k-lazaro’s note

人と世界の真の姿を探求するブログです。 基盤は人智学です。

万人の万人に対する戦い

 戦火は中東に飛び火した。イスラエルのガザである。

 世界有数の諜報機関をもつ、IT先進国、監視の徹底したイスラエルで、なぜハマスの奇襲が防げなかったのか?しかも事前にイスラエルには他国から警告があったとされるのに。

 その理由は色々説明されているが、現在のところ不明である(日本のマスコミでは、単なるミスや何らかの不具合というような説明がされているが、この国をよく知る者には信じられないことである。)

 しかし、一方で世界には和平を求める声も高まってきている。

 ウクライナをみると、大勢はほぼ決していると見られているようである。ウクライナの敗北である。

 このような中、昨日、ガザでは病院への爆撃で多くの死者が出たというニュースが流れた。ウクライナでは、秘密裏にアメリカから提供された長距離ミサイルをウクライナ軍が使用したというニュースも。

 いずれも、紛争を悪化させる出来事である。戦争を止めさせたくない動きがあるようにしか思えない。

 

 イスラエルでの今後の推移は全く予断を許さないが、世界を巻き込む戦乱のきっかけとなるおそれは十分にあるだろう。それを予測する一人が、以前このブログに何度か登場しているロシアの地政学者アレクサンドル・ドゥーギン氏である。

https://k-lazaro.hatenablog.com/entry/2022/09/22/214749

 ドゥーギン氏は、ウクライナにおける軍事行動に関連して既に第3次世界大戦の可能性を指摘しているが、今度は、ガザの惨劇をきっかけとする世界情勢の劇的な展開について語っているのである。

 以下は、ドゥーギン氏がポストしたツイッターの文章である(機械翻訳)。

―――――――――

 中東におけるさらなるエスカレーションの考えられるシナリオの1つを説明してみましょう。パレスチナ人の反乱がヨルダン川西岸と東エルサレムで始まる。マフムード・アッバス大統領も状況を抑えることができず、イスラエルガザ地区で本格的な大量虐殺を行っているのを見て、パレスチナ人は全面的な反乱を開始する。 IDFはガザ地区で民間人の虐殺を続けている。

 西側の親米リベラルエリートが満場一致でイスラエルを支持することに反対する抗議活動が世界中で高まっている。ヒズボラが介入し、ヨルダンから来たアラブ人の群衆が国境の非常線を突破する。米国は紛争への関与を強めるイランに対して先制攻撃を開始し、イランはイスラエルに対して反撃した。シリアが参戦し、ゴラン高原を攻撃。イスラム世界全体の動員が急速に進んでいる。サウジアラビアUAEカタールなどの親米イスラム諸国は、パレスチナ人の側に立って対立に加わることを余儀なくされている。パキスタン、トルコ、インドネシアがこれに加わる。

 フェイクニュースからタリバンが中東に軍隊を派遣するという話が現実となる。・・・

 西側諸国とイスラエルに対するイスラム世界の大ジハードが始まっている。ロシアは第一に中立の立場をとっているが、ウクライナで西側諸国と戦争中であり、西側諸国は完全にイスラエルの側に立っているため、急いでイスラエルを支援しようとはしていない。東エルサレムの蜂起のある時点で、パレスチナ人はIDFから守るためにアル・アクサ・モスクを封鎖する必要性を宣言した。アル・アクサ・モスクは、ガザ地区--アル・アクサ洪水における蜂起の初めに言及されました。イスラエル武装したパレスチナ民兵との戦闘中および自衛のためにモスクにロケット弾攻撃を開始した。それは崩壊します。

 第三神殿の建設への道が開かれました。しかし... 10億人のイスラム教徒(そのうち5千万人(公式)はヨーロッパにいる)が、今、西側本土で反乱を起こしている。ヨーロッパで内戦が勃発。ヨーロッパ人の中には、LGBT、ソロス、大西洋主義者エリートの側に立つ人もいるし、(アラン・ソラルをモデルにして)イスラム教徒と同盟を結び、反自由主義革命に参加する人もいる。米国はイランに対して戦術核兵器を使用している。

