者を科学的資料の深い掘り下げから生まれるフリーランドの世界観に浸らせてくれる構成になっている。この世界観は、主流メディアが描く世界や危機とは大きく異なり、彼女が取り上げるテーマについての標準的な考え方に慣れた読者の前提を大きく覆すものである。しかし、フリーランドは、読者を全く新しい知的領域に引きずり込むことに何の弁明もしない。
 「私たちは、問題を発生させたのと同じ考え方では、問題を解決できないのです」と、彼女は私に語り、他のインタビューにも答えている。
 新著の第1章「上にあるように下もAs above, So Below」では、いまだイオン化した空と地球工学的森林火災の現象、3つの配送システムとそれらが提供するナノテクノロジーの進歩、新しいテクノロジーにおける磁気の利用、5Gとモノのインターネット、秘密の宇宙計画と我々が暮らす「空の目」の衛星制御について述べている。
 第2部「スマートシティからの生還」では、フリーランドが「持続可能な開発」の都市に今設置されている様々な「二重利用」、侵略的、兵器化したシステムについて説明する。彼女は「スマートシティは武装化した都市である」と主張し、照明、監視、群集制御、ハイテク病院などの新技術に現れている、進行中の都市実験について述べている。
 第3章「トランスヒューマニズムトロイの木馬」では、「身体、脳、環境へのBCIインプラント」を通じて、「BCI-脳-コンピュータ・インターフェースの出現」に人間が委ねられる悲劇を暗示している。そして、"トランスヒューマン主義者の優生学/Newgenics" で「ヒトゲノムをめぐるドラマ」を概観し、最後に今日のドラマ "The COVID-19 'Vaccine' Event" に辿り着くのである。
 この章では、新世代のmRNA「ワクチン」について包括的かつ詳細な説明がなされているが、ナノテクノロジーを含むこれらの新技術の複雑さと、それらが人間の生体やゲノムに及ぼす影響について、筆者がこれまで読んだ中で最もよく理解できる内容であった。
 結論である「残された人類」は、ここまで詳細に述べてきたようなあらゆる攻撃に直面した時、私たち人間が日常生活に取り入れるべき最も重要な習慣とは何かについて、彼女が考えたものである。彼女はまず、人間の意識と思考の量子的性質を説明し、次に人間の免疫システムを強く保つために、テクノロジーではなく自然に従って「バランスのとれた状態」を維持する方法を提案している。

 「ケムトレイル、新しい「ワクチン」、遺伝子組み換え食品(GMO)は、私たちの体を人工知能と結びついたパルス電磁波の受信機と送信機に変えるように設計されたナノテクノロジーの3大送信システム」ということで、人の内外の環境がすべて攻撃されているようだ。
 ちなみに、ビル・ゲイツは大規模に農地を買収してきており、遺伝子組み換えの作物を推奨しているらしい。環境に優しいとして。

(以下、次回に続く)

心臓はポンプではない ④

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回転するチェスタヘドロン

 引き続きトマス・コーワン博士の『人間の心臓、宇宙の心臓』から心臓の新たな世界を探求する。
 前回は、フランク・チェスター氏のチェスタヘドロンという7面体が心臓の構造や機能を解明する鍵となることに触れた。チェスタヘドロンを水中で回転させると、回転軸の周囲に沿って渦が発生したのである。一度渦ができると、チェスタヘドロンの側面に付着しているように見える一種のネガティブな空間が形成された。・・・

 チェスターは、それに付いた付属物とともに回転するチェスタヘドロンの形を造形してみた。彼は、この付属物が、水の中で回転させると、それ自身の渦を造ることを見いだした。しかしそれは、チェスタヘドロン本体が造る、より垂直的な渦よりもより水平的な形となった。より水平的なこの渦自体は、人の心臓の左心室に付着した右心室の形に非常に似ていた。

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左がチェスタヘドロン、右が心臓の断面

 チェスターは、更に、回転するチェスタヘドロンの、その最も厚い部分の付属物を含む断面をとってみた。驚くべきことに、それは、右心室と左心室の断面に似ていたのである。壁の厚さと、空洞のサイズは同じ、心室の付着の角度はほぼ同じであった。

 心臓は、シュタイナーが予言したように、キューブの中の7面体なのだろうか?

 解剖学では、心臓は筋肉であり、その厚さにはバリエーションがあると習う。しかし、筋肉の層がいくつあり、また心臓の底(チェスタヘドロンの頂点がキューブの底と当たる点)がなぜとても薄いのかの理由は教えられない。頂点は1層の筋肉の厚さである。ここは、左心室の出口、動脈弁の反対側にある。ポンプ説によれば、もっとも圧力、ストレスがかかっている場所である。最大の圧力の場所がこのように薄いというのは可能なのだろうか。
 チェスターは、研究を進める中で、スコッロランドの19世紀のナチュラリスト、ジェームズ・ベル・ペティグルー James Belll Ptrigrewの解剖の研究にであった。彼は、心臓の異なる場所で、筋肉の層の数が最小の1(頂点=底の部分)から7までと異なることを見いだした。チェスターは、水の中の回転するチェスタヘドロンが造る水のコーン(円錐形)が描く角度で、回転するチェスタヘドロンを紙の層で巻き付けてみた。チェスターが、的確にその形を巻き付けることができたのは、即ち心臓のいろいろな部分で筋肉の層の厚さを再現できたのは、最大の厚さのところが7層で、頂点が1層であった。

