二人の子どもイエス
ベルゴニョーネ「神殿のイエス」 ガザでのジェノサイドが未だに続いている。欧米(日本も残念ながらここにつながっている)は、ロシアの「侵略」を批判しながら、ガザでのイスラエルの行為はテロに対する自衛の行為だとして容認している。ドイツは、かつての…
クムラン文書 久しぶりに、「二人の子どもイエス」のテーマに関する論考を取りあげたい。 これまでこのテーマについては、主に、ヘラ・クラウゼ=ツィンマー氏とデイビッド・オーヴァソン氏の二人の著作を紹介する形をとってきた。 前者は人智学者で、その論…
イーゼンハイム祭壇画 第1面 長い間忘れ去られ、19世紀末頃に再評価されるようになり、現在ではドイツを代表する画家とも評価される、16世紀に活動した「マティアス・グリューネヴァルト(Matthias Grünewald, 1470/1475年頃 - 1528年8月31日)」は、人智…
子どもの礼拝(フィリッポ・リッピ) 今日はクリスマス・イヴの日なので、イエス誕生に関する記事を掲載することにした。なお、クリスマスについては以前の次の記事を参照してほしい。 https://k-lazaro.hatenablog.com/entry/2022/12/22/082236 シュタイナ…
今日の午前中にデイヴィッド・オーヴァソン氏=フレッド・ゲッティングズ氏説の記事をブログにアップしたのだが、何という偶然であろう、午後に、そのゲッティングズ氏の論考が掲載された本が配達された。 これは以前から注文していたもので、毎年発行されて…
フレッド・ゲッティングズ氏とされる写真(彼については以下の文参照) このブログは主要なテーマを「二人の子どもイエス」として始まったのだが、そのうちに長い回り道(迷路)に入り込み、なかなかそこを抜け出せなくなっている。「二人の子どもイエス」を…
今回は、これまで「二人の子どもイエス」の関連で何度か紹介してきたデイヴィッド・オーヴァソン氏の、別の著作『シェイクスピアの秘密の書物 神秘的で薔薇十字的な暗号の解読』についてさらに紹介する(これについては先に少し触れている)。 k-lazaro.hate…
「イエスが育ったとされる家」 「南側からの1号墳」 入り口と「転がる石」、入り口の高さは約1m 聖なる人物のゆかりのある場所は人々の信仰・崇敬の対象となる。 キリスト教においては、イエス・キリストが埋葬された後に復活したと信じられている墳墓が、エ…
レンブラント「神殿の12歳のイエス」(アム・レマーホルツ美術館) 前々回、レンブラントは、その光と影の技法を、薔薇十字団の創立者とされるクリスチャン・ローゼンクロイツから教えられたという説をブログに書いた。その時に、レンブラントには、「二人…
まもなくクリスマスがくるので、今回は、これまで触れてきた「二人子どもイエス」のテーマとの関連でクリスマスについて述べてみたい。 「クリスマス」というのは、英語の「キリスト(Christ)」の「ミサ(Mass)」という意味に由来する。つまりキリストの降…
福音書を朗誦している聖ヨサファト(12世紀のギリシアの写本より) このブログの主なテーマの1つである「二人の子どもイエス」という考えは、シュタイナーの「キリスト論」の一部を構成するものである。今回は、シュタイナーの「キリスト論」で論じられてい…
ベルゴニョーネ「神殿のイエス」 ベルゴニョーネのミラノの絵 ③では、神殿の出来事の隠された真相について述べた。これに続いて、今回は、この秘密を密かに表現している絵画を紹介する。 先ず、クラウゼ=ツインマー氏が『絵画における二人のイエス』で最初…
ドゥッチオ「神殿の12歳のイエス」 「二人の子どもイエス」に関わるテーマとして「神殿の出来事②」を書いてからだいぶ時間が経過してしまったが、今回は、ようやくその第3回目となる。 「二人の子どもイエス」というのは、イエスには、マタイ福音書の伝える…
『博士たちの間のキリスト』 パオロ・ヴェロネーゼ 磔刑で死んだイエスは勿論一人である。しかし、子ども時代、イエスは二人いた。同じ名前の子どもが二人いたのである。一人はルカ伝の、もう一人はマタイ伝の伝えるイエスである。それぞれの両親も、やはり…
エクステルンシュタインの磔刑のレリーフ このブログでは「二人の子どもイエス」のテーマが、主要なテーマの1つとなっている。私がこのテーマを初めて知ったのは、大学生の時で、先にシュタイナーに出会って、彼に関連する本を色々物色しているときに見つけ…