 ロシアは、どんな犠牲を払ってでも西側にしがみつき、あらゆる方法でモスクワを挑発しようとするウクライナに対して戦術的核攻撃を開始した。戦術核兵器の使用により第三次世界大戦が勃発。ロシアはついに決意を固め、イスラム教徒側につくことになった。アメリカのディスペンセーション主義者は、その時が来たことを認識しています。ロシアは間接的(p3 -- -- 。ゴッグがここにいます。ロシアの構想では、西側諸国は反キリストの直接支配下にある。多くの世界指導者が亡くなり、より過激な信念を持つ新たな指導者が現れます。中国は台湾を攻撃し、米国とNATOの注意を新たな目標に向ける。

 インドは米国が期待している直接的な支援を控えている。歴史の夜は気だるいものではなくなる。フェミニスト、ゲイ活動家、環境保護活動家はすべての終結を要求しているが、誰も彼らの声に耳を傾けない。西側諸国は、もはや明確に表現できない何らかの目標の名の下に、あらゆる人々と戦うことを強いられている。

 「人権」、「市民社会」、その他の呪文に関するすべての古いテーゼは、来るべき完全な死という厳しい現実の中で消え去った。イーロン・マスク氏は、何が起こっているのか完全に理解できなくなったと認めている。イスラエルは四方八方からの打撃を受けながら、第三神殿の建設を始めている。この状況を救えるのはモシアッハだけだ… 予測分析(予言)の本文はここで唐突に終わる。

―――――――――

 ガザの虐殺は、世界中のイスラム教徒に同情とそして憤激の感情を生み出している。そしてイスラム教徒は中東にのみ暮らしているのではない。アジアにもおり、欧米にも(合法・非合法の移民なども含め)多数暮らしている。今、その欧米諸国は、イスラエルに「寄り添い」、ハマスのみを批判しているのだ。そうした政府に対する怒りはどこに向かうだろう。既にいくつかの国で、それを背景とした事件が起きている。「戦場」は、イスラエルの外にも及ぶ可能性もあるのである。

 イスラエルを焦点とする世界大戦となれば、どうしてもハルマゲドンが頭に浮かぶ。キリスト教の一部には、むしろこれを待望する人々(原理主義福音派)がおり、彼らは特にアメリカでは政治に対して一定の影響力を持っているという。彼らは、その時、自分たちはキリストによって救われると信じてハルマゲドンをむしろ望んでいるのだ。そしてそのためには、先ずエルサレム「第3神殿」が建設されなければならないのである。

 だが、シュタイナーの立場からすると、聖書の述べる「世界の終末」は本来ずっと先の時代に起きる出来事である。今、これを叫ぶ者は偽予言者である。
 人智学派は、世界的大騒乱を望む別の存在を知っている。偽メシア、反キリストである。ソロヴィヨフは、そのような混乱の中で「平和」を語る反キリストが権力を握っていくと予言した。

https://k-lazaro.hatenablog.com/entry/2022/02/09/092945

 

 私は、このような世界的混乱、人々の分断は、やはり意図的に作り出されているのではないかと思っている。それが生身の人間であれ、霊的存在であれ、人々を支配しようとする者にとっては、そのような状態が望ましいだろう。

 そして、また思い出すのは、シュタイナーの「万人の万人に対する戦争」という言葉である。これは、地球の現在のステージ(アトランティス時代の次の時代)の終焉をもたらすものであるという。アトランティスが洪水によって滅びたように、今の時代は、人々の憎悪と反目、相互の殺戮によって滅びるというのだ。 

 勿論それは遠い未来の話である。しかし、それは人間自身によって、その予定された時期よりも早まることもあるという。また、それは、現在において既に準備されており、それに似たことは、規模等は異なるが、それより前に起こりうるのだ。

 

 今回は、この「万人の万人に対する戦争」に関わり、シュタイナーの考えをふまえて人類史を俯瞰した論考を紹介する。

 ただ、この著者については、アメリカの人智学派だと思われるが詳しいことは分からない。執筆時期は、どうも2010年代のようである。

 中身は、文中に登場する、同じアメリカの人智学者ロバート・パウエル氏の考えを下敷きにしているように見える。パウエル氏の考えのキーポイントは、33と1/3年という時間サイクルである。これは、イエスの一生の年数であり、イエスの一生が人類史に反映しているというのである。それからすれば、現在人類は、イエスヨルダン川での受洗後に荒野で悪魔と対決した時期にあるという。大きな試練の時である。