 血液は、静脈を通って心臓に戻ってくる。それの主に垂直方向の流れは、右心室の上の小さな部屋、右心房に帰ってくる。

 ルドルフ・シュタイナーが、心臓がポンプでないとする場合、何に似ているかと問われた時の答えは、水(油)圧式ピストン(水撃ポンプか?)が近いというものであった。それは、流水の中に置かれる器具である。それは、その開閉機構の後ろに一時貯水のタンクをもっている。門の流入側で圧力と容量が高まると、真空あるいはネガティブの圧力が、門から遠いサイドに造られる。門をはさんで一定の圧力差が生まれると、門は開き、液体は推進力を得て、スロープを昇ることができる。
 心臓でも同じ様なことが起きる。静脈の血は、右心房に流れてくる。右心房の圧力が高まると、(三尖弁の)門が開き、血液は右心室に入ってくる。しかし、起きるのはこれがすべてではない。チェスタヘドロンが示しているように、右心室に達した血液の流れは、次の門(肺動脈弁)に入っていく前に渦に変化する。同時に二つのプロセスが起こっているのである。第1は、水圧式ピストンによりモーメンタム(はずみ)が増大する。しかしそれと同時に、流れの形は、ラミナール・フロー(層流:物体のまわりに実現される規則性の強い流れ)から渦に変化する。更に、心臓の右側の活動は、右心室から水平方向にある肺に進む間に、静脈の垂直方向の層流を、渦の水平的な流れに変えるのである。
 そして血液は、肺を通って再び毛細血管へと入っていく。肺の毛細血管の高い抵抗の中を血液がどうして流れていけるのかについては、納得できる説明はほとんど存在しない。血漿に保持され、その直径は毛細血管とほとんど同じ血液細胞を伴う粘性の高い血液が、広大な肺の毛細血管網を抵抗なく流れているのである。この血液が1マイル(1609m)にも及ぶ旅をするのを、右心室の小さなポンプの圧力に課すことは可能であろうか。

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 血液は、毛細血管に達した後、また水平方向で、左心房に戻ってくる。それは、僧帽弁の背後の、流れる血液のエネルギーを蓄える一時的な貯蔵所としての役割を持つ。左心房で圧力が高まり門が開くと、左心室へと流れていく。すると、チェスタヘドロンが示すように、左心室は、この層流を垂直方向の渦に転換する。この渦は、造られた圧力と一緒になって、大動脈弁を開き、動脈を通って身体の他の部分へ解放される。
 心臓はポンプではなく水圧式ピストンであるとするもう一つの証拠は、心臓収縮期の大動脈弓(上の右図参照)のふるまいである。もし心臓がポンプであるなら、心臓が血液を大動脈弓に押し出した時、その力強い押し出しの度に、柔軟性のある弓は真っ直ぐになるはずである。庭のホースに水を流せば、その圧力でホースが真っ直ぐになるように。しかし、逆に、この収縮期に、大動脈弓は内側により急角度で曲がるのである。
 収縮期に大動脈弓が内向きに曲がることを説明できるのは、ネガティブの圧力しかない。そしてこのネガティブの圧力は、水圧式ピストンによって造られる吸い込みに似ているのである。この大動脈弓の不思議な振る舞いは、圧力により押し出された血液というより、心臓が、ネガティブの圧力、吸引を生み出していることを示している。心臓が行っているのは、圧力を造っているのではなく、血液のモメンタムを増大させるための吸引である。

 心臓はポンプではないとすると、その役割は、渦を造ることである。(これは後にまた探求される)(続く)

クリスマスはいつか?

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コレッジョ「キリストの誕生」

 クリスマスとは「キリストのミサ」という意味である。イエス・キリストの誕生を祝う降誕祭ということである。多くのキリスト教宗派では、12月25日がイエス・キリストの誕生日とされ、この日に行われる。ただ、教会暦の上では、正式には24日の夕刻から25日の日没までが25日ということになっており、24日夕刻から一連の行事が行われるところもあるようである。多くの家庭では、24日の夜にクリスマスの晩餐をとり、クリスマスを祝っていることだろう。
 しかし、いずれにしても、この日は本当にイエスの誕生日なのであろうか? 聖書自身に、イエスの誕生の日付がどこにも記録されていないからである。あいにく、聖書以外の記録にも実はイエスの生涯について記したものがなく、歴史学的には、その生年も含め、誕生日は不明のままなのである。
 それが12月25日になったのは、古代における太陽神信仰の重要な祭りで、この日に行われていた冬至祭に由来するというのが一般的な解釈のようである。1年のうち最も日が短くなるこの冬至を境に太陽の力が復活すると考え、ヨーロッパ各地で冬至祭が行われていたことから、これを借用したというのである。
 キリストは太陽霊であるから、確かにこの日というのは、それはそれでふさわしいのだが、歴史的な事実としてはどうだろうか。「二人のイエス」の立場に立てば、二つの誕生日が存在することになり、この問題は更に複雑になる。
 キリスト教界においては、12月25日とは異なる日に降誕祭を行う宗派がある。この日を降誕祭とする風習が定着する以前には、アルメニアギリシアなどで1月6日説が採用されており、現在でもアルメニア使徒教会においては、教会暦上の1月6日を降誕祭の日としているという。かつては、1月6日も、イエス降誕の日として有力な候補であったのである。
 また、この1月6日というのは、同時にヨルダン川で洗礼者ヨハネから洗礼を受けた、「キリストの洗礼」の記念日でもあった。更には、イエスが東方の3博士の訪問を受けた日ともされている。これらのことから、この日は、カトリック東方教会も含め、エピファニー(公現祭)の日とされている。エピファニーというのはギリシア語が語源で、「出現する」という意味であり、神が人の前に現れたことを祝うのである。
 羊飼い達は12月25日にイエスのもとにやってきて、東方の3博士達は、その後、1月6日にやってきたということになるのだろう。