ラファエロ「テラヌオーヴァの聖母」 本ブログは、「二人の子どもイエスがいた」とする秘教的キリスト教の教えを中心に、またそれ以外のシュタイナーにより明らかにされた人間と世界の真実を解説し、一般に広めることを主な目的としてスタートした。その後、…
タイナッハの教示画の全景 秘教的キリスト教に伝えられてきた「二人の子どもイエス」の教えを公に説いたり、表現することは異端とされ、それは死をも意味した。しかし、それを密かに描く絵画や彫刻等の美術作品も存在した。これまで、これを研究したヘラ・ク…
システィーナ礼拝堂天井画 久しぶりに「二人の子どもイエス」(ルカ福音書の伝えるイエスとマタイ福音書の伝えるイエス)のテーマに戻る。本ブログの目的の1つは、このテーマを多くの人に知ってもらうことであった。このテーマは、キリスト教の核心に関わり…
イエスとゾロアスター 「二人の子どもイエス」については、これまで、イエスの誕生の絵に二つの種類があり、それが異なる二つの家族を描いていることを述べてきた。二つの種類というのは、羊飼い達がイエスを礼拝するものと、マギ(王)達が礼拝するものの二…
コレッジョ「キリストの誕生」 クリスマスとは「キリストのミサ」という意味である。イエス・キリストの誕生を祝う降誕祭ということである。多くのキリスト教宗派では、12月25日がイエス・キリストの誕生日とされ、この日に行われる。ただ、教会暦の上では…
アウレウス写本 芸術における系図 イエスの系図は、マタイ福音書とルカ福音書に記述されている。そして、そこに挙げられているイエスの先祖の名前が、ダヴィデ王の子(即ちソロモンとナタン)から異なっていることを⑯で述べた。それは、つまり、ダヴィデ王の…
聖セヴェリンのマイスター「王の礼拝」 子どもの中の子どもと王の中の王 これまでイエスの誕生の絵には、ルカ福音書とマタイ福音書に基づく二様の様式が存在することを見てきた。それは、二人の子どもの魂の本質の違いによるものである。 クラウゼ・ツィンマ…
アントニオのコイン ヨルダン川洗礼とキリストの誕生-蟹の象徴- 「二人の子どもイエスとは⑮」で、蟹座が、魂が地上へ誕生するときの玄関、入り口であることに触れた。それは、後のキリスト教哲学とシンボリズムに深い影響を与えた、3世紀のエジプト人秘教…
前に、「二人のイエス」の秘密は、聖書自体に根拠を見い出すことができると述べた。今回は、それについて触れていきたい。 上の写真は、現在はフライヴルクの近くのドナウエッシンゲンにある13世紀の美しいイラストのある「詩篇歌集」のものである。 デヴ…
羊飼いと王の礼拝(ヴァレリア城、シオン) 引き続き、『絵画における二人の子どもイエス』から1枚の絵に二組の聖家族が描かれている絵を考察する。 その絵は、シオン(ドイツ語名はジッテン。スイス)のヴァレリア城にあるカテリーナ教会に掛けられた、1…
リベラーレ・ダ・ヴェローナの礼拝図 これまでクリスマスの光景に二つの様式があることについて、別々に描かれた二つの絵をもとに説明してきた。今回は、やはりクラウゼ・ツィンマーの『絵画における二人の子どもイエス』からであるが、一つの絵の中に二つの…
かに座 の ステンドグラス( チェスター大聖堂) 蟹座ー誕生のポータル 上の図は、イギリスのチェスター大聖堂のステンドグラスである。大聖堂は19世紀に修復されており、その際に制作されたもののようである。 「二人の子どもイエス」とは⑦で、デヴィッド…
彫塑作品に見る二様の誕生の光景 クラウゼ・ツィンマーは、『絵画における二人の子どもイエス』の中で、ルカとマタイに基づく「二様の誕生の光景」を描く作品を様々掲載しているが、今回は、彫塑作品を取り上げよう。 先ず、ヴェローナ〔イタリア〕のサン・ゼ…
マイスター・フランケ「子どもの礼拝、王の礼拝」(英国船乗りの祭壇) マイスター・フランケと他の芸術家達 『絵画における二人の子どもイエス』から、再び二つの礼拝を別々の画板に描いている例を見てみよう。ハンブルグ〔ドイツ〕のトマスまたは英国船乗り…
ネルケンマイスター「羊飼いの礼拝」(左)、「王の礼拝」(右) 日本では、クリスマスは、クリスチャンであるないに関わらず多くの人が行う行事となっている。誰でも、それがイエスの誕生を祝う行事であることを知っている。 クリスマスは、「キリストのミ…