 パウエル氏については、いずれ紹介しようと持っていたが、この文章にコンパクトにまとめられている。詳細は又の機会としよう。

 ただパウエル氏はアメリカの人智学界では影響力が強いものの、それ以外の地域では必ずしも賛同をえられていないようである。勿論、これまで紹介したすべの論考にも言えるが、以下の論考は、あくまでもパウエル氏とその支持者の考えであり、人智学派共通のものではないことを注意しておく。

―――――――――

万人の万人に対する戦争

マイケル・ウォーデン著

https://www.wellspringbookshop.co.uk/articles/the-war-of-all-against-all/

 アントロポゾフィー人智学)は、洪水が人類進化のアトランティスの章を終わらせたように、私たちの時代も大規模なエゴイスティックな争いによって終焉を迎えると考えている。その兆候は、国際的な地政学と、社会のあらゆるレベル(適者生存)における戦争の形態としての商業や投資の増加の両方にすでに現れている。しかし、その最終的な頂点はまだ非常に遠いかもしれない - おそらく数千年さえも。

 それは気の遠くなるような見通しだ。その間に何が起こるのか?地球はそんなに長くもつのだろうか?前世紀の発展を見れば、その間に何が起こるか想像すらできないだろう。・・・

 アントロポゾフィー宇宙論によれば、私たちは現在、ルネサンス啓蒙主義がその始まりを示している1414年から3573年まで続く、第5のポスト・アトランテ文化時代、「意識魂の時代」にいる (これは、対応する占星術の時代-この場合は西暦214年の魚座の時代-が終わった後に始まる1200年、つまり金星の五芒星の1サイクルに基づいている)。この時代は、肯定的な形でもエゴイスティックな形でも、個性が前面に出てくる時代であり、もちろんそれは現在の私たちの問題と密接に関係している。【訳注】

【訳注】シュタイナーは、魂には「感覚魂・悟性魂・意識魂」の別があり、進化をとおして順次発展してきた、またその発展を主に担う民族があるとしている。「金星の五芒星」というのは、金星は8年間に5回地球と会合し、会合場所を順番に線で結んでいくと軌道上に五芒星を描くことになることをいうが、その運動が天空において元の開始点に戻るまで1200年(厳密には1199年)かかるという。

 

 私たちが真の個性と自由を-大きな抵抗に抗いながら-発展させるために、霊的な起源から完全に切り離される時期である。それは、科学と精神性、個性と社会、資本主義と共産主義などの間の(新しく出現した、まだ未熟な自我に基づく)分裂によって特徴づけられる。

 これらの分裂は、第5文化時代には完全に解決されることはない。しかしシュタイナーは、それぞれの文化的時代において、次の時代の夜明けがすでに形成され始めていることを示唆している1

 この時代における地球の存続可能性についてみると、人間の活動の結果、地球が現在不健全であることは明らかである。しかし、地球が滅亡に近づいているわけでもなく、また人間、テクノロジーそして地球の現在の関係が直線的に継続すると必ずしも想像すべきではない。「モラル・テクノロジー」【訳注】に向かう取り組みの種は現在進行中であり、今後起こる出来事は、人間の活動の方向性を大きく変える可能性が高い。また、後述するように、地球の内部からの再生も起こるだろう。

【訳注】「モラル・テクノロジー」についてはブログの次の記事参照。

https://k-lazaro.hatenablog.com/entry/2022/05/30/100044

 

 我々の前に存在する大きな問題に戻ろう。社会、エコロジー、テクノロジーなどの詳細な発展を予測することは、きっと不可能に違いない。しかし、アントロポゾフィーは、そのような詳細が現れる背景を提供する霊的進化の偉大なサイクルに、より多くの関心を持っている。

 これらは、特に特定の時間周期に基づいている;

2160年、これは占星術の時代の平均的な長さである(現在の魚座の時代、春分歳差に基づく来るべき水瓶座の時代など)。

1200年、これは金星が天空で五芒星をなぞるのにかかる時間である。

33と1/3年、これはキリストの地上での生涯の期間である。

29と1/2年、これは土星の公転周期である。

12年、これは木星の公転周期である。

 