ここで「二人の子どもイエス」の立場に立ってこれらの日付を考えるととどうなるだろうか。12月25日は、羊飼いの訪問のみ語っているルカ福音書の伝えるイエスの、1月6日は、東方の3博士の訪問のみを語っているマタイ福音書のイエスの誕生日と考えることができるかもしれない。

 では、シュタイナーは、これに関して何と語っているだろうか?
 残念ながら、シュタイナーは、二人の子どもの誕生は同じではなかったが、それほど時が離れてもいなかった、というような表現にとどめており、明確にその日付を語ってはいないのである。このため、人智学派の研究者達は、その日付を特定しようと、その後悪戦苦闘しているのだが、まだ決定的な結論は存在していないようである。
 その探求の手がかりとなるのは、一つは、ヘロデ大王による赤ん坊の虐殺である。ユダヤのメシアの誕生により、自分の地位が脅かされることを恐れたヘロデ大王は、ベツレヘムでイエスと同じ頃に生まれた子ども達をすべて殺すように命じた。マタイ福音書において、イエスの降誕に伴って起きたと述べられている出来事である(イエスの家族は、天使の指示により、これを逃れるためにエジプトへ逃避する)。
 しかし、ルカ福音書には、エジプト逃避も含めこの出来事の記述はない。つまり、ルカのイエスが生まれた時には、既にその危機が去っていた、即ちヘロデ大王の治世は終わっていたと考えられるのである。
 このことから、マタイの子どもが先に生まれ、その後にルカの子どもが生まれたということは言えるのだが、どうも二人の年月日の特定までにはいたっていないのである。

これらのイエスの誕生日を巡る諸説については、機会があればまた語ってみたい。

 ところで、先に触れた1月6日と言う日付であるが、この日をクリスマスとするのは、案外、的はずれではないようである。この日は、イエスヨルダン川で洗礼を受けた日である。それはつまり、以前に触れたように、キリスト霊が、天界から降ってきて、イエスの身体に受肉した日と言うことである。ということは、キリストの地上界における誕生の日である。クリスマスの原義である「キリストの誕生を祝うミサ」にふさわしいと言えよう。

 コレッジョ「キリストの誕生」について

 上に掲げた絵は、ルネサンス期のイタリアの画家コレッジョによるイエス誕生図である。クラウゼ・ツィンマーは、『絵画における二人の子どもイエス』の中で、ルカの子どもの描き方の変遷を語る中でこの絵について触れている。
 ルカの子どもは、まさに天国からきた純粋な存在で、自らが熱や光の存在そのものであったから、ルカの誕生を描いた初期の絵画では、それを強調し、裸のまま地面に置かれていた。何も覆いをかける必要がなかったのである。
 やがて人間的配慮から、地面に直に置くのは忍びがたくなり、麦わらに子どもを寝かせたりするようになるが、それでも、画家達は、子どもに身体の輝き(オーラ)を与えることはやめない。しかし、その表現はますます地上的、世俗的になっていく。
 「彼ら(画家達)は、子どもの裸の身体におむつや布を決してかけていないのである。それらの絵では、愛に満ちたマリアも、生まれたばかりの子どもを守って腕の中に抱くことをせず、その前でひざまずき、祈っているのである。更なる発展と共に、画家達は益々そもそも光輝なしで済ませるようになり-それはとりわけデューラーにも既に見られるが-、あるいは特にコレッジョが始めたように、その輝きは、礼拝者の顔に反射する光の放射へと変わっていった。それは即ち地上的な光に変化したのである。」

 

心臓はポンプではない ③

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チェスタヘドロン

心臓の幾何学

 心臓がポンプではないなら、それは何なのだろうか? 何をしているのだろうか?
 コーワン博士は、「それを知るには先ずその形から探ってみる必要がある」として、心臓の形について解説していく。
 心臓は、「ハート型」ではない。解剖した人体の心臓を見ると、それは組織の塊であり、器官ですらない。脂肪の中の筋肉。心臓は何ら特殊なものではない。
 心臓は、特殊な中間筋(人体では他には子宮のみ)でできている。それ自身の葉状部のある4つの弁をもっており、心臓の4つの部屋(上の2つの心房と下の2つの心室)のそれぞれの厚さは異なる。
 自然と人間に繰り返し現れる形はスパイラルである。特に、その成長の要素が黄金比(小数点では1.618と表され、phiにより示される)である多くの「黄金」スパイラルがある。 「黄金」というのは、短い部分と長い部分の長さの比が、長い部分と全体の長さの比に等しくなるからである。フィボナッチ数列(“1,2,3,5,8,13・・・”のように、前の2つの和が次の数となる)の隣接2項の比は、黄金数に収束する。
 黄金スパイラルは、極微ではDNA分子に、極大では銀河に見ることができる。オウムガイの殻、ヒマワリの頭、枝に成長する葉、バラの花弁等々に観察できる。黄金スパイラルは、ギリシャパルテノン神殿で見ることができ、フィボナッチ数列は、ベートーベンの第5交響曲の初めに聞くことができる。
 同様に、人体には、数のパターン、幾何学図形、スパイラル、フィボナッチ数列を見ることができる。歯の配列を考えてみると、赤ちゃんには5つの乳歯の4セットがある。人は、7歳頃から始めて21歳頃までに、8本の歯の4セットを完成させる。
 

