k-lazaro’s note

人と世界の真の姿を探求するブログです。 基盤は人智学です。

現在の黙示録的世界情勢

 おなじみのT.Hメイヤー氏の論考を紹介したい。『The Present Age』誌 Vol. 6/No. 11/12 December/January 2022/23号の巻頭言である。

 短文の中に、人智学派による大きな視点から見た現在の世界情勢が凝縮して語られている。これまでも取り上げられてきた記事と重複する内容であるが、この時期に、改めてメイヤーがこのような文章を掲載した意味は何なのか、私は真剣に受け止めざるをえない。

 

 ウクライナ問題では、第3次世界大戦(起きれば人類の最終戦争になるかもしれない)の危機も語られている。今、これを起こすのは簡単である。ロシア領土(併合されたウクライナの一部を含め)に核兵器を一発打ち込めば、そうなるのである(ロシアは、自国が核により攻撃されない限り、他国に使用しないとしており、実際にウクライナ侵攻で用いる必要は全くない-日本のマスコミ「専門家」はいつもその危機を煽っているが)。

  アメリカは、実際、相手がソ連の時代から、具体的な核攻撃を想定してきたし、今回のウクライナ侵攻の理由の一つは、ウクライナ核兵器の配備の危険性があったからである(実際にゼレンスキーもそれを求めたという事実がある)。今や、客観的な軍事情勢分析では、ロシアの勝利は確実とされており、追い詰められた勢力がどのような行動をとるかわからない。

 またコロナの関係では、そのワクチンによる死亡を含む害が世界中で指摘されてきているにもかかわらず(このこともあり、日本以外の外国では既に接種は下火になっている)、コロナワクチン接種を、インフルエンザと同様に毎年の定期接種とする動きがある。他の病気用の同じようなmRNAワクチンの開発も進んでおり、ワクチン接種者を管理するシステムが構築され、それを各国に強制するためのWHO関係規約の制定が具体化している。

 そして今新たに浮上している問題としては、食糧危機がある。代替タンパク質として虫(特にコオロギ)を食べさせる動き急速に進んでおり、日本でも実際、既に浸透してきている。今、SNSでも(自分の見ているものに限るが)この話題が盛んに取り上げられているのだ。

 これらの背後に何があるのだろうか。また同じことを言わなければならない。確かに、これらは、軍需産業や医療関係産業等の巨大企業の利益に結びつくものであるが、社会のあり方自体を根本から大きく変えようと、世界的に大規模にまた一斉に進められている。また、それにより人類がどれだけ不健康になりあるいは亡くなろうと構わないというかのようであり、一部の企業とそれと癒着する政治家がこれを進めているという図式では説明が付かないと思われる。根底に人類全体に対する悪意が感じられるのだ。

陰謀論」界隈では、「エリート」や「ユダヤ」「イルミナティ」による世界支配等々が語られているが、人智学派としては、人類の霊的進化を阻止したい霊的勢力の動きを考えざるをえないのである。

その意味では、まさに人類の未来に関わる「黙示録的出来事」が今到来していると言えよう。

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現在の世界情勢

 私たちは破滅的な時代に生きている。それ自体は、人類の歴史において新しいことではない。レムリア時代もアトランティス時代も大災害で終わっている。レムリアは火のような大災害で、アトランティスは「大洪水」で。【訳注】

 

【訳注】シュタイナーは、現代は、アトランティス滅亡後の時代で、そのため「後(ポスト)アトランティス時代」と呼ばれる時代に含まれているという。それ以前がレムリア時代であり、共に世界的な破局、カタストロフィーによりその文明は滅び、そこから逃れた人々により次の文明が構築されていったのである。現在の後アトランティス時代も、やがて崩壊する運命にある。

 

 後アトランティス時代の最後の7番目の時代の終わりでは、地球は大気のカタストロフィーを経験する。それは霊的科学が、アメリカン時代と呼ぶ第8千年紀のことで、それは、山羊座の下に位置することになる。そのとき、月ははるか昔に去った地球と再会するのだが、それに関することについて、現代の天文学はすでに気づいている【訳注1】。そのとき、すべてが激変する。レムリア時代に月が去って以来続いてきた男女の分断は、聖ヨハネの黙示録の最初の封印(口から火のついた剣を持つ男)で表現されているように、喉頭に関連した子作りという形態に取って代わられるだろう【訳注2】。

 

【訳注1】各時代は更に7つの時期に分けられている。今は、後アトランティス時代の5番目の時代で、それにロシア文明の時代が続き、その後に、最後のアメリカ文明の時代が続く。今の月は、昔、地球の一部であった、それがレムリア時代に地球から分離し、またやがて再統合されることとなっている(このブログの関係記事を参照)。「現代の天文学はすでに気づいている」とあるが、月は地球から少しずつ離れているというのが現代の科学の認識であり、地球と月の再結合に関する知見について、著者が何を根拠にしているのかは分からない。