 このような周期は、これから明らかになるように、「万人の万人に対する戦争」を第7期アトランテ後の文化時代の終わりという遠くにおくことを意味するが、現在の状況がそれを大幅に加速させる可能性があることを示唆するアントロポゾフィー研究者(例えばポール・エンバーソン)もいる。これは複雑な問題で、私たちがその準備を整える前にそれが失敗するように、「意識魂の時代」をもたらそうとしたゴンディシャプールの時代【訳注】にも似ている。もう少し先に見るように、長い人類の進化の歴史の中で、偉大な宇宙のタイムテーブルが地上の出来事によって変更されたことは他にもあった。それだけに、私たちの目先の行動がより重要になる。

【訳注】666年頃にペルシアのゴンディシャプールに学院が設立された。そこに当時の一流の自然科学、医学系の学者が集められたが、それは太陽の悪魔ソラトの影響下にあった。

 

 いずれにせよ、ひとたび小さな時間サイクルに入れば、数十年先を見通すだけで、全期間に対する洞察が得られると信じるには十分な理由があるようだ。以下は、現在の第5文化時代と、これから到来する第6、第7の文化的時代との関係についてのスケッチである。

 

 大まかに言って、第5文化期の残りのテーマは、啓蒙時代に真の独立が芽生え始めてから生じた分裂-自立的思考はますます硬化したエゴイズムとなり、科学はますます精神を否定するようになり、資本主義はますます利己的になり、それ自体が目的となっていった-を克服するために、協力の精神が強まるとはいえ、私たち一人ひとりが、個々に戦わなければならない戦いである

 このような克服のために奮闘する人々と、エゴイズムや物質主義の高まりに同調する人々との間の二極化は、すでに目に見える形で進行し、さらに深まっていくことが予想される。

 第6文化時代(3574年~5733年)の頃には、対極のどちら側を歩むかという選択の度合いは実質的に低下しているだろう。霊的な能力や霊視能力を持つ人間の数は大幅に増加し、彼らの地球での仕事の主要な側面は、「堕落した者たち」の救済をサポートすることになるだろう。実際、このテーマは私たちの時代にはすでに展開し始めており、何百万年も先の地球の次の転生まで続くだろう。【訳注】

【訳注】宇宙=地球自体も転生・進化しており、現在の「地球」は「木星」へと転生・進化する。これが、ヨハネの黙示録にでてくる「新エルサレム」である。この世の終末とは、新たな星に地球が転生することである。

 

 第7文化期(5734年~7893年)には、上昇か下降の道かの選択はなくなり、復帰は、さらに長い時間が経過してからとなる。この第7の文化的時代には、上昇する人類と下降する人類の二極化が進み、身体的に目に見えるようになる。上昇する人類は、互いに、そして自分たちがますますその一部となっている霊的世界の両方から、より大きな糧の力を見出すようになる一方で、下降する存在は、かつてないほど獰猛で野蛮な争いに絶え間なく没頭するようになり、最終的には互いを絶滅させるようになる。

 私たち自身の第5の文化的時代における詳細を見れば明らかになるように、上昇の道を歩む人々に対する支援と保護は、彼ら自身の力と霊的世界からの両方によって、非常に増大する。

 第7期の終わりには、ちょうど洪水がアトランティス人の進化の時代を終わらせたように、万人の万人に対する戦争が私たちの時代を終わらせ、広範囲に及ぶ恐ろしい野蛮な破壊が起こるだろう。この時代をより少数の非参加者たちが生き残り、このグループが次の進化の時代を始めるのだ。

 その先には、膨大な時間スケールで、人類は現在の物質的生命の「鉱物的」状態から、物質的生命の「植物的」の状態、「動物的」状態、そして「人間的」状態のサイクルを経て、現在では想像もつかないほどの「生命力」と「創造力」を持つようになる。これらのサイクルは、私たちの惑星の現在の姿の終わりへとつながっている。このことを正しい文脈に置くと、地球には過去に3回の転生があり、さらに3回の転生があるということである。土星転生、太陽転生、月転生と呼ばれるその前の地球の転生は、主に霊的/エーテル的/半固体的な転生であり、物質性への準備のために存在していた。現在の転生は、唯一純粋に物質的な転生であり、特に人間の個性と自由を発展させる目的で存在している。その後の木星、金星、バルカンの転生は、肉体を超越したさまざまな状態である。金星からヴァルカンへの転生では、ずっと悪の道をたどり、上昇し続ける仲間の助けによってもたらされる救済にあらがった者たちが、永久に追い出される。これはある意味で「審判の日」かもしれないが、信じられないほど遠い2.