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乳歯と永久歯

 おそらく、幼い子どもが、7歳頃までは、特に強く5音音階のペンタトニック共感するのは偶然ではない。実際最も効果のある子守歌はペンタトニックである。大人は、夢を見るようなペンタトニックの世界から離れ、オクターブ、8音音階に至る。
 あるいは、肩から指先までの8つの骨の関係、あるいは尻からつま先までの骨の関係を見ると、それらの骨の長さは、西洋のオクターブ音階の音符の間にある音程と同じ比率である。
 あるものの形を理解することは、その機能を理解する上で大変重要である。例えば、卵は、その生き物の種により形が違う。より円錐形であったり、球に近かったりする。巣を崖に作るような鳥では、より円錐形になる。転がって落ちないためである。どちらにしても、卵は外部からの衝撃に強い。

 ここでコーワン博士は、第3の研究者の研究を紹介していく。それは、サンフランシスコのヴァルドルフ(シュタイナー)学校の教師、彫刻家にして哲学者のフランク・チェスターFrank Chester氏である。彼は、2000年にルドルフ・シュタイナー大学のクラスをもってから、特にプラトンがすべての自然現象の基礎と考えた「プラトン立体」に興味を持つようになった。この5つのプラトン立体は、唯一、「規則正しい」凸面立方体である*1。「規則正しい」多角形は、等角(すべての角が同じ角度)で等辺(すべての辺が同じ長さ)の2次元図形であり、規則正しい立方体(正多面体)は、同じ角度、同じ辺の3次元の形である。

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プラトン立体

 チェスターは、人智学の知識により、シュタイナーが、胸の中の箱をイメージしたものの中に、7面体の心臓を描いていたことを知っていた。彼は、幾度の試行の後、これを造形することができた。チェスタヘドロン(同一の面で12の縁と3つの異なるシンメトリーを持った、4つの正三角形とカイト型の4辺形による7面体)である。

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チェスタヘドロン(左は展開図)

 これが、心臓の形と機能についてのダイナミックな洞察を生んだ。チェスターの次のステップは、シュタイナーが示唆した、この7面体を、それを入れることのできる最も小さな箱の中に置くことであった。頂点を下に向けて、正6面体の箱に入れたのである。頂点は、立方体の中心には落ちず、少し外れている。中央から36度ずれて座っているのである。これは、人間の心臓が正中線からはずれて位置しているのと同じ角度である。

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 チェスタヘドロンの縁を回転させると、心臓の部屋で一番大きい左心室の空洞と正確に合致する。36度の角度を持っているのはこの左心室なのである。
 チェスターは、更にワイヤーで造ったチェスタヘドロンを水中で回転させてみた。すると回転軸の周囲に沿って渦が発生したのである。一度渦ができると、水の中に、チェスタヘドロンの側面に付着しているように見える、一種のネガティブな空間が形成された。

Frank Chester - The Chestahedron - The Wonder of Seven - YouTube

1 Frank Chester at the Green Meadow Waldorf School Oct 2009 - Bing video

チェスター氏の探求は更に先に進む。(④に続く)

 

 

*1:すべての面が同一の正多角形で構成されてあり、かつすべての頂点において接する面の数が等しい凸多面体のこと。正多面体には正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体の五種類がある。

心臓はポンプではない ②

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自然は脈動する: ヴィクトル・シャウベルガーの驚くべき洞察

 「心臓はポンプではない」というシュタイナーの考えについて語るために、①では、トマス・コーワン博士の本『人間の心臓、宇宙の心臓』から、ジェラルド・ポラックの水の第4相、構造水についての解説を紹介した。コーワン博士は次に、オーストリアのヴィクトル・シャウベルガー (1885年6月30日-1958年9月25日)の驚くべき洞察を解説する。

 シャウベルガーは、林業家として森林を流れる水に興味を持った。彼の発明は、エネルギー生産や農業に役立てられている。シャウベルガーによれば、植物や動物の生命に有用で健康な水には二つの特徴がある。一つは、流水は、渦巻きあるいはスパイラル状でなければならないということ。もう一つは、水の温度は、特に夜は、摂氏4度かそれに近くなければならないといことである。それは、構造水が存在するのに最も適した温度である。

 これを観察するのに、トラウト(鮭)が鍵となる。水が健康であると、シャウベルガーによれば、重力と軽さの力*1が均衡する。ゆえに、川床の岩の渦の中で泳ぎ続けるトラウトは、二つの力の均衡の中でいつまでも静止していることができる。静止したままで、栄養物の方からトラウトの方にやってくることになる。こうした幸運にあるトラウトは、太っていておいしい。彼は、夜中に、このエネルギーの流れが、うまく形成された滝の中に光の水路のように見えたという。トラウトは、それを利用しているのである。
 シャウベルガーが見たのは、水の中に生きている軽さの力である。この力は、川の渦の中で上向きに流れている。森林を健全に保つには、川は樹木で覆われていなければならない。ダムは不要である。水が楽に流れるかどうかは、温度と(スパイラルや渦の)流体力学(活動力)による。この条件が合致すれば、生命は楽に活動でき、健康が自然に生まれる。この状態は、構造水の自然な状態である。これは、人の循環システムの血液の中の流れの基礎となる構造水の状態である。