【訳注2】現在の人間は、男女の生殖器官により子どもを産みだしているが、それは、月の分離によって、両性具有的存在であった人間が男女に分化してからのことであり、未来において月が地球に戻ると、女性は妊娠・出産を停止するようになり、以降は、人間の喉頭が現在の生殖器官の役割をするようになるという。

 

 私たちは今、その最後のカタストロフィーの劇的な予兆の中にいるのだ。人々はそのことを何となく感じ取っている。ルドルフ・シュタイナーは、その時点までに霊化されていないすべての物質主義的思考を具現化するようになる地球を覆う蜘蛛の巣のようなものについて語っている【訳注1】。それもまた、現代では、すべてを網羅するワールドワイドウェブにより先取りされている。その典型的な例が、ブラックロックが採用している主要システムであるアラジン(Asset, Liability and Debt and Derivative Investment Networkの頭文字)と呼ばれるソフトウェアで、あらゆる経済データの世界的コントロールの保管(アーカイヴ)を目指している、あるいは既に達成している。経済ジャーナリストのエルンスト・ウォルフによれば、事実上、すべての政府や中央銀行よりもはるかに強力な存在である【訳注2】。

 

【訳注1】「蜘蛛の巣」のような存在については、このブログで既に取り上げている。シュタイナーは、次のように述べている。

「・・・影のような知性は、鉱物、植物、動物、さらには人間界そのものにある鉱物的性質、粗雑な物質的性質しか把握できないので、現実性のないこれらの思考は、月が再び地球と一体化するときに、一瞬にして実質的現実性となるのである。そして地球からは、鉱物界と植物界の中間に位置する存在の秩序を持ち、圧倒的な知性の力を持つオートマタの群れ、恐ろしい存在の群れが湧き出るだろう。

 この大群は地球を捕らえ、植物よりも低次元の、しかし圧倒的な知恵を持った、おぞましい蜘蛛のような生き物のネットワークのように、地球上に広がるだろう。これらの蜘蛛のような生き物はすべて互いに連動し、その外側の動きにおいて、霊的科学による新しい形の想像的知識によって活気づくことを許さなかった影の知性から人間が紡ぎ出した思考を模倣することになるでしょう。そのとき、実体と現実を欠くすべての思考が存在感を持つようになります。」

k-lazaro.hatenablog.com

【訳注2】ブラックロックとは、アメリカに本社を置く、世界最大の資産運用会社であるが、これと、同様のバンガートという会社により、世界中のほとんどの大企業が、それらの資本下におかれているという。あらゆる「経済データ」がコンピューターに取り込まれているということだが、そのデータは、おそらく「経済」の分野のみにとどまってはいないだろう。すべての人間に関する全データの収集保管が企てられていると思われる。

 

 本号のD.N.ダンロップの論文で取り上げられているフリードリヒ・ニーチェの「超人」は、ニーチェが「最も醜い人間」と呼ぶアーリマン的な対極にあるものを提示している。これと並行して、それによって他の人類がマニ教的【訳注】な方法で癒される強力な霊的能力を持つ人類が発展していくだろう。今日のような「人種」はなくなり、精神的な人間と物質に縛られた人間という2種類の人間になる。この対比もまた、今日、予示されている。プーチン帝国は「悪いもの」、アメリカ・NATO帝国は「良いもの」を体現しているという戯画が描かれているのだ。この時点で、今日の世界情勢の不条理さ、虚偽、あるいは鈍感さについて、これ以上コメントする必要はないだろう。注意深い現代人なら誰でも、このことはわかるが、同時に全人類に降りかかっている深刻な危機も認識している。

 

【訳注】マニ教とは、サーサーン朝ペルシャのマニ(216年 - 276年または277年)を開祖とする、ゾロアスター教キリスト教・仏教などの流れを汲むとする宗教である。シュタイナーによれば、このマニには、未来において善の種族と悪の種族に人類が分化したのち、邪悪人種を善に導く役割が課されているという。最終的に悪もまた救済されるのである。

 

 次の大カタストロフィーへの前兆には、さらに大きな現在の大災害が含まれているのだろうか?霊視能力者や予言者たちが、その後に3日間の日食が起こるという、ロシアと西側の間での来る戦争のような大激変を予測したのは間違いだったのだろうか?【訳注】

 

【訳注】3日間の日食と大激変については、そのもととなる具体的な予言等についてはよく分からないが、預言者や幻視者の中には、「3日間の暗黒」とカタストロフィーを結びつけている者がいるようである。一部のカトリックには、終末論的な予言と「3日間の暗黒」が結びついて信じられており、福者アンナ・マリア・タイギは次のように預言したという。

「風が吠え、うなりを上げます。かつてなかったほどの巨大な稲妻と雷が地上を打つでしょう。全地が揺らぎ、天体が乱れ(これが三日間の始まりとなります)、すべての悪魔と、あらゆる悪霊が地獄から解放され、地上を歩き回ることを許されます。恐ろしい幻が現れます。多くの人々が恐怖のあまり死ぬでしょう。空から火が降ってきて、あらゆる大都市が破壊され、空気中に毒ガスが充満し、いたるところで叫び声や嘆き声が聞こえてくるでしょう。信じない者たちは戸外で枯れ草のように燃えるでしょう。地球全体が苦しめられ、まるで巨大な墓地のようになるでしょう。」