 私たちは霊的な旅をしている人間ではなく、人間的な旅をしている霊的な存在なのだ。

 さて、このような広大で広範な背景を踏まえて、私たちの身近な状況、そしてそのすべてにおいて極めて重要な役割に話を戻そう。私たちの時代は、キリストの再臨(エーテル的再臨)にとっても、反キリストであるアーリマンの差し迫った転生にとっても、極めて重要な時期なのだ。これらの出来事は、現在地球生活のあらゆる面で目に見える形で展開されている、闇と光の力の大きな二極化の霊的な対極部分である。

 2000年前の十字架刑の後、キリストのエーテル体は地球と一体化し、太陽系へと拡大し始めた。土星圏まで拡大したエーテル体は再び収縮を始め、20世紀の初めに地球に戻ってきた。特に、1899年はヒンズー教のカリ・ユガと呼ばれる5000年の暗黒の時代が終わり、新たな光の時代が始まった年である。この転換期は、磔刑と復活から33年半の56周期目の完了と正確に一致した。その1サイクル後の1933年、エーテル状のキリストが地球の内部の層に浸透し始めた。アントロポゾフィーの作家ロバート・パウエルは、1899年と1933年のこの2つの日を、光の時代、すなわち再臨の「夜明け」と「日の出」と呼んでいる。

 当面の未来に起こることの多くは、この進行中の再臨のプロセスと、地球の9つの内部の層との相互作用の文脈で考えなければならない。これらの内部の層はシュタイナーによって説明された。それぞれの層は、そこに潜む特定のタイプの悪魔的な力、人間を構成する9つの要素(肉体、エーテル体、意識魂、アストラル体など)のうちの1つ、そしてそれを克服するために必要な態度を表す「Beatitude幸福の言葉」(柔和な者、平和を実現する者などは幸いである等々)のうちの1つと関連している。【訳注】

【訳注】Beatitudeは福音書の「山上の垂訓」の場面でイエス・キリストから語られた教えである。人智学派は、これに秘教的な意味合いを読み取っている。

 

 キリストのエーテル体によって一つずつ貫かれていくこれらの層の効果は、本質的に、その闇の力が世界に解放され、人類が直面するようになることである。このような闇の力の解放は、反キリストの受肉において頂点に達するだろう。同時に、新しいレベルのキリストの力が、人類を支え、維持し、解放された闇のエネルギーの変容を可能にするために利用できるようになる。地球の内層へのこの浸透は、長い「再臨」のプロセスが始まって以来、木星が支配する12年周期で起こっている。(12は非常に基本的な数であり、12人の弟子、イスラエルの12部族、12星座、1年の12ヶ月、その他多くの重要な現象と関連している)。木星はまた、遥か遠い未来における、地球の次の、霊的な、転生の原型でもある)。

 ロバート・パウエルは、彼のエッセイ「下自然と再臨」の中で、再臨が始まったときに勃発した2つの世界大戦から、それ以降の12年間の各時期の影響に至るまで、再臨に対する対抗行動とアーリマンの抵抗のレベルについて詳しく述べている。彼はそれぞれの周期を、破壊的な世界的出来事、肯定的な社会運動、ある種の薬物中毒の増加などの他の要因と関連づけている。それらはすべて、ある層に関連する特定の種類の悪魔的な力、そしてそれらを克服するために必要な聖書の "Beatitude "に特有のものである。

 

例を挙げよう:

第2層に関連する1945年から1957年の期間は、大気中への放射能の大量放出(エーテル体への攻撃)が始まった。

第3層に関連する1957年から1968年にかけては、乱交やポルノグラフィーとともにLSDの使用が広まり(アストラル体への攻撃)、また「柔和な者は幸いなり、彼らは大地を受け継ぐであろう」の一種のパロディとしてヒッピームーブメントが出現し、アメリカでは人種差別が違法とされた(マーティン・ルーサー・キング牧師が殉教するまでは、至らなかったが)。