 シャウベルガーとポラックの理解を合わせると、生命のシステムにおいて液体がいかに流れるかということの洞察を得ることができる。セコイアの木の樹液が、なぜ大地から300フィート(約91メートル)もの高さにまで上昇するかを考えることができる。通常の科学は、水は、毛管の中を、重力が邪魔するので、33フィート(約10メートル)以上の高さに昇れないとしている。これは気圧限界とされる。しかし、33フィートより高い木は多く存在し、樹液がてっぺんまで昇っていくのである。蒸散現象が幾分の追加の上昇を説明するが、45フィートより高くなることはない。
 この答えは、樹木の木部の水路は高い親水性であり、構造水を作り出すことである。それが、そのチューブの中央のバルク水を引き揚げるのである。
 そのエネルギーはどこから来るのか? チューブの入ったビーカーを鉛*2で密閉した箱に入れると流れはなくなる。しかし、そのビーカーを太陽光のもとに置いたり、人の手で包んで赤外線に当てたり、大地の電磁気界に置くとまた動き出すのだ。自然界には、これに対する多くのエネルギー源があるが、一番強力なのは、太陽光である。

 今や、血液の流れは容易に説明できる。細静脈は、非常に狭い親水性のチューブである。それは太陽光にさらされている。(光は私たちを透過している。暗い部屋で手のひらに灯りを当てるとわかる)また大地の電磁気を受けている。他人や動物の暖かさを受けている。これらにより、細静脈は、その内側に構造水の層を作っているのだ。中央のバルク水はプラスに帯電し、圧搾された陽子は互いに反発し合う。すると血液は上方に動き始める。それは中央の川に合流するにつれより早くなっていく。足や腕の筋肉の圧搾もこれに貢献するが、それらはもっぱら流れをサポートするスパイラル運動を助けるのである。また、動きが弱い時に重力に従うのを阻止する弁もある。
 しかし、豊かでしっかりした永続的な流れに必要なのは、親水性のチューブにエネルギーを与える、環境中の太陽光、大地のエネルギー、他の生き物から来る赤外線である*3
 すべての生き物と同じく、我々は、大地と太陽から力をもらっているのである*4

 循環器の病気は、構造水が適正に造られない時に生じるのだ。森林を伐採し、太陽と大地から遠ざけ、質の悪い栄養と水が与えられるようなものである。ちなみに、コーワン博士は、癌の発症のメカニズムにも、細胞中の構造水水の劣化の問題があることを指摘しており、別にそれをテーマとする本も出版している。またポラック博士は、構造水形成のエネルギーとして入浴も挙げている。身体を温水に浸ける日本式の入力は、免疫力アップに貢献していることは間違いない。日本のコロナの害を比較的少なく抑えているファクターXは、案外ここにも求められるのかもしれない。
 このモデルは、血管の衰えやアテローム動脈硬化の原因への重要な洞察を与える。血管の脆弱化や炎症は、心臓病の原因と考えられているアテローム動脈硬化の根底にあるプロセスである。ポラックは、血管の内側を覆っている、厚く粘性のある構造水の層は、毒や溶解した物質、他の物質を排除するので、その層を「排除ゾーン」と呼んでいる。この層が、血管を炎症のダメージから防いでいるのではないだろうか。構造水の層が適正に構築されないと、血管の壁は(動脈や圧力の高い側で)ダメージを受け炎症を起こすのである。壁は、プラークを造って、高圧から自らを守るのである。 

 ハーヴェイ以前は、ヴァイタル(生気)力が、血液を動かしていたと考えられていた。これは現代科学では全く否定されているが、上述のことをふまえれば、おそらく大昔の医師達は、私たちが信じ込まされているほどには、誤っていなかったのである。水は命を運ぶものであり、構造水がヴァイタル(生気)力であったのだ。
 血液循環の現実的な見方は、自然の中にある治癒の力と再び結びつくためのスタート・ポイントを与えることができるのである、とコーワン博士は述べている。

 血液は、心臓のポンプ機能によってではなく、構造水により自ら生み出したエネルギーで動いていたのである。人智学系の医学博士 アルミン・J・フーゼマンは、多くの生物の体内で、血管や心臓がないのに血液が流れていることを指摘している。これも血液が自ら動いていることを示している。
 また細胞の構造水の質が健康そのものに関わってくる。病気と構造水の関係はもっと研究されるべきであろう。

 これまでで、血液は心臓のポンプ機能により流れているのではないことが示された。では、心臓の本来の役割とは何なのか? これについては次回に譲る。

 

*1:"force of levity" 浮力のことかもしれないが、重力と逆に働く力ということであろうか。そうであれば、シュタイナーのいうエーテルに関連する力かもしれない。

*2:外部からの電磁気を遮断するという意味だろう。

*3:親子のスキンシップの大事さ、アニマルセラピーの意味は、ここにもあるのかもしれない。

*4:このことからも、太陽に当たらないと、免疫力をアップするビタミンDが不足することに加えて、コロナ対策としてのロックダウンはむしろ健康に害があると言わざるをえない。

心臓はポンプではない ① 

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 シュタイナーの人智学は人間と宇宙の総体を視野においている。そこから来る認識は、従って、人間の精神(霊的)的側面だけでなく、魂的、また肉体的側面にも及んでいる。このような人間総体を把握する認識に基づき、いわゆるシュタイナー教育が生まれたのだが、医療においても同様に、人智学医療と言えるものが発展してきている。
 今回、取り上げたいのは、シュタイナーの心臓についての考えである。それは、表題にあるように、心臓は血液を送り出す「ポンプ」であるとする常識に真っ向対立する認識である。また、シュタイナーは、精神が新たな能力を発展させていくとしているが(精神の進化)、身体もそれに応じて進化していくと考えており、心臓は未来に新たな器官へと進化するとも語っている。