 なお、2017年、2023年、2024年にアメリカで日食が起きる事と世界的大転換について論じた論稿は、既にこのブログに掲載している。

k-lazaro.hatenablog.com

 

 

 真実の弧は、「真実と現実そのものへの挑戦によって」非常に引き伸ばされており、現在進行中のコビド注射の泥沼で全人類が滅びる前に、より高い霊的な力が介入する原因が存在するのだろうか。

 ルドルフ・シュタイナーは、1917年に流布された中央諸国(ドイツとオーストリアハンガリー)に対するひどい嘘から見て、そのような介入は可能だと考えていた【訳注】。今日の状況は実際にははるかに悪いものではないのだろうか?

 

【訳注】メイヤー氏は、この部分で、1917年のシュタイナーの講演をふまえている。そこには次のようにある。「皆さんは、英・仏・露三国協商からウィルソン大統領への書簡を読まれたことでしょう。ある観点から見ると、このメモは、これまでのものとは対照的に、将来への好ましい兆候と見なされます。物事が行き過ぎると、弓の弦が切れるおそれがあると、つまり霊的な力が挑戦されたなら、その一撃は霊的な側から返される、という希望が生まれるのです。このノートは、これまでのすべてのノートを凌駕するものでした。」

 シュタイナーによれば、第一次世界大戦の背後にも、中央ヨーロッパとロシア、東欧の連携を阻止し、ロシアを弱体化する目的をもった英米ブラザーフッドが存在していた。そのような攻撃があまりにも強まれば、霊界からそれに対する反動が生まれてくると言うことであろう。

 

 地球を歩いた最も偉大な黒魔術師が、まさにゴルゴダの秘儀の時に、さらに偉大な白魔術師フツリ・プツリによって磔にされる前にメキシコの秘儀で行われていたような恐ろしい黒魔術(R. Steiner, 18 September 1916, GA 171)の再出現の中に、我々はで生きていないだろうか【訳注】。その時、彼の魂は「呪文」の下に封じられたが、彼の活動が永遠にそうなのではない。今日、残念ながら、それは、地球の最も若い人々に届いている。今日の破滅的な前兆がどのように終わろうとも、私たちはもっと巨大な破滅の中を生き抜き、生き延びてきたことを忘れてはならない。かつてD.N.ダンロップが言ったように。-「あなた方は何度も激変を目の当たりにし、常に勝利してきたことを思い出してください。」

 

【訳注】フツリ・プツリ(またはヴィツリプツリ)と黒魔術師については既にブログ記事がある。

k-lazaro.hatenablog.com

 メキシコの黒魔術師は、悪の秘儀参入を受けた秘儀参入者であり、人々の生け贄によって巨大なオカルト的な力を得たのだが、フツリ・プツリという白魔術師によって磔にされたという。それはまさにイエス・キリストパレスティナの地で磔にされたのと時を同じくしていた。しかし、キリストが復活したように、黒魔術師もいつか復活することができるのである。キリストが今、エーテル界に再臨しているなら、やはりこの黒魔術師もどこかで再出現しているのかもしれない。あるいはそれが、ソロビヨフの予言にも登場した偽りの預言者なのだろうか。

 さらに、メイヤー氏はここで、今ワクチンや戦争で多くの命が奪われているのは、黒魔術師のための生け贄であり、それにより黒魔術師は力をためているということも言わんとしたのかもしれない。

 

 T.H メイヤー

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 神々が、世界と人類の霊的進化を進めていながら、なぜ今人類は絶滅の淵に立つような事態に至っているのだろう?

 今の滅亡の危機は、悪の問題に関わっている。悪の問題については、このブログの他の記事を参照してほしいが、シュタイナーによれば、悪もまた人類の霊的進化のために必要であったのであり、今後の進化はまさに悪と対決し、それを乗り越えた先にあるものなのだ。

 それは一に人間の自由意志にかかっているということでもある。現在の人間の使命は自由意志と愛の獲得である。そのために悪が必要とされた。今その悪に人間は飲み込まれようとしているが、それを脱出するにも人間の自由意志、選択にかかっているのである。それゆえそこに「進化の失敗」の可能性も存在するのだ。

 しかし、それは人類に対する霊界からの支援がないということではない。天使は、常に人間の傍らにいて人間を導いている。人間が気づけば、それは大きな力になるだろう。先ず天使の声を聞くことである。それはまた自分の良心の声でもあるのだ。
 また霊界の意志を受けて人類のために奉仕しているマスター達も存在する。彼らは、地上と霊界を結ぶ架け橋なのだ。
 シュタイナーが語ったように、悪の攻撃が極大化するのに伴い、霊界からの援助の力も増してきていると信じたい。