第4層に関連する1969~1980年には、ヘロインが流行し(感覚魂への攻撃)、テロリズムが地球生活の日常的な一部として出現した。宇宙計画は、私たちの本当の運命である宇宙との真の内的関係のパロディとして現れ、ブレジネフは冷戦を激化させた。しかし、この時期の初めには、ベトナム戦争に反対する巨大で原則的な社会運動が起こり、「正しい者は祝福される」という対抗原理が表現された。(一回の抗議行動で25万人が参加し、当時は史上最大規模だった)。同様に、この期間を通してマザー・テレサカルカッタでの活動に精力的に取り組み、その活動が終わる直前にノーベル平和賞を受賞した。

第5層に関連する1980年から1992年の間は、コカインの爆発的な使用(悟性魂への攻撃)が特徴的であった。エイズは世界的な問題となった。レーガンはSDI(「スター・ウォーズ」)構想を推し進めた。同時にこの時期は、東ヨーロッパが共産主義全体主義から解放され始めた時期でもあった。

1993年から2004年(第6層)にかけては、堕落、児童虐待、獣的欲望が急増し、その多くがインターネットと関連していた。この時期にはまた、世界貿易センタービルの破壊と、それに続くイラクの大災害があった(ベトナム戦争の何倍もの抗議運動が世界中で起こった)。ドイツのアントロポゾフィー研究者ユディス・フォン・ハレ【訳注】が聖痕を受けたことで幕を閉じた。(心の清い者は幸いである、彼らは神を見るであろう)。

【訳注】ユディス・フォン・ハレとは、ドイツの人智学者。イエスの聖痕を体に受け、以後、不食者となったという。著書も多数だしているが、人智学派には、彼女に対して批判的な意見もある。

 

 そして、インド洋大津波、ハリケーンカトリーナ、2005年のカシミール地震で幕を開けた2004年から2016年(第7層)の現在に至る。これらによって50万人近い命が奪われた。ユディス・フォン・ハレはこの一連の出来事を「アーリマンが鎖を揺らしている」と表現した。同じ時期にハイチ地震が発生し、さらに10万~30万人の命が奪われ、インド洋大津波と合わせて史上最悪の10大地震のうちの2つが同じ時期に発生した。この12年の間に、アーリマンは地球に転生すると予想されている受肉期間は短く、おそらく数年と予想されるが、実際のタイミングによっては、それが第8期まで続く可能性がある。

 この主な兆候は土星周期に基づいており、29.5年の土星軌道は、ヨルダン川での洗礼後のキリストのミニストリー(公生涯)の3年半を1日とした場合の1日に相当する。この時間の尺度に従えば、人類は今、キリストがアーリマンと遭遇した荒野の39日目を経験していることになる。これは1988年から2018年までの期間に関連している。テリー・ボードマンが2010年に広範かつ学術的な調査によって、マヤのサイクルの誤った表現であることを示した2012年の冬至とは関係がない。

 しかし、これからの数年間は極限の試練が待ち受けている一方で、3つの重要な方法で私たちに力を与えてくれる:

 第一に、金星の太陽面通過(2004年と2012年)は、600年に一度しか起こらない出来事であり、ソフィア的エネルギー【訳注】の流入と関連している。

【訳注】ソフィアとは、聖母マリアの別名であるが、本来「知恵」を意味する。秘教的には、キリストのように宇宙の創造に関わる霊的存在でもある。特に、パウエル氏達のグループでは、重要な位置付けがされている。

 

 第二に、2014年は意識魂の時代(ルネサンス/啓蒙)の幕開けから600年にあたる。それは金星の五芒星に関連する文化の波の半周期である。それに基づいて2014年は、まったく新しい衝動が人間の生活に入り込むことができる時期としてシュタイナーによって言及された。これらは時代に呼応して人間の創造性から生まれるもので、その性質は生まれる前には予測できない。したがって、ルネサンス/啓蒙以来、社会における最大の変化の始まりが予想される。既存のシステムや制度の崩壊が激化していることも、世界の人々の変化への渇望が高まっていることも、そのことを示している。

 第三に、2014年7月27日、太陽、月、木星コンジャンクションヒンズー教の月のプーシャの宿で起きている。これは、ヒンドゥー教徒が人類の偉大な霊的リーダーシップの出現や、1899年に始まった光の時代の大幅な強化を連想させる重要な出来事である。これはアントロポゾフィーというよりむしろヒンドゥー教の視点かもしれないが、1899年のカリ・ユガの終わりとサティヤ・ユガの夜明けも、シュタイナーによって明確な意味を与えられている。