 シュタイナーの、心臓はポンプではないという考えは、初めて聞いた人にはひどく奇異に思えるだろう。心臓の鼓動や血管の脈拍は、まさに心臓が血液を押し出している感覚にぴったりだからである。だが、近代以前の人々は、心臓をポンプだとは考えていなかった。非物質的で精妙な生気(精気)が人体を動かしているという考えである。
 人智学周辺では、当然、これを検証する人々が存在してきた。常識、先入観に惑わされることなく心臓を巡る現象を観察すると、そこにシュタイナーの考えの正しさが見えてきたのである。
 それに基づき、いくつかの本が出版されているようである。先ず紹介していきたいのは、アメリカのトマス・コーワンThomas Cowan氏の『人間の心臓、宇宙の心臓』という本である(翻訳書はない⇒2023年5月に『ヒューマンハート•コズミックハート』という題名でヒカルランドから刊行)。

 トマス・コーワン氏は、医学博士で、栄養学、ホメオパシー人智医学、ハーブ医学など、医学の多くの主題について研究、実践してきており、ワクチン、自己免疫および小児期の病気などの本を執筆している。人智医学のための医師会の副会長を務め、家族経営農場などを共同経営している。
 ただ最近の情報によると、医師免許を放棄したと伝えられている。もともと病原性のウイルスを否定する立場であったが(シュタイナーの考えでもある)、新型コロナの原因について5G説を唱えたことなどから生まれた、「正統派」「体制派」の医療界との軋轢がその背景にあるのかもしれない。

 それでは、主にこの本に基づいて心臓の謎を追っていきたい。

血液を動かすものは何か?
ー『人間の心臓、宇宙の心臓』(トマス・コーワン著)より

 現在の一般的な心臓についての理解の基本となっているのは、イギリスの医学者、ウイリアム・ハーヴェイが1628年に出版した『動物における心臓の血液の動きに関する解剖学的研究』である。彼は、血液循環の研究、そして「心臓はポンプである」とする言説により最も重要な科学者、医学者の一人であるとされる。
 血液の循環には、動脈、静脈、そして毛細血管がある。血液は心臓から出て、大動脈、主要な動脈、細い動脈を通って行き、中間地点、即ち毛細血管に至る。毛細血管は、一層の血管で、そこで栄養とガスが、血液と細胞の間で交換される。この血管全体は、もし広げられれば、サッカー場をすっかり覆うことができる。更にすべての血管を全部つなげると、成人の場合はおよそ10万キロで、地球を2周半するほどの長さになるそうである。
 (既にこの時点で、本当に、このような長大な全血管に流れる血液の動きを心臓が作り出すことができるのかと、心臓ポンプ説には疑問を感じざるを得ないように思える。)
 血液は、その後、小さな静脈に入り、大きな静脈を通って心臓や肺に戻っていく。血液循環の目的は、酸素と栄養豊富な血を細胞に運び、それらの乏しい血液を心臓と肺に戻すことである。
 不思議なことに、語源的に、動脈arteiesは、アルスあるいは火星、 静脈はveinヴィーナス、金星に関連しており、地球ではなく宇宙との結びつきを示している。心臓は、古来、太陽と結びつけられており、男性原理と女性原理の間にある。血液循環の両半分は、原型的な病気のパターンをもっている。動脈は、主に男性に多い高血圧の場所であり、静脈には、女性に多い静脈瘤の傾向がある。
 血液が流れる速度は、比較的少ない支流につながる、大きな動脈と静脈で一番早い。毛細血管で一番遅いが、それはそれが非常に多いからである。それは、川に似ている。川が狭いと早く、支流に流れると遅くなり、湿地帯に至ると最も遅くなる。
 驚くべきことに、血液は、実際に、毛細血管で流れを止める。ガスや栄養を十分に交換する必要があるからである。しかし、血液は、循環の中間点で動きを止めると、またその時に、動き始めるのである。何が動きを生み出すのか? この時点で、血液に動きを与える心臓による推力はゼロとなるのであるから、それは、心臓ではあり得ない。

 ここで、コーワンは、水の特性を探求することが重要だとして、二人の研究者の研究成果に触れていく。

水の第4相

 私たちは、学校で、物質は、個体・液体・気体の状態で存在すると習った。物質はそのいずれかにあり、他の状態はないはずである。しかし、水はどうか? この3つの状態モデルを否定するのである。
 物質は、原子がより緊密に結びつき、密になることにより、気体から液体、固体に変わると習った。結果して、ある容量の液体は、そのガスの状態の同容量のものより重くなる。更に固体はより重くなる。例えば、液状の水銀は、ガス状の銀より重く、固体状の水銀は液体状の水銀に沈むのである。しかし、水だけは違う。固体の水つまり氷は、液体の水の上に浮くのである。もし、氷の方が重いなら、氷のできる地域で、水生生物は存在し得ないだろう。
 表面張力については、水と空気の相互作用で、水の表面の3ないし4つの分子の層の構造がより密に変化するからと説明されるが、水切りの石は、3ないし4つの分子を超えて水面に入りこんでスキップしていくのではないか。その説明が正しいとしても、その変化したものは、水なのかそうでないのか? 
 ここに新たな光をもたらしたのが、ワシントン大学の生物工学の教授であるジェラルド・ポラックGerald Polackである。

 ポラックは、水が、3つの相ではなく、4つの相で存在することを発見した。彼は、『The Fourth Phase of Water: Beyond Solid, Liquid, and Vapor』(邦題『第4の水の相 ―固体・液体・気体を超えて』ナチュラルスピリット刊)で、「第4相の水」について述べている。それは液体あるいはバルク水(溶質を溶かし込んでない時の水)と固体の氷の間の仲介者であるとする。第4相の水は構造水、ゲル相等とも呼ばれる。ゼラチンやプラスチックのような親水性の表面のものを水に入れると、それに接する部分に構造水のゾーンが形成される。その厚さは、親水性の物質の表面の電化と他の要素に依存する。この第4相は、ある温度(摂氏4度くらい)の時に、最も良く形成される。
 このことから、親水性の強い物質、特にタンパク質は、生命にとって大変重要な意味を持ってくる。細胞も含め、生物学的システムの大部分は、構造水の形にある。これが、細胞が、その約70パーセント水であるにも関わらず、水が漏れない理由である。細胞の細胞質は、細胞の内部構造を造る親水性のたんぱく質のために、ゲル(ゼリー)状である。
 構造水は、バルク水よりも粘着性がある。またフリー電子が豊富なので、マイナスに耐電している。これは、電圧計で、構造水の部分とそれに隣接するバルク水の部分を計るとわかる。
 もう一つの特徴は、pH値が異なることである。また構造水の分子の構造はより密である。最も重要なのは、外からのインプットが無くても、親水性の表面をバルク水に入れるだけで、親水性の表面に隣接して、異なるpH、電荷、分子構造(密度)をもつ構造水の層が形成されることである。
 親水性の表面をもっているものでチューブを作ると、その内部には、外から何のインプットもなしに、構造水の層ができる。すると電化がプラス・マイナスに分離し、内部のバルク水は、チューブの端からもう一方の端へと動き出すのである。もしこれを止める動きがなければ、これは無限に動き続ける。
 これは永久運動マシンである。現在、石油や重力、核を使って電気をつくっているが、ゲルのような親水性の表面によって電気ができると言うことである。(ポラックは、このことから、この原理に基づく発電システムも考案している。) ②に続く

「二人の子どもイエス」とは ㉑

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アウレウス写本

 芸術における系図

 イエス系図は、マタイ福音書とルカ福音書に記述されている。そして、そこに挙げられているイエスの先祖の名前が、ダヴィデ王の子(即ちソロモンとナタン)から異なっていることを⑯で述べた。それは、つまり、ダヴィデ王の子孫は、ソロモンの系統とナタンの系統に分かれており、それぞれの系統から時を同じくして二人のイエスが生まれたと言うことを示している。
 この系図に関わる謎を、『二人の子ども』から引き続き見ていこう。

 図像学の現代の歴史家、ゲルトルト・シラーによると、マタイ伝によるキリストの先祖が全て描かれている絵を含む写本で現存する最も初期のものは「コーデックス・アウレウス(アウレウス写本)」(上図)である(ブカレスト国立図書館蔵、Codex Aureus)。これはシャルルマーニュの写字室の一つで書かれたが、それはおよそ810年頃と想定されている。この絵では、先祖は、マタイ伝が示唆しているように、13人の3つのグループに分けられており、それぞれのグループの族長は、14番目の者として、半身で描かれている。この細密画において、その族長は、アブラハムダヴィデ、イエコニアスと名付けられている。その絵がマタイ伝の文章を忠実に反映しているなら、族長アブラハムのまわりには12人が集まっているはずである。この系図の精髄は、キリスト自身であり、マタイによって特別なものとされた42世代(13×3=39+3=42)を反映するように設計された完全な数秘学が見える。私は、ギリシア語の二つの略語、IHS XPS(キリストの卵型の枠内にある)の重要性をこの数秘学から簡単に指摘しよう。

 上の絵は、マタイ福音書系図を絵で表したものである。マタイ福音書は、系図アブラハムから始めて、以下に続く先祖のそれぞれの名前をあげているが、1章17節で次のようにまとめている。「だから、アブラハムからダビデまでの代は合わせて十四代ダビデからバビロンへ移されるまでは十四代、そして、バビロンへ移されてからキリストまでは十四代である。」つまり14世代が3回繰り返していると強調しているのである。著者のデヴィッド・オーヴァソンは、この42という数字に「数秘学」的意味があるという。