 したがって、これからの数年間は、歴史上最も暗く困難なものになると予想されるが、それを生かそうとする意志を持つ人々には、同様に巨大な霊的支えが用意されている。このような闘争の目的、そしてこのような二極化した選択に直面する理由は、真の人間の自律性を育むことにある。

 第8期(2016年~2028年)は、極めて困難な状況が続くだろう。反キリストの転生が終わっても、この時期の主要なテーマは、一人ひとりが自分自身の「ダブル」(私たち一人ひとりの内面に住む悪魔的要素)に直面することである。ダブルは地球の内側に関連しているため、それを変容させることは同時に地球の変容に貢献することでもある。すべての人が等しく喜んでその挑戦に応じるわけではなく、分裂が極端になることが予想される。

 第9期(2028年~2040年)には、エーテルのキリストが、アーリマンの住処であり黒魔術と強く結びついている地球のコアに到達する。それに対抗するのは、キリストの力であり、それにより人類はこれを克服するために必要な白魔術を修めることができるようになる

 最後の3つの層(2004年から2040年まで)のすべてに関する重要なポイントは、そこから解放される悪魔的力は、人類の現在の対処レベルを超えており、高次の存在の助けによってのみ対処できるということである。3つの期間それぞれに関連する存在は、ソフィア(2004年~2016年)、境域の小守護者である大天使ミカエル(2016年~2028年)、境域の大守護者であるキリスト(2028年~2040年)である5

 地球の内部層を通過するこの下降の後、上昇に転じ、2135年に再び地表に到達する。これは「エーテル的復活」を意味し、第5文化時代の残りの期間中、人類がソフィア、ミカエル、キリストの働きに参加できる新たな可能性の期間となる。しかし、これは再臨の絶対的な完成を意味するものではなく、第6文化時代に至るまで深化し続けるものである。

 第5文化時代から第6文化時代への移行に関連してもう一つ考察すべきは、スラブ民族の特殊な役割である。スラブ民族は、アングロ・ゲルマン民族の競争や自己保存とは異なる協力への衝動や、地球との個人的な関係に対するより深い感情(特にロシアの農民に強い)の担い手である。アングロ・ゲルマン(今、世界中に燃え広がっている)の衝動が第5次を開始したように、スラブ文化は第6次の中心となる衝動を受け継いでいる。ボリシェヴィキ革命や第一次世界大戦、そしてウクライナEUに従属させようとする現在の試みなど、スラブ文化が常に精神的な攻撃を受けてきたのは、このためである。このようなことについては、シュタイナー自身や、20xx年にゲンナジー・ボンダレフがその著書『ミクロコスモスとマクロコスモス』で、また最近ではテリー・ボードマンがその論文『第一次世界大戦ウクライナの危機、1914年~2014年』で多くのことを書いている6

 最後にもう一度、正確な時期の問題に戻ろう: シュタイナーは、2つの性に分離することにつながる「堕罪」は、アトランティス進化期の中頃に起こるはずだったが、実際にはその前の(レムリア)進化期の中頃に起こり、大きな腐敗と誤りにつながったと指摘した。そして、キリストの肉体的受肉は、アトランティス時代の中期に起こるはずだったが、実際には現在のポスト・アトランティス時代の中期に起こったという。自由については、人智学的宇宙論全体が「家を建てること」に関連しており、その家に住んでいるとき、あるいは建設中であっても、私たちが何を選択するかを制約するものではないとも彼はコメントした7。一方、タイミング、必然性、変化可能性などに関するもうひとつの視点は、どの瞬間にも、過去のすべての活動のカルマに基づく「あらかじめ決められた」未来が目の前にあるということである。しかし、その未来が私たちに向かって進むにつれて、新たな活動のカルマによって、その未来はあらゆる瞬間に変容する可能性がある。

 つまり、広大で強力な宇宙のスキームが存在するのだ。そして、そのタイミングの動きにはある可能性(潜在性)があるのである。

 