 イエスの二つの系図を描くこの絵の枢要な秘密を示すものは数秘学という言葉である。中世の芸術家は、世代のリストにおける数秘学の重要性を認識しており、時々、この数秘学に秘密の意味を与えた。例えば、3世紀においてオリゲネスは、42世代を、モーゼによって率いられた砂漠の旅の宿営地としてリストアップされた42のキャンプサイト民数記33)に関連付ける努力をしている。オリゲネスにとって、これは数秘学によるこじつけではない。なぜなら、イスラエルに法を与えた、モーゼは、神からの新しい定めをもたらしたイエスの原型と見られているからである。
 従って、イエス系図の中世における表現を十分に理解するには、芸術家が数秘学に表した関心事をある程度理解することが必要となる。この関心事の背後には、多くの芸術家が、ルカとマタイの系図に現れている数秘学は異なっていることを理解していたという事実がある。
 ルカ伝は、その系図においてアダムからイエスまでで76人の名前を挙げている。ナタン(ルカ伝は彼の流れを扱っている)とイエスの間では42人の名前を挙げている。マタイ伝のリストは既に見たように、アブラハムからイエスまでの系図をのみ示しているという意味で完全ではない。実際彼は、既に見てきた42人ではなく、全部で41人の名前しか挙げていない。しかし、全部で42人とすべき記録をマタイが実際には誤ったのではないとみる刺激的な可能性がある。このようなことを研究してきた者には、イエスの洗礼の時にキリストがイエスの身体に「生まれた」と長い間信じられてきた。これは、イエスとキリストで2「世代」がカウントされるということになる。上のようなケースにおいて、この問題を熟考した芸術家は、この絵画的系図でキリストのイメージに二つの略語(IHS XPS)-イエスとキリストという二つの名前を示している‐を注意深く添えた。このようにして、42世代は損なわれることがなくなったのである。

 マタイ福音書は、自ら各14世代と述べていながら、実は、バビロンへ移されてからイエス(キリスト)までは13人の名しか記していないのである。しかし、オーヴァソンは、この意味を、キリストはイエスの身体に後から受肉したので、イエスとキリストを別の存在として2世代と数えていると解釈しているのである。またそれは、この絵の中央上部にいるイエス・キリストの両脇に「IHS」と「 XPS」、即ちIHS=IHESUSイエス、 XPS=christusキリスト、と添えられていることが表しているとする。

 マタイ伝の数秘学は奇妙なものである。しかし、イエス・キリストの名前の二重性が常に結び付けられていたのではないものの、多くの絵画作品にはそれが反映されている。例えば、ヴァチカンのピナコテカ(美術館)には、マドンナと子供を描いている、ヴィターレ・ダ・ボローニャによる14世紀のパネルがある。聖処女のドレスには正確に41の星がある-子供が失われた一つをなす-。

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マドンナと子ども(ヴィターレ・ダ・ボローニャ

 イエスが星を表しているというアイデアは、中世のキリスト教シンボリズムにおいてよく確立されていた。それは、古代におけるキリスト教の聖母と天の処女宮との 間の関連に由来するものである。処女宮の図像の主星で、その手の近くにある星はスピカと呼ばれる。それは穀物の星あるいは、聖体拝領における聖なるパンと関連した小麦の星である。キリスト教の聖処女のイメージでは、その星は子供へと形を変える-しばしば星は聖処女のドレスにシンボルとして残されているが-。悲劇「タイタス・アンドロニカス Titus Andronicus」における、タイタスがルキウスに対して、「さようなら、処女の膝の中で・・・」と叫んでいる場面で、シェイクスピアはこのことが念頭にあったに違いない。
 42という数字は、イエス・キリストに関わっており、星はイエスを表している。聖母がその膝の上に抱いている子どもは、天から地上に降った星である。
 この42という数秘学は、イエス系図に関連する幾つかの図像に現れる。例えば、リッチフィールド大聖堂図書館にある8世紀の「聖チャドの福音書」には、二つの十字架を抱えたマタイの像がある。実際、彼の右肩にある十字架は、二重らせん十字架で、芽吹いたばかりの葉のようなもので覆われている。その終端は十字架で、全部で14ある。もう一つの十字架の3重の終端と一緒に考えると、3×14通りの配列が可能となる。

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「聖チャドの福音書」のマタイ

 おそらくもっとも洗練された系図の42という数字の使い方は、システィーナ礼拝堂の巨大な天上フレスコ画におけるキリスト教シンボリズムにおけるミケランジェロの目論見にあるものである。ミケランジェロの名前のリストは-芸術史家シャルル・ド・トルネイが正しくも「ヨセフの男子系統」と呼んだように-、マタイ伝からとられており、像に沿ってあるいは像の近くに刻まれている。
 ミケランジェロの、教会の天井の42人の先祖の描写は、非常に洗練されており、多くの繰り返しを含んでいる。これらは主に、各先祖を子供として、その両親とともに描こうとする芸術家の試みから結果するものである。おそらく、彼の象徴の目的は彼らを聖家族の原型として描くことにある。しかし、その手法は、多くの場合、同じ人物が二度、一度は子供としてまた一度は父親として現れることを意味する。
 ミケランジェロのオリジナルな数字のシンボリズムはもはや作品の中では明らかではない。1535年に、芸術家が巨大な「最後の審判」をシスティーナ礼拝堂の壁に描き始めた時、先祖が描かれている半円形部の二つを彼の新しいデザインの一部によって完全に上塗りしてしまった。この半円形部はアブラハムからアラムまでの7人の先祖を描いていた。幸い、初期の版画からこれらを再現することは可能であった。この再現から、全部で、8つの三角小間はそれぞれ一人の先祖を描いており、一方16の半円形部は他の32人を示している。これは、勿論、全部で40となる。父親のヨセフを描いている半円形部の一つは、子どものイエスも描いており、それにより数は41となる。我々は後に、この半円形部をより深く見ることにしよう。

 オーヴァソンは、「聖チャドの福音書」の人物をマタイとしているが、ルカとする本もある。4つの福音書の作者は、それぞれ動物のシンボルをもっており、この絵に見える牛は、本来ルカのシンボルだからである。
 古い絵を読み解く時、数字に込められた意味を解釈する数秘術は欠かせないようである。その様な絵には、意味も無く描かれているものは何もないと言える。細部に真実が宿っているのである。