 まとめると、現在から万人の万人に対する戦争までの間に予想されるのは、兄弟愛とエゴイズムの間の二極化の一連の中心を共有するサイクルであり、それぞれのサイクルには異なる性質、願望、可能性があり、極性のどちら側を歩むかについての選択肢は徐々に狭まっていく。その中で

 第1に、コントロール、支配、集団主義、意義の根絶への志向が大規模に増加する期間(おそらく数十年)。それには、ソフィア的、ミカエル的、キリスト的エネルギーの流入が並行しており、それは全ての人に開かれており、意識的にそれに関わろうとする者達により確かに拡大される。

 第2に、(おそらく何世紀にもわたって)「下側」の恐怖が続く一方で、人類がキリストとともに地球の内側からの再生に取り組む機会が大きく更新される。

 上記の両方の期間中、兄弟愛と地球との正しい関係への新たな衝動の担い手であるスラブ民族の魂の争奪戦が続いている。また、この両方の期間中、すべての人間が、次の2つの大きなサイクル(その後の転生)における自分の役割のために道を切り開いているという現実がある。

 第3に、人類が霊的な力をはるかに深め、拡大し、そして現在の世界をむさぼっている分裂に調和をもたらす可能がうまれる文化時代。(「下側」も続いており、その頃には、上昇する人間と下降する人間の違いが、ますます身体的に見えるようになっている。)

 第4に、極のサイドに関する選択が多かれ少なかれ閉ざされ、万人の万人に対する戦争が徐々に頂点に達する文化時代。その生き残り(非参加者)が、アトランティスと大洪水後の世界との間の移行の時のように、新たなサイクルの種となる。

極端な状況のために、これらの時代が何らかの形で互いに崩壊することになれば、テーマは変わらないが、危険度はさらに高くなるだろう。

 全体を通して鍵となるのは、個人の意志、思いやり、そして霊的な力との意識的な協力である。

 

1, 2, 5, 7 ルドルフ・シュタイナー著『オカルト科学概論

3 Terry Boardman, 2012 Truth or Con, YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=m44_BkYeJmc

4 ロバート・パウエル著『サブネイチャーと再臨』(ポール・V・オリアリー編『地球の内的生命』(The Inner Life of the Earth, by Various Authors)所収。

6 テリー・ボードマン著『第一次世界大戦ウクライナ危機、1914-2014』 http://threeman.org/?p=1855

その他の関連図書

小宇宙と大宇宙、ジェナディ・ボンダレフ著

ルドルフ・シュタイナー著『三重の社会秩序

アトランテの大異変とそれに続く時代』マーサ・ケルツ著 http://www.tcpubs.com/brunnen/articles/

ゴンディシャプールからシリコンバレーまで 第1巻 ポール・エンバーソン著

―――――――――

 上の文章ではわかりにくかったかもしれないが、後半では、エーテル・キリストの動きをとおして現代の人類史が考察されていた。エーテル・キリストは、死後、地球霊となったが、一度、宇宙=太陽系全体へと広がった後、また地球に戻ってきて、更に地球の内部に浸透していった。既に取り上げたように、地球の内部には悪の根源が存在しており、キリストはそこに浸透することにより、地球自体の変容を成し遂げようとしているのである。人類は、悪を善へと変容するこの行為に加わることが求められているのだ。

 地球内部は、いくつかの層に分かれており、キリストがそれぞれに浸透する各段階に人類の現代史が対応しているというのである。

 まさに私たちの今の時代が対応する「最後の3つの層(2004年から2040年まで)のすべてに関する重要なポイントは、そこから解放される悪魔的力は、人類の現在の対処レベルを超えて」いることであるという。それほど、大きな変動、混乱が生じるということだろう。確かに、最近の世界情勢を見ると、これまでの全ての価値観が揺らぎ、人がよるべきものがなくなってきているように見える。そして人々の間に不安と憎悪が増大しているのだ。

 しかし、シュタイナーによれば、1930年代から、人間は自然に霊的認識力を備えるようになるとされており、現代は、それから約100年が経過しようとしている時期となっている。次第にエーテル・キリストとの出会いを体験する人が増えてきていると思われるのだ。これが一つの救いである。
 一方、これを阻止するためにこそ、悪魔的敵対勢力は力を込めてきているとも見える。分断と対立を煽るのもまた同じ勢力に違